2話 俺はなぜか生き返った。
今回は短めです。
夢を見ているみたいだ……。
首を斬られたというのに、痛みもなく、苦しくもない。
臭ってくるのは血の匂いじゃなく、草の匂い……。
ここはどこだ? 寝心地のいい場所だ。懐かしくもある……。
俺が行きつくのは地獄のはずだ。
世界を守るという口実で魔族を殺し続けた。そんな俺が、メリア達と同じところに行けるとは思えない。
しかし、本当に心地いいな……。
アレスに処刑されたことも夢だったのか? と思いたくなる。
何故だ?
薄っすらと目を開けると、見えてきたのは雲一つない青空だった。
どういうことだ?
俺は起き上がり自分の体があることを確認する。少なくとも、俺の首は落とされたはずだ。
ここが地獄なのか? 地獄にしてはそこに恐怖も何もない。ただ、この光景、見覚えがあ……る……?
こ、ここは、まさか……!!
これは現実なのか? ここを俺は知っている。
メリアと良く話をした村近くの草原だ!!
俺は村に向かって走る。もしかしたら全部夢だったかもしれないと……。その甘い希望は、一瞬で絶望へと変わるのだが……。
故郷があった場所は、どれだけの月日が経ったのか分からないほど朽ち果てた建物があるだけで誰もいなかった。
やっぱり現実だったのか……。
俺はその場で崩れ落ちる。
処刑されたのも、村が滅ぼされたのも全て現実だろう……。
なぜ俺だけ生き返ったのか……、何故俺も一緒に死ななかったのか……これが魔王の呪いなのか?
俺はその場で一人で泣いた。
どれくらい時間が経っただろうか、俺は立ち上がった。
これからどうするか……。何も思いつかない。何も考えたくはない。何もしたくない。
「復讐するか?」
ん? なんだ、今の声は……?
俺は周りを見るが誰もいない。幻聴か?
「かつての仲間が憎いだろう?」
いったいこの声は、なんだ?
俺の心が俺自身に言っているのか? 俺は……復讐という虚しいことはしたくはない!!
「おい!! 話しかけておるのだからこっちを向かんか!!」
え? は、話かけている?
今の声は後ろから聞こえてきた……。
俺が振り返るとそこには誰もいなかった。
え? じゃあ、今の声は?
「おい!! こっちゃ見ろ!! 目の前にいるじゃろうが!!」
目の前? 目の前には拳くらいの大きさのテントウムシが飛んでいた。
こいつは魔物か? いや、こんな魔物は見たことがない……。
そもそも魔物は普通話すことは出来ないし、こいつは一体なんだ?
「ようやく気付きおったな、勇者よ」
俺を勇者と知っている!? こいつは一体何者だ!!
「お前は俺を知っているのか!?」
「良ーく知っておるぞ。お前を復活させたのはわしじゃからなぁ!!」
テントウムシが偉そうに踏ん反りがえる。俺を復活させた? ま、まさか……。
「お前、魔王ベルゼブブか!?」
「そうじゃ!! お前に負けたせいで、こんな虫の姿になってしまった!!」
虫の姿? いや、テントウムシは確かに虫だが、魔王だった時も真の姿は蠅の姿だったじゃないか!!?
「キサマ、何が言いたい?」
「いや、蠅は虫だろう?」
「き、キサマ!! 蠅を虫じゃと!! 蠅は蠅じゃろうが!!」
こいつは何を言っているのだろうか……。
まぁ、いい。こいつをここで倒せば、俺の呪いが消えるのか?
しかし、俺は今剣を持っていない。小さな虫だ。叩き潰してやろう!!
パンっ!!
「うひゃああああ!! お、お前何をする!?」
ちっ……逃げられたか。
もう一度……。
「ま、待て!! わしが死んでも、お前は死なんぞ!?」
「何? どういうことだ? お前は俺に呪いをかけたんだろう? お前を殺しきれば呪いは解けるだろう?」
「それがまず勘違いじゃ!! お前に呪いはかけたが、それは不死の呪いではなくお前を魔物に変える呪いじゃったのだからな!!」
お、俺を魔物にだと!?
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