友人の誘い
「そういえばユウキの部屋に入ったのは初めてでしたわね」
少女が遠慮なく部屋に入って感想を述べる、容赦なく部屋の奥へ進んでいく姿に思わず怯んでしまった。
「あーそういえば私が誰か招き入れたの初めてかも」
「あら…そうですの、どこも寮の部屋の作りは大差ありませんわね」
「その微妙な間は何?、まぁいっか、で話って?」
少女はリビングにある椅子に適当に座る。
「ええ、ユウキ、遺跡の宿はご存知かしら」
「いや、知らないけど?」
冷蔵庫からジュースを出してコップに移して少女に出す。
「ありがとうございます、その遺跡の宿というは現在確認されてる遺跡などの中で唯一初期から機能しているのですわ」
「へー」
「しかも宿と呼ばれているように宿泊ができますの」
「その遺跡に?」
「そうですの、恐らくかなり大昔に作られた建物ですがつい最近できたかのように綺麗に保たれていますの」
「それはすごいね、代々その遺跡を管理している一族がいるとか?」
「いえ、その遺跡には人がいません、しかし…」
「しかし?」
「その遺跡は全て数体のゴーレムいえ、ロボットが管理していますの!」
「人が居ないって、その宿に行ったことはあるの?」
「いえ、ありませんわ、存在は噂程度に知っておりましたが詳しく調べたのはつい最近ですの、以前は存在を疑っておりましたので」
「確かにいつから動いているかわからない物がずっとあるっていうのは信じがたいよね」
「そうですの、でも貴女が私をゴーレムの世界に引き戻してくれたからですわ」
「それは何よりで」
「それでですが、今度の連休にその遺跡の宿に行きませんか?」
「んー別に予定無いから良いけどその宿ってどれくらいの所にあるの?」
「ええ、飛馬車で1日位の所にありますわ」
飛び馬は貴族の間で良く使われる遠距離を高速で移動する馬車だ
「飛馬車ってあれ結構高いよね?」
「問題ありませんわ、その程度なら自家用がありますわ」
「やっぱりお金持ちなんだね」
「やっぱりってなんですか、これでも私ミルシア・フォン・ロゼッタは貴族ですのよ」
振る舞いから貴族という事はわかってはいたが最初の自己紹介の時に聞いていなかったので名前を知らなかった。
「ソーデスカー、ところでマキナは連れて行っても大丈夫?」
「ええ、そこはもちろん大丈夫ですわ」
ミルシアとマキナは面識がないがユウキとマキナの関係は有名なようで関係を説明する必要はない、ミルシアにとっては1人増えたところで問題はない。
「そろそろもう結構な時間になったけどどうする?、ごはん食べて帰る?」
「ええ、いただきますわ」
飛馬車は飛ぶように早いのであって飛ぶわけではありません。




