表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リバース・ワールズ・アカデミー 記憶喪失の俺は反転世界の学園で頂点に立つ  作者: カギナナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/8

反転世界2

「なぁリン、この鳥って一体何なんだ?」

 それに対してリンはムスッっとしながら言った。

「この子を鳥と一緒にしないで。この子はグリフォンでお父様の使い魔なのよ?」

「へぇ、そんなのがあるんだな。コイツかっこいいな」

 そう言うとリンはほとんどない胸を張って自慢げに言った。

「そうよ!お父様のこのフレア凄いんだから!」



 俺、天童寺刹那はリンの背中に捕まりながらフレアに乗って空の旅をしている。

 そして俺はもう一つ彼女に対して問いを投げかける。

「てかさ、俺ここが何処なのかかすらよくわかってないんだけど」

 それに対してリンは少し呆れたような、少しだけ納得したかのような表情で返す。

「ほんとにアンタなんにも覚えてないのね。しょうがないから教えてあげる。ここはアノワード王国の極東の乾燥地帯のすぐ横なの」

「???」

 どうやら今俺がいる場所はアノワード王国というらしい。それから、このようなことを続けた。

 この世界の全ては龍神という存在が太古の昔に生み出し、人々に魔法を使う加護を与えた物らしい、そして30年前、龍神の力が弱まりつつあり、それを感じ取った龍神は新たな力の源を求め、他のこの世界と性質の近しい星を見つけた。その星は地球という名前もので、地球とこの世界を表裏に繋いだ。よって、2つの世界は大地を挟んで背中合わせの状態で互いに存在し合っている。そしてこちらの世界の人々は龍神がその星を住処とした事で生命のバランスが乱れ、一部の地域の草木が枯れ、生活を共にし、使い魔としていた龍の眷属が自然発生しなくなったと同時に向こうの世界で発生し始めた。しかもその眷属たちはこちらにも牙を向けてくるという。そのため、この世界がさらに絶望的な状況になる前に龍神を取り戻す、及び新たなこちらの居住地帯とするために戦争をしていると。それらを伝え終わると、リンは一呼吸おいて言う。

「龍神様を取り戻せなければ私たちのこの世界の人々はほんとに終わりを迎えてしまうわ。…でもそのためには、龍神様を殺そうとしている向こうの世界の人たちを私たちは倒さないといけないの」

 リンは隨分と悲しそうな顔をしながら言った。それを見て俺はなぜか、彼女のそんな顔をみたくないなと思った。

「隨分と残酷な話だな」

「でも仕方ないのよ、こうしないと私たちの世界が滅んでしまうもの」

 正直こんな事を続けていても誰も救われる人は居ないんじゃないかと思ってしまうのだが。

「それってどうにかならないのかよ。二つの世界で共存するって選択肢はないっていうのか?」

「本当はそれが一番良いってみんな分かっているのよ。でも、それに気付くのがもう遅すぎたのよ。向こうの世界で発生した魔物や私たちの侵略行動によって与えてしまった被害はもうみんなの記憶に深く刻まれてしまった。それによって家族を亡くしてしまった人だって数え切れないほどいるはずよ」

 きっとそれは彼女の心からの言葉なのだろう。こんな戦争、すぐにでも終わらせたいはずなのにそれが出来るような状況でもなければ自分にはその力がないのだ、と。

「でも、だからこそ強くなるのよ。自分がなすべきことをするために」

 やはり、彼女の心は綺麗だと思った。一瞬彼女のその真っ直ぐ遠くを見つめている瞳に吸い込まれるかと思った。

「…綺麗だな」

 それを聞いて、リンは動揺したようにこちらを見る。

「な…な、何いってんのあんたバカじゃないの!?」

 おっと、ついうっかり口に出ていたらしい。

「いやごめん、本音が口に出してた」

「〜〜〜うるさいうるさいうるさい!」

(あ、コイツ思ったよりもこういうの弱いな)

「そんな事は言ってもなんにもでないんだから!あ、見えてきたわよ」

 そうして促されるように少し遠方を見てみると、そこには大きな外壁のようなものが見えた。それに対してリンが答える。

「あれが我が国の王都ドラグの城壁よ」

「途轍もなくデカいってことだけは分かる」

 そんな感想だけかよと思うかもしれないが、ほんとにただただデカかった。近づくたびにそのデカさを理解させられた。

 それから数分、門らしきものが見え始め、リンはその門の前へ降り立ち、門をくぐった。

 そこに広がっていたのは、中世の欧風な街並みだった。

「ここはアノワード王国の東部。ここは昔から活気があっていい街よ」

「そうみたいだな。みんな幸せそうな顔をしてる」

 それらを眺めているとリンが俺にある場所を見るように促す。

「あれを見て」

 リンに促され、街の奥を見やるとそこには遠目からでも認識できるほどに立派な屋敷が建っていた。

「あそこがここを統治して居るカルネシオン公爵家の、私の住んでいる屋敷よ」

「えマジで?あんなとこに住んでんのか?」

 どうやらリンは位の高いお嬢様だったようだ。

「じゃあ今からあそこに行くわよ」

「…は?ちょっと待ってくれ話がよく分からないんだが!?」

「口答えしないの!ほら行くわよ!」

 リンがそういった瞬間、リンはフレアに乗り出すかと思えばすぐに飛び出し、俺はフレアの脚になんとか捕まることができ、置いていかれることをなんとか回避した。

「危ないだろ!なんで置いていこうとしてんだよ!」

「あんたがごちゃごちゃ言ってるのが悪いんでしょ!いいから落ちないようにフレアに捕まってなさい!」

 待って俺の扱い酷くない??

そうやって風に揺られながらリンの屋敷まで向かうことになったのだった。




 そして屋敷についてリンが大きな扉を開けると同時、

「「「おかえりなさいませ、リーンお嬢様」」」

 このように十数人のメイドや執事が綺麗に並んで礼をしていた。

「うん、みんなただいま。この汚い服装の男は客人よ。だからあまり変なことはしないでちょうだいね」

 そう言いながら、その人たちの間を歩いていった。

「あんたも早く来なさい」

 そう言われたので俺もその間を歩くが、なんとも居心地が悪い。

 そして一つの大きな扉まで来ると、

「あんたは一旦ここで待ってなさい」

 と、言われたので俺はその扉の横にあった高そうな椅子に腰掛けた。

 数分後、リンが戻ってきた。

「こっちに来なさい」

 言われた通りにその扉の中へ入ってみるとそこは大きな書斎のようだった。何が書いてあるのかよく読めない本などが見えた。

「君が、刹那くんだね?」

その声の主に目を向けると、書斎の中央にとても威圧感のある男が座っていた。

「…はい」

 その返事を聞くとその男は言った。


「では、お話を聞かせてもらおうか」


これ俺、生きて帰れるのか―――

あとがき

今回もリバース・ワールズ・アカデミーを読んでくださりありがとうございます。今回は刹那君が本格的にこの世界に触れるところまで描かせていただきました。この後刹那君がどんな目に遭うのか乞うご期待!フォローやレビューしてくださるととてつもなく嬉しいです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ