2-3 グルナ
猪肉を食べ終えると、二人は馬車へ戻った。
そこでアユムは、運転手へ声をかける。
「森で助けたんだけど、一緒に帝都まで連れて行くことはできないか?」
運転手はグルナをちらりと見てから、荷台へ視線を向けた。
「スペースには余裕があるから、乗せるだけなら構わない。だが、一人分を養える食糧はないし、貰ってる金も一人分だけだぞ」
馬車が出発してから、まだ三日ほどしか経っていない。
帝都までの道のりは長い。
当然の指摘だった。
「代金は俺が払う。道中で村があるはずだ。そこに寄ろう」
運転手は少し考えたあと、鼻を鳴らす。
「ふん、まぁいいだろう」
そう言った男だったが、内心では休憩地点ができることを喜んでいた。
馬車の車輪を直したことで、修理用の予備道具がかなり減っていたのだ。
本来なら一度町へ寄り、道具を補充したい。
だが、もともとは直行予定。
遠回りになれば、客側から文句を言われてもおかしくなかった。
しかし今回は、客側から村へ寄りたいと言っている。
責任をそちらへ押しつけられる以上、男にとっても悪い話ではなかった。
了承を得たため、二人は荷台の後ろへ乗り込む。
「ねぇねぇ、アユムは帝都に何しに行くの?」
「ん? 俺は図書館に行きたいんだ。友達との約束でな」
「友達?」
「ああ、友達とのな」
(儂に向かって友達とはのう。ほほほ)
孫のように思っていた少年からそう言われ、老人は少し嬉しそうだった。
「それより、グルナは帝都に着いたらどうするんだ?」
「んー、どうしよう。帝都に知り合いもいないしー。帝都なら仕事ないかな?」
「適正診断では、なんて言われたんだ?」
適正診断。
十五歳の時、神官によって能力を判定され、仕事を割り振られる制度だ。
この世界では、そこで人生のほとんどが決まると言ってもいい。
アユムはそこで、戦闘職、才能なしと判定された。
その結果、ゴミ屋の仕事を押しつけられた。
「戦闘職で、イレギュラーって言われたかもー? あんまり覚えてないんだよねぇ」
「イレギュラー? 聞いたことないな」
通常であれば、D、C、B、A、Sと判定される。
ちなみに、Dが才能なしだ。
イレギュラーという判定は、アユムも聞いたことがなかった。
(魔力がないから、イレギュラー扱いになったのかもしれんのう。ゼロからは何も生み出せんからな)
(ああ、確かに。そうかもしれないな)
そう言われ、アユムは納得する。
そんな雑談をしながら、馬車は帝都へ向かって進んでいくのだった。
グルナって名前の響きかわいいと思うんですがどうですか?




