表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「愛や多様性の犠牲者が誰になるか分かってんのか!」悪役顔の公爵令嬢イザベル、綺麗事で国を壊すバカどもを現実でボコす内政改革  作者: 猫目こね
イザベル三歳〜十歳

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/107

3話 四歳、少しだけ内情を知る。



あれから、私はまず優先して文字を覚えることにした。



図書室の本を片っ端から読み漁り、侍女に「これ、なんて読むの?」と聞きまくる日々。

すべては、自分が置かれた現状を正確に把握するためだ。




その甲斐あって、四歳頃にはこの国の文字を一通り読めるようになった。



公爵家の生活は、正直に言って快適そのものだ。

家族仲だって決して悪くない。




父様は相変わらず顔は怖いが、私が寄っていくと不器用に頭を撫でてくれるし、母様もマナーには厳しいけれど、私が言葉を覚えるたびに微笑んでくれる。



兄ヴィンセントはよく本を読んでくれる。

姉エルザは意外と話しやすく、マナーや社交について分からないところを優しく教えてくれる。



兄とは十歳、姉とは八歳年が離れているためか、二人とも歳の離れた幼い私をそれなりに可愛がってくれている。






(……でも。やっぱり、この国は「おかしい」)





私は図書室に籠り、文字を覚えながら、毎日届けられる「新聞」のような広報紙を読み漁っていた。

驚くべきことに、アステリア王国には全国紙と地方紙が存在する。

その内容は多岐にわたるが、全国紙でも地方紙でも内容は同じようなものだった。





『人気の劇団若手俳優と看板女優、深夜の密会!』

『最近、王都でスリが多発。』

『馬車の事故、微増。』他。





(うっわっ!前世のニュースそっくり…。)




ある日の夕食後、私は勇気を出して、自室へ向かおうとするヴィンセント兄様を呼び止めた。



「にいさま、ききたいことあります。」



「どうした、イザベル?」



「しんぶん、げきだんの話ばかり。おとなりのドワーフさんとは、けんか、しないの?」



私の拙くも四歳にしては鋭い質問に驚いた様子だ。



「うーん、難しい話になってしまうのだけど…。」



「だいじょぶ!しりたい!」



私はヴィンセント兄様に食い下がった。

すると兄は少しずつ話してくれた。




「表向き…の情報でしかないんだよ。

今の陛下は『不和を口にすること自体が、平和を乱す悪徳だ。』とお考えだ。

だから、国境で起きた種族間の衝突も、公式には『行き違いによる事故』や『個人のトラブル』として処理され国民の多くは知らないんだ。」




「じこ?」




兄が、少しだけ苦い顔をして付け加える。




「そうだ。

例えば、ドワーフの商人と我が領の商人が言い争いになっても、それは『友情を深めるための議論』と発表される。

おかげで、実情を知っているのは現場の兵士と、我らベルドレッドのような最前線の貴族だけだ。」




(やっぱりそういうのありますよねー…。

そして一部の人しか、この異常さに気づいていないのか…。)




「ただ…ドワーフは他の種族よりも話せば分かってくれることが多い。

国民を無駄に心配させる必要もないことも事実だ。

国民感情を煽って戦争、となったら、それこそ面倒なことになる。」




と、兄は付け加えた。




「おしえてくれて、ありがと。ごじゃす。」


(……しまっ、中身が三十歳だから四歳児らしい語彙がわからなくて、変な言葉遣いになっちゃった!)




だがヴィンセント兄様は「プっ」と笑いながら「どういたしまして。」と笑顔で去っていった。

どうやら言い方がお気に召したらしい。多用してやる。




そう思いながら私は部屋に戻った。



ベッドに潜り込み、今日聞いた話を頭の中で整理する。




(兄様の言い分は、合理的といえば合理的ね。

感情的な対立を避けるために情報をコントロールする。

商売でも、トラブルを公にせず内々で処理するのはよくあることだし。)




けれど、私の胸のざわつきは収まらなかった。




(でも、それは「話し合いができる」ことと「互いを尊重し合える」ことが前提の話。

人間同士だって文化や倫理観が違えば揉めるのに…。

これ、問題が水面下で肥大化しているだけじゃないの?)




もう一つ気になることがある。




(兄様は「ドワーフは話せば分かる」と言っていた。

でも、新聞に載っていた『虹の広場』には、ドワーフ以外の種族も出入りできる。

…その人たちとの「事故」はどう処理されているわけ?)




思い出されるのは、あの地図にあった花のマーク。




各領地に一つ以上存在し、あらゆる種族を無償で受け入れ、その運営費を現場(領主)に丸投げしているという、狂気的な理想郷。




(っあー…ダメだー。

頭で考えてるだけじゃ限界がある。

実際に、その『虹の広場』で何が起きているのか、見てみないことには安心できない。

事件は現場で起きるものだもんね…!)




私は布団の中で、ギュッと拳を握った。




(せっかく公爵令嬢として権力のある家に生まれたのだから…。

私の平穏なセカンドライフは、権力と前世の記憶をフル活用して成し遂げてみせる!)




見やすいように修正しました。(2026/6/4)


ブックマーク・評価・リアクションなど

ぜひお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
下のバナーを1日1回ポチッと押していただくだけで、アルファポリスでのランキングが上がり、作者の執筆の励みになります…! 「なろうのアカウントを持っていないから評価できない」という方も、このバナーならワンクリックで応援していただけますので、ぜひイザベルへの応援としてクリックをお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ