メイドの朝は早い
メイドの朝は早い……。
身の回りのお世話がメインの仕事の私は本日も御嬢様やその友人方が目を覚ます前に起床して行動する、そして音を立てずに素早く移動して朝食の用意を……。
「あ、おはようございます」
「ユウキ様、おはようございます」
おかしい、さっきまで可愛い寝顔でぐっすり眠っていたはず……いつの間に、まぁ、良いでしょう、敵では無いのですから気にする事ではありません。
「あ、紅茶入れて見たんだけどどうかな?」
ほう、紅茶ですか最近では割と平民でも簡単に手に入れる事が出来るようになった、ふ…所詮大量生産品、味など高が知れています。
「ユウキ様?」
ここははっきりとしておきましょう平民と貴族で世界が違うという事を。
「私達メイドにそのような気遣いは不要なのですよ」
「そっかー…」
「ですが……」
たとえ平民であろうともかわいい御嬢様のかわいいご友人なのです。
「せっかくですからいただきましょう」
好意を無駄にはできません。
「ありがとうございます!」
か…可愛い、なんと穢れ無き笑顔、私何か浄化されていく気分…いえ、多少、ええ多少心が揺れましたが私が忠誠を誓ったのは御嬢様のみです、素早く紅茶飲み終えて朝食の用意をしなければ。
「はい、そこの棚にあったコップだけど」
ここにある備品や調度品は…何て言いましょうか、世界が違うといいますか、何物にも合わない感じでしょうかとにかくイメージしづらい感じですね。
「構いませんよ、いただきます」
さて所謂普通の紅茶の味は……、まさかこの味、それにこの色は!
「ユウキ様、この茶葉を一体どちらで入手したのですか?」
ええ、この味は忘れもしません、しかし金額よりも手に入れる事自体が難しいな茶葉をなぜ?
「知り合いに商人がいてその人から買ってるけど?」
ユウキ様の知り合いにその茶葉を取り扱う商人が?!、この茶葉はそこらの並の商人程度では到底扱えないほどなのに……。
「よかったら少しいります?」
「いただきます!」
即答です、ええ迷いなどありませんとも、これを入手できるのなら私のプライドなんて軽いものですよ。
「はいどうぞ」
「え」
「え、少ないですか」
「いえいえ、こんなにも多く貰えるとは思っていなかったもので」
「そうですか」
まさか1杯分かと思いましたがこれは節約しなくても10杯分ほど、しかも様子を見る限り無料で頂けるようで、これは御嬢様が喜ぶお顔が想像できる
「たいへん貴重な物をありがとうございます、それでは私は朝食の用意がございますので失礼致します」
「あ、それなら大丈夫みたいですよ」
「はい?」
「一応ココ、ホテルみたいな所ですし」
「そうでございましたね」
お食事などが私どもが用意しなくても良いのでしたね、ではもう少しこの紅茶をゆっくりと味わうとしましょうか。
珍しい茶葉はようは紅茶ではなくて緑茶です。




