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gradge  作者: クロイ名無
12/16

推測

 ようやく動けるようになったときにはすでに30分がたっており、横になっている間に遠くからサイレンの音も聞こえた。

「これからどうする?」

 良がずっと黙っているので、とうとう俺から話を振った

「……お前はどうするんだ?」

 すると、逆に良に聞かれた。今回のことで、桜がこれからも殺すことは分かった。それに、メールのヒントもうまくやれば解けることも分かった。……でも、どうやって止めるんだ?無駄に桜を追って、同じ事を繰り返すより、今すぐこの町から逃げた方がいいんじゃないか?いくら桜でも、それなら追って来れないだろう。……けど、逃げていいのだろうか?別にアニメや漫画の主人公みたいにカッコつける気はないが、やっぱり桜は大事な友達だ。なら、悪いことをしたなら謝らないといけない。でも、今はどんな悪いことをしたのかが分からない。ならとりあえず止めるしかない。

「俺は桜を探すかな」

 とりあえずそう答えた。正直、今回だって良がいたから桜を探せたようなものだ。もし良が諦めるなら、たぶん俺1人では追えないだろう。けど、やっぱり桜に何をしたのか知りたいし、何より死にたくない。……まあ、どっちが重要かと聞かれれば死にたくない方だけどな。

「……じゃあ、俺も手伝うよ」

 良も何か迷っていたのか、少し送れてそう言ってきた。

「じゃあ、さっさと次の内容を調べるか。時間があるって言っても、24時間ぐらいしかないんだし、睡眠も取らないといけないからな。」

 学校はサボるとして、もう夜も遅くなる。睡眠に6時間は必要として、時間は約18時間。とは言っても、こんなのはただの予測。走り回った分、余計に寝てしまう可能性だって十分に考えられる。なるべく時間は節約していかないと。

「なら、さっさとメール開け。次の文はなんだ?」

 起き上がって座った良がそう言って俺をせかした。俺も座って、携帯を取り出し、メールを開いた

≪泥棒は物を盗むだけ。強盗はもっと大切なものを取っていく。さあ気をつけて、今度は死神が貴方の命を取りに来るよ。≫

「桜ちゃん、今度のは直球だな。」

「ああ。」

 今度の文は誰が見ても相手は明白。泥棒か強盗。……けど。範囲が広すぎる。この世の中……いや、例えこの町で起こった犯行だけを考えたとしても、1日や2日で調べるなんて無理だ。警察に協力を願い出ても、おそらく子供の戯言として処理されるだろうし、信用してもらっても、調べるなんて不可能に近い。

「たぶん、どんな罪を犯したか書いても調べられないと思ったんだろ。」

 おそらく、良の言うとおりだ。……どうする。メールの謎を解かずに桜を探すか?いや、余計に無理だ。

「……快。他にヒントか何かないのか?」

 悩んでいると、良がそう聞いてきた。とりあえず、俺だけではなんともいえないので、今までのメールを良に見せた。もしかしたら、俺が気づかないだけで、良なら何か気づくかもしれない。

「なあ」

 俺は俺でメールを読み返し、なんとかヒントを見つけようとしていたとき、良から声をかけられた

「この『NO NAME』って誰なんだ?」

「それが分からないんだ。内容的に関係あるとも思えるけど、意味が分からない文章だし……」

「この『、』の前後は勿論繋げてみたんだよな?」

「ああ。意味分からない文章になったけどな」

 俺はもう一度繋げて読んでみたが、はやり意味の分からない文になった

「…………。『いえひがつこさすほてるおとすびょういんさすヘル』」

「は?どういうことだ?」

「たぶん、そう書いてある。『病院』の前後に『、』がいくつかあるから、たぶん『、』1つで1つ前の語の最初。現に『2日前』の『前』が平仮名だ。『え』が必要だったってことだ。」

「なるほど……。けど、結局どういうことなんだ?」

「更に『。』で文が1つ終わると考えると『いえひ。がつこさす。ほてるおとす。びょういんさす。へる』」

「……分からないんだが?」

「これは3つ目の文から考えたことだが、たぶん3つ目は『ホテル、落とす』だと思う。ほら、こう分けると分かりやすい。」

 良が携帯で漢字変換した文字を見せてきた。そうしてみると、確かに『ホテル、落とす』だ

「…………待てよ。この文は3つ目で、今回は3回目。……てことは」

「ああ。たぶん、これ、順番通りに殺す場所、殺し方が書いてあるんだと思う。1つ目は『家、火』2つ目が『がっこ、刺す』。『がっこ』はおそらく『学校』だろう」

「ていうことは次のは『びょういんさす』だから、病院で誰かを刺し殺すってことか!?」

「そういうことになるな。」

「でもちょっと待て。どうやってそんなことするんだ?病院となると、そう簡単に刺し殺したりできないだろ?」

「考えられるとしたら、その相手が入院患者で、その日、手術があり、桜ちゃんが医者に変装して刺し殺す」

 良はそう言ったが、自分で言っていてありえないと思ったのか、冗談口調だった。……けど、本当にそのぐらいしかない。少なくとも、殺す時には刃物を見せないといけないので、個室でもなければ他の人に見つかる。かといって、個室の患者なんてそうはいない。

「……快。とりあえず、病院ってことは分かったんだ。この辺りに病院は3つ。その中で個室の患者だけでも調べよう。俺はこことここ。お前はそっちを頼む」

「分かった。じゃあ、俺の部屋で待ち合わせしよう」

 考えても仕方がないと判断したのか、良は携帯で地図を出し、そう言った。俺はそれに従い、ビルを降りた。俺と良は決めた病院に向かうため、ビルの下で別れた。

 数時間後、すっかり夜も遅くなったが、なんとか個室の患者の名前は教えてもらえた。聞き出すのが大変だったが、とりあえずはなんとかなった。……凄く看護婦さんに怪しまれたけど。

 結果、個室の人は3つの病院合わせても4人。

 1人目は若い女性。極度の対人恐怖症らしく、病院には無理を言って個室にしてもらったらしい。入院理由は骨折。周りには家が沢山ある病院。

 2人目は中年の男性。フリーターで、清掃会社のバイトをしていたら落ちたらしい。幸い、骨折で済んだらしいけど、手足が片方ずつ骨折しているらしい。個室の理由は友達が来て騒がしいから。1人目と同じ病院

 3人目は中年の男性。個室しか空いていなかったので個室。体中に火傷の跡がある。元極道という噂。一酸化炭素中毒により、最近入院。今は何をしているのか不明。周りが木に囲まれた病院。

 4人目は中年の女性。精神的ストレスにより、情緒不安定。過去に刑務所に入っていたこともある。周りに店が沢山ある病院

まとめてみるとこんな感じになった。

「……誰が怪しいと思う?俺はこの中年の女性かな。刑務所に入ってたって言ってたし」

 俺はまとめた紙の上に手を置き、女性を指差した。

「俺は…………2人目かな」

「?なんでだ?」

「まず1人目はありえないと思う。確かに『若い』と一口で言っても幅は広いが、俺が話を聞いた看護婦も若かった。それも大学を出て2、3年の女性だ。年寄り……とは言わなくても、中年が言ったならまだ分かるが、20代の女性から見てその女性が若かったのなら、よくてその人と同年代。おそらく、1人目は10代だ。だから、年齢的におかしい」

 なるほど。確かにそれは言えるかもしれない。もし10代なら、数年前の話しとなると、強盗なんてやっているとは思えない。

「次に3人目だが、今までの過程から桜ちゃんが恨みを持つに至った状況は『火事』『地震』『何か』『何か』が起きている。つまり、この強盗は不幸にも……というべきかは分からないが、火事の時に現れている。だからこの人かとも思ったんだが、元極道なら火傷も納得がいく。何より、個室の理由が『たまたま他に部屋がなかったから』だ。いつこの計画を考えたのかは分からないけど、少なくともこの殺人までに3日は経っている予定だ。それまでに部屋が変わらないなんて保証はない。

4人目は情緒不安定だからだ。短期の入院なら誤魔化せただろうが、彼女はもう15年も入院しているらしい。事件の日には既に入院しているし、そんなにも長期には誤魔化せない。誤魔化せたとしても、今はもう誤魔化す理由がない。」

「そうか。……じゃあ、やっぱり2人目か?」

「俺はそう思うけど、まだ3人目の可能性も残っている。」

「え?でも、今ありえないって」

「まず火傷は元極道なら説明が付くというだけで、それは嘘かもしれない。……というより、どんな火傷かは知らないけど、体中にある火傷の傷なんて、そうでも言っておかないと怪しまれる。それから個室。俺たちはずっと『個室で殺される』と考えているが、個室で殺されるとは限らない。何か……その人の癖さえ知っておけば、殺せるってこともある。」

「確かにそうだな。けど、それじゃあどうするんだ?1人目と4人ははないとしても、2人とも違う病院だし、どっちかに的を絞らないと。」

 2人目か3人目か。早く決めないと……時間がない。

「……仕方ない。今日は寝よう。」

「……分かった」

 疲れていることは自覚していたので、考える時間がないといっても、寝れば今よりちゃんと考えれると思い、納得した。どうせ学校を休んで明日も桜を追いかけるので、良には家に泊まってもらった。両親の部屋から布団を持ってきて敷き、俺はベットに入った。……しかし、寝ようと思っても、やっぱり頭から桜のことや、次の標的の人が頭から離れない。2人の入院理由は骨折と一酸化炭素中毒。どちらも意図して起こせる症状ではない。事故に見せかけようとしても、どうしても人の手が加えられた跡が残る。それを残さずに骨折や一酸化炭素中毒にできるのか?…………いや、出来る。そうだ、あの方法があった!

「良。起きてるか?」

「……ん?……ああ。」

 少しウトウトしていたのか、良の眠そうな声が返ってきた

「良。一酸化炭素中毒にする方法があったぞ。」

「何!?」

 いきなりそう言われて驚いたのか、大きな声で驚いていた

「どういうことだ?一酸化炭素中毒なんて、密室で火を起こしたりしないと起きないんだぞ?そんなことをしてみろ。絶対に見つかるし、見つからなくても死ぬだろう」

「いや、1つだけある。可能性としては低いかもしれないけど、これしかない。第一の殺人の火事を使えば、簡単に状況は作り出せる」

「…………確かに作り出せるが、そんなのはやる価値がない。そもそも中毒になる前に逃げ出すかもしれないし、死ぬかもしれない。それになぜそいつがそこにいると断言できる?」

「別にいなくてもいい。縛って監禁して、頃合いを見て連れ出せばいいんだから。」

「だが…………そう簡単にできるのか?その方法だと、おそらく桜ちゃんは顔を見られることになる。警察にそのことを言われたときのことを考えてないとも思えない。それに、それならわざわざ連れ出さず1人目と一緒に焼き殺せばいいんじゃないか?」

「だけど、最近に一酸化炭素中毒になることなんてそれ以外にありえない。火傷の跡だってある。それに、2人目の骨折。これをバレずに意図的にやるなんて無理だと思う。」

「それは……確かにそうだが……。」

「まあ、まだ時間はあるからこれから寝て、起きてからまた考えてみるが、もし他に何も思いつかなかったら3人目を見張っていよう」

「…………分かった」

 良はまだ納得がいっていないようだが、本当に何もなければそっちにかけた方がいいと考えたのか、少し悩んだあと、そう返事をした

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