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ゴミスキルだと捨てられた少女たち、実は最強の生活能力スキルだったので気楽なスローライフ冒険旅を満喫する  作者: 鳥助


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35.のんびり、だらり

 ブオーッとドライヤーの音が響く。濡れた頭と耳を乾かした後は尻尾の毛までしっかりと乾かす。


「もう、良いかな?」


 尻尾を触ってみると、もふもふな感触に。やっぱり、この感触は気持ちがいい。今日も上出来に出来た。


 ドライヤーを片付け、脱衣室から出ていく。すると、先ほどまでいたはずの二人の姿が見当たらない。となれば、寝室の方に移動をしたのだろう。


 風呂上りに水を一杯飲むと、階段を上って二階に移動した。視線を向けると、ベッドに二人が寝転がっているのが見えた。


「あっ、メル! ようやく来たのじゃ!」


「メルもこっちに来てください」


 姿を現すと、二人は起き上がって手招きをした。なんだろう、と思いながらベッドに腰かける。二人が近寄ってくると、すぐに耳と尻尾を触る。


「おほーっ! 耳がめちゃくちゃもふもふしておるのじゃ! これは堪らんのう!」


「やっぱり、風呂上りが一番気持ちいいですね。手入れもちゃんとしていて、素晴らしいです」


「……もう。飽きないね」


 風呂を上がるといつもこうだ。綺麗に洗って乾かした耳や尻尾の感触がいいからと言って、ここぞとばかりに撫でまわす。


 始めは恥ずかしかったけど、今では慣れた。まぁ、自分でも仕上がった時にたくさん確認するくらいには気に入っている。


「うむ、今日も堪能したぞ。正直、この状態で頭を抱えて耳に顔をうずめて寝てみたい!」


「私はしっぽをギュッて抱きしめて寝てみたいです」


「それは、やめて!」


 そんなことされたら、身動きが取れなくなって、寝るどころではない。というか、暑苦しくて寝れないかも。


 二人が私から離れると、ごろんとベッドに寝転がった。


「じゃあ、メル。昼間の続きとしよう。ネットショッピングを開くのじゃ!」


「どんなものがあるか、まだ見たいです」


「分かった、分かった」


 そう言って、私は二人の真ん中に移動すると、一緒に寝転がる。そして、ネットショッピングの画面を開いた。


「何、見る?」


「昼間はありったけの服をみたから、違うものがいいのう」


「だったら、食べ物を見ませんか? 夕食に食べた、即席袋ラーメンが美味しかったので、他に美味しいものがないか見てみたいです」


「それはいいのう! メル、食べ物を開くのじゃ!」


「食べ物ねぇ……。だったら、お菓子でも見てみる?」


「「お菓子!?」」


 その言葉に二人は目を輝かせた。お菓子はこの世界でも通じる言葉で、どんなものかは共通認識としてあるようだ。


 画面を操作して、お菓子の画面を出す。すると、色々な商品が現れた。


「お菓子って色々あるよー。スナック系、チョコ系、飴にグミに……とにかくたくさん」


「なんだか、見慣れないものばかりですね……。私、お菓子って言ったら、クッキーとかでした」


「わらわは飴じゃったのー」


「だったら、色々と試してみるのはいいかもね。とりあえず、見ていこうか」


 画面を操作して、色々なお菓子を見ていく。一つずつ説明をして、二人が興味深げに見ていく。味や感触を伝えると、二人が目を輝かせてとても楽しそうにしていた。


 そうやって、画面を見るだけでも時間が過ぎていく。あっという間に、画面を見るだけで三十分が経ってしまった。


 その時――。


「ふふっ」


 ティナが可笑しそうに笑った。


「どうしたんじゃ?」


「今更なんですが、こうやってみんなでお喋りするのが楽しくて。つい、笑ってしまいました」


「まぁ、その気持ちは分かる」


「以前はお茶会に参加して、同年代の子と話していましたが……今のように楽しくなかったんです。家の事とか、貴族の責務の話とか……とても窮屈な話ばかりで、毎日が退屈でした」


 目を細めて、昔を思い出すティナ。その横顔はとても寂しそうに見えた。


「窓の外を見る時、市井の子供の姿がよく目に入ってきました。みんな楽しそうに駆け回っていて、羨ましかったです。私もあんな風に笑えたらなって」


 この言葉でティナがどれだけ厳しい家で育てられたか、容易に想像出来た。きっと、毎日が苦しくて辛くて、耐えられない環境だったに違いない。


「まさか、家を追い出された先でやりたかったことが出来るなんて思ってもみなくて。今、凄く楽しいです」


 ティナが満面な笑みを浮かべた。出会った当初の控えめな笑顔だったけれど、少しの時間を一緒に重ねただけで、こんなにも素敵な笑顔を浮かべるようになった。


 その変化が堪らなく嬉しい。私たちと一緒にいて、楽しいって感じてくれているのが。


「お二人はどう思ってますか?」


 ティナが少し不安そうに尋ねてきた。その問いの答えは決まっている。


「もちろん、楽しいよ。家にいる時に比べると、天国と地獄くらいに違う。二人と一緒にいられて、毎日が楽しい」


「わらわも修行から解放されて、のんびりした生活が手に入ったことだけじゃなく、こんなに気が合う奴らと一緒にいられて楽しいのじゃ!」


「家で問題があったから、今の環境が凄い恵まれているっていうのが分かったよ。環境だけじゃない、良い友達を出会えたことも幸運だったね」


「うむうむ。気のいい奴らと出会えて、本当に幸運じゃったわ!」


 どうやら、私とサリサも同じ気持ちだったようだ。二人で顔を見合わせると、少し照れたように笑い合う。


「わらわたちは本当に気が合うのう。これからが楽しみじゃ」


「そうだね。どんなことがあっても乗り越えられそう」


「……私もそれに混ぜてください!」


 と、ティナが私たちに覆いかぶさってきた。


「二人だけ通じ合っているのはずるいです」


「不安にさせちゃってごめんね」


「意外と繊細なんじゃな。運転する時ははっちゃけるのに」


「もう、サリサは意地悪ですね」


 ニヤリと笑ったサリサを見て、ティナが頬を膨らませる。このやり取りだけでも、平和そのもので心が和む。


「二人とも、画面見ないの?」


「あっ、そうだったのじゃ! お菓子を選ぶのじゃ!」


「ふふっ、話に夢中になっちゃいましたね」


「お菓子を選びながら話すのも楽しいよ」


 ベッドの上に寝ころびながら、画面を見る。三人でくっつき合うと、商品を見始めた。すると、楽しい声が響いてくる。


 のんびりとした楽しい夜は過ぎていった。

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