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無敵探偵活劇 アケチ大戦争  作者: anurito
玉村一族編
3/169

これが暗黒星だ!

 わが国でも有数の資産家・玉村善太郎は、大トーキョー・シティのオオモリ区に、その住居を構えていた。

 彼は、東京ドーム4個分の敷地内に、大きな本邸だけではなく、いくつかの別館や倉庫まで所有していたのだ。これは、まさに、善太郎の若き日からの成功の軌跡を証明したものに他ならなかった。彼は、父の代では、まだまだ小さかった貿易会社を、一人で、今の規模にまで成長させたのだ。

 善太郎は、この屋敷の中に、三人の子供と一緒に住んでいた。妻はすでに他界していた。他に、この屋敷にいたのは、住み込みの使用人たちだけだ。

 善太郎の娘・妙子がギンザで謎のサーチライトに襲われた翌日、警視庁のナカムラ警部と私立探偵のアケチコゴロウは、極秘裏に、この玉村御殿へと訪れていたのだった。

 言うまでもなく、このサーチライト事件について、調査に当たる為だ。この事件は、どうやら、ただのイタズラでは終わりそうにないと、警察もアケチ探偵も迅速に判断したのである。何しろ、サーチライトの犯人は、一部の関係者にしか知られていないはずの「暗黒星」の名を、はっきりと口にしたのだ。

 この恐るべき犯罪結社の存在が判明してからは、捜査第一課では鬼警部だったナカムラは、「暗黒星」の専任捜査を命じられていた。アケチ探偵の方も、自分と因縁深い犯罪者ライバルたちが関わっている、この組織のことは、放っておく訳にはいかなかったのだ。

 玉村邸の大きな食堂には、玉村家の血筋のものだけが集められていた。すなわち、玉村善太郎と三人の子供たちである。長男の一郎、次男の二郎、そして、末娘の妙子だ。これに、警察側からは、ナカムラ警部と数人の補佐の警官、そこに、アケチ探偵も加わって、これらの少数の人間だけで、秘密の会合が開かれる事となったのである。

 よく見ると、アケチは、助手を一人、連れてきていた。20歳に近い年齢の爽やかな青年だ。

「アケチくん。誰だね、この子は?」初対面だったらしく、ナカムラ警部がアケチに尋ねた。

「以前、暗黒星と戦った時はヒドい目にあいましたので、今回からは、助手を連れて、行動する事にしました。僕の一番弟子のコバヤシです」と、アケチが紹介した。

「コバヤシヨシオです。よろしくお願いします」紹介された青年は、テキパキと名乗った。

 コバヤシは、アケチ同様、痩せ型の優しそうなムードの好青年だった。目はクリッとしており、いかにも頭のキレも良さそうだ。30歳過ぎのアケチと並んでいると、息もぴったりで、ひどく似通っており、歳の離れた兄弟のようにも見えるのだった。

「ところで、娘を襲った犯人は捕まったのかね」と、玉村善太郎がいきなり訊いてきた。

「犯行に使われたサーチライトは、すぐに特定したが、その場所には、もう犯人はいなかった。手がかりも全く残されていない。これが、今回の犯人のいつも共通した特徴なんだ」ナカムラが説明した。

「まるで、すでに、犯人の見当がついているかのような言い方だね?」と、善太郎。

「そうです。今回の事件の犯人は分かっているのです。かなり危険な連中です。だから、僕たちは、急いで、あなたたちに警戒を促しにきたのです」アケチも神妙な顔で言った。

 天下のアケチ探偵が、こんな仰々しい態度をとってくると、大物の善太郎だって、やや不安になってくるのである。その三人の子供たちも、同様だった。特に、被害者だった妙子は、その美しい顔が真っ青になっていた。

「まあ、映像も使って、丁寧に説明する事にします。皆さん、椅子に腰掛けてください」ナカムラが言った。

 その言葉に従い、玉村一家は、食卓の各々の席に着いたのだった。

 まずは、父親の善太郎。60歳を過ぎたご老体である。今では、仕事の大部分を部下に任せるようになり、家族との生活を優先している、穏やかなマイホームパパのようにも見えたのだが、その鋭い表情からは、若き日のキレ者ぶりや豪腕ぶりもそれとなく伺えた。

 長男の一郎。30歳前後の年齢の、ひどく美しい顔をした青年である。この玉村の家族の中では、際立って温厚そうだった。父の仕事には興味がないらしく、彼は、働かずに、この屋敷内で遊んで暮らしていた。結婚はしていない。

 次男の二郎。20代前半の年齢である。兄の一郎とは対照的に、かなり活動的な性格だった。父の後継者となるべく、今は、父の会社で働いているのだ。正義感が強く、今回の妹に対する事件に関しては、特に怒りの気持ちが激しかったらしい。やはり、まだ独身。

 最後が、末娘の妙子。彼女については、すでに説明した通り。実は、まだ大学にと通っている女学生だった。現時点の彼女は、昨夜の事件の動揺をなおも引きずっていたらしく、少しイラついていたようだった。

「あのような事件は、もうコリゴリだわ。警部さんに探偵さん、あんな事件を起こさない為にも、あなたたちが居るのでしょう?もっと、しっかりしてほしいわ!」妙子は、口汚く怒鳴った。全く、気の強いお嬢さんなのである。

「分かってます。僕たちも、全力を尽くして、あなた方の警護に当たりましょう。しかし、あなた方にも、十分に注意していただきたいのです」アケチが言葉を返した。

「妙子さん、君を襲った暗黒星と言うのは、過去に、このトーキョー・シティを荒らした名だたる犯罪者たちの結託組織なのだよ。彼らの犯罪予告は、決してハッタリなどではない。やると口にしたら、必ず実行に移すだろう。我々も、彼らと実際に一戦交えた事で、彼らの組織の実体がだいぶ掴めてきている。あなた方は、お気の毒にも、今回の彼らの犯罪の標的に選ばれてしまったようだ。そうである以上は、あなた方にも、彼らをより警戒する為、少しでも、暗黒星の具体的な情報を知っておいてほしいのだ」

 そう前置きしてから、ナカムラ警部は、部下の警官に指示して、説明会の準備を始めたのだった。

 窓のカーテンを閉めて、部屋を暗くする。壁の一方には、白いスクリーンをセットした。そして、テーブルの上には、資料を上映する為のプロジェクターが乗せられた。

「玉村さん。もう一度、お聞きします。あなたの家族は、ここにいる人間だけで、確かに全員なのだね?」と、ナカムラが確認した。

「本当は長女もいたのだが、彼女は、もう結婚している。しかも、嫁ぎ先で亡くなって、かれこれ10年近く経つ。死者については、この際、含めなくてもいいのだろう?」と、善太郎。

「玉村さん。では、あなた自身には、兄弟はいなかったのかね?」と、ナカムラ。

「弟がいる。ただし、若い頃に、養子に出たので、今は玉村という姓ではない。なあ、君。こうした家系の話も、何か、重要なのかね?」

「先の暗黒星の犯罪声明では『玉村一族』と名指ししていました。だから、もしかすると、あなたがた家族以外にも危害が及ぶ恐れがあるのです。まあ、そのへんの他の玉村家の親類の方々には、後から、あらためて話を伺ってみる事にしますね」アケチが説明した。

「全く、なんてタチの悪い犯人どもなんだ。なぜ、俺たちが狙われなくちゃいけないんだ!」思わず、二郎が吐き捨てるように怒鳴ったのだった。

「さあて、皆さん、お静かに。説明上映を始めるよ」と、ナカムラが言った。

 すると、プロジェクターより映像がスクリーンにと投影されたのだった。

 最初にスクリーンに映し出されたのは、ガタイのいい中年の紳士だ。しかし、その顔の右半分は焼けただれており、片手には特徴的な形のステッキを持っていた。

「では、暗黒星のメンバーだと判明している犯罪者たちを、順に紹介していく事にしよう。これらの人物を見かけたら、どうか、注意していただきたい。まずは、この男が、世間ではクモ男の名で呼ばれていた殺人鬼だ。元々は、畔柳くろやなぎ友助という優秀な犯罪心理学者だった。彼には、我々警察機構もよく協力してもらっていたのだが、どうも、この男は犯罪のダークサイドに魅せられてしまったらしく、いつからか、自分が犯罪の仕掛け人になってしまった。恐ろしい殺人芸術を自ら作って楽しむようになってしまったのだ」

「僕も、畔柳さんの才能は認めてましたので、彼が道を踏み外してしまったのは、とても残念に思っています。クモ男になってからは、彼は、女優の富士洋子すらも殺して、晒し者にしようとしたのです。その際、僕が富士洋子の護衛について、ようやく彼の逮捕にこぎつけたのですが、この時に抵抗した彼は、顔に猛毒を浴びてしまいました。彼の顔は、今のような醜いものとなり、その事で、彼は、僕のことも激しく恨んでいるようなのです」ナカムラの解説に、アケチも補足説明を加えた。

「逮捕したのなら、なぜ、今、暗黒星のメンバーに?」と、二郎。

「脱獄されたんだよ。もう、何ヶ月も前に。警察では、ずっと、彼の消息を秘密裏に追っていた」ナカムラが、バツが悪そうに答えた。

「犯罪の研究家オーソリティだけに、クモ男は、犯罪用の道具をいくつも自作しています。例えば、彼が持っているステックにしても、先端からクモの糸のような特殊ロープを発射できる特製品です。他にも、多数の秘密の道具を隠し持っているものと推察されます」と、アケチ。

 続いて、スクリーンには、小さな子供のような体格の男の姿が映し出された。しかし、その顔をよく見ると、ヒゲ面で、明らかに大人なのだ。

「これが、一寸法師だ。奇妙に聞こえるかもしれないが、この男には戸籍がない。実は、軍部が作った人工生命体なのだ。前線で戦う擬似兵士として量産する計画だったらしいが、その試作品であるこの男が軍の研究所から逃げ出してしまった。以後、軍の計画が中止になっただけではなく、この男自身も凶悪な犯罪者として、街に放たれた状態になってしまったのだ」と、ナカムラ警部。

「この怪人は、知能も高く、身体能力も人間以上なのですが、唯一、感情が、本物の人間と異なっています。命やモラルという概念に欠けていて、平気で人を殺したり、ものを盗んだりできるのです。これまでも、放火や強盗など、多数の犯罪事件を起こして、警察のお尋ね者になっていました」

「おいおい。こんなものを作り出しておいて、外に逃がしてしまうとは、軍部も警察も、何をやっておるのかね!」善太郎が、呆れたように怒鳴った。

「もちろん、警察だって、何度も、この男のことは捕獲している。しかし、すばしっこい奴でね、捕まえても、その都度、逃げられてしまうのだ。前回などは、荒れ寺の中に潜伏していて、そこの住職のふりをして、皆の目を欺いていた。これで、なかなか、悪知恵の方も長けてるのだよ」

「困った事に、この一寸法師は人間じゃないので、法で裁く事も、刑務所に入れる事もできません。かと言って、警察の判断で、どこかに追放したり、殺処分する訳にもいかないでしょう。捕まえたあと、あやふやな留置しか出来ないものだから、なおさら逃げられやすいようなのです」

「まるで、現代の妖怪ですね。ところで、軍の方では引き取ってくれないのですか?元を正せば、軍の所有物なんでしょう?」と、興味深そうに、一郎が口を挟んだ。

「それが、色々と手続きが必要らしくて、軍もすぐには動けないみたいなのです」アケチが、残念そうに告げた。

 スクリーン上の映像が変わった。

 今度は、黒い帽子に黒マスク、大きなインバネスコートを羽織って、本体をすっぽり隠した人物だ。

「こいつが、ニジュウ面相。最近、このトーキョー・シティで、しきりに暗躍している怪盗だ。素性は不明で、ここに写した映像も、ニジュウ面相の表向きの正装の一つに過ぎない。この男は、美術品や宝石ばかりを狙う泥棒でね、しかも、事前に犯罪予告を送りつけるなど、愉快犯的側面も持っている。何よりも、こいつは、ニジュウ面相の通り名どおり、変装を得意としていてね。絶対に、本当の顔は見せようとしないんだ」

「20の顔と人格を持ち、女性や子供にも化けられると言われています。それどころか、過去の事件では、モノとか化け物のたぐいに扮したケースもありました。インドの呪われた宝石を狙っていた『黒い魔物』の正体も、結局は、このニジュウ面相でした。なぜ、こいつが、これほどまでの変身の名人なのか、その秘密は、目下、調査中です」

「アケチくんは、ニジュウ面相の事件は、よく担当しておったね」

「ええ。こいつの起こす犯罪は、非常に不可思議なので、僕のもとに依頼が来やすいのです。その度に、ニジュウ面相とは対決しましたが、今のところ、勝敗は五分五分といった感じです。奴が狙った宝石や美術品は、決して盗ませはしませんでしたが、僕の方も、奴自身を完全に捕まえるまでは至っていません。ニジュウ面相は、気取っているだけではなく、確かにバツグンに頭も切れるのです」

「さしずめ、アケチくんのライバルと言ったところだな」ナカムラ警部が笑った。

「他の犯罪者と違って、ニジュウ面相は、ちょっとした犯罪美学も持っています。盗みや誘拐はしても、絶対に人殺しはしないのです。それだけに、クモ男や一寸法師なんかと手を組んだとは、少し意外でした」

「わしの会社でも、高価な宝石を取り扱っておる。それが連中の狙いだった可能性はないのかね?」と、善太郎。

「さあ。そのへんは、まだ、はっきりとは断定できませんね」アケチが答えた。

 スクリーンに、次の犯罪者の映像が映し出される。

 今度も、派手に扮装していて、素顔がわからない人物だ。この人物は、顔も衣装もピエロの装いだった。

「この男が、通称・魔術師だ。やはり、悪名高い宝石泥棒なのだが、ニジュウ面相のような紳士ではない。『魔術団』と名乗る強盗団の首領でね、狙った宝石を奪う際は、平気で持ち主を襲って、時には殺してしまう事もある。非常に危険な人物だ。この映像も、かろうじて、生き残った被害者が写してくれたものだ」

「見ての通り、すっかり、ピエロの奇術師を気取ってますね。被害者の証言によると、奇怪な魔法を使ってみせると言うのですが、多分、手品の心得があるのでしょう。その点から推察して、元々はサーカスにいた可能性もあるのですが、この男については、僕もまだ事件を正式に担当した事がないので、詳しい正体が分かりません」アケチが、申し訳なさそうに述べた。

 スクリーンには、新たな犯罪者の映像が映った。

 背の高い、西欧人っぽい男だ。しかし、目が尖っており、口が異様に大きかった。明らかに、人間離れした顔なのである。まるでケダモノなのだ。

「こいつは、人間ヒョウ。本名は恩田なのだが、むしろ、人間豹と呼んだ方がピッタリだろう。実際に、見た目だけではなく、性格も行動もケモノみたいな奴なのだ。本能のままに生きる強姦魔でね、これまでも、何人もの女性が、こいつに襲われている。ほら、昨日のサーチライトにも、謎の男の影が写っていただろう。恐らくは、その影の主も、こいつだ」

 ナカムラ警部の指摘に、被害者である妙子は、ゾクッとして、悲鳴をあげかけたのだった。

「僕も、この男の事件には何度か携わりましたが、かなり手強い相手です。獲物に定めた女性のことは、本当に執念深く狙い続けるのです。まさに、野獣の化身ですね。こいつに歌姫の江川蘭子が狙われた時は、僕も警備していたのですが、文字通りの一進一退の攻防となり、いいところまでは追い詰めたのですが、結局は、こいつを逮捕する事までは出来ませんでした」

「ま、待ってよ!じゃあ、今度は、あたしが、こんな化け物に狙われてると言うの?」妙子が叫んだ。

「まあ、安全とは言えないでしょうね」と、アケチ。

「いやよ!アケチさん!あなた、日本一の探偵なんでしょ!だったら、あたしの事を、必ず守ってよ!」

「分かってます!僕も、暗黒星の連中には借りがあるんです。今度こそ、絶対に遅れを取らないつもりです」

「そんな口先だけの言葉なんか、信用できないわ!」

「ならば、僕は、自分の探偵生命をかける事にしましょう。もし、暗黒星の手にかかって、玉村家の人間が命の危険に晒され、殺される事があるようならば、僕は探偵業を引退する事にします。それでいいですね?」

 アケチ探偵の只ならぬ決意なのだ。

 アケチと妙子のやり取りが、ついついヒートアップし過ぎているのを見て、ナカムラ警部が、慌てて割り込んできたのだった。

「まあまあ、二人とも、少し落ち着いて。説明の方を再開してもいいかな?」

 アケチも妙子も、真剣な目つきで相手を睨んだまま、とりあえず、口を閉じた。

 スクリーンの映像の方が、再び切り替わった。

 次に登場したのは、還暦は過ぎていると思われる老人である。

「この男が、畑柳庄蔵。つい最近まで、西トーキョー・シティ刑務所に収監されていた囚人なのだが、どうやら、暗黒星の手引きで、脱獄したものと考えられている」

 ナカムラ警部がそこまで説明した時、プロジェクターの調子が突然おかしくなったのだった。

 スクリーンに映し出された映像が、ガタガタと揺れだしたのだ。映像自体も、ピタリと止まってしまい、別の映像に切り替わらない。

 このトラブルに、ナカムラも警官たちもオロオロしていると、急に、映像は勝手に変化したのだった。

 スクリーンいっぱいに、放射状の黒い線が広がったのだ。これは、サーチライトの事件でも映し出された、暗黒星を象徴するマークである。黒い天体をイメージした彼らの組織マークなのだ。

 なぜ、こんなものが急に映ったのだろうか。もちろん、ナカムラたちは、こんなものを映すつもりも、見せるつもりもなかった。そもそも、この映像資料に、このような画像は含まれていなかったはずなのである。

 となると、誰かが、どこかで、本来の映像資料に細工をしたか、すり替えたと言う事になろう。きっと、暗黒星の仕業だ。なんと鮮やかな早業なのであろう。これは、「オレたちは、こんな事もできるんだぞ」と言う、警察やアケチ探偵に対する、不敵な挑戦なのだ。

 この場にいた皆が、動揺していた。あまりにも驚き過ぎたナカムラ警部や警官らは、慌ててしまい、プロジェクターを元に戻すのも、止める事も、おぼつかなくなっていた。

 ギギギギギ

 プロジェクターのぎこちない故障音ですらも、なんだか、あざ笑っている声のように聞こえてくるのである。スクリーンには、不吉な暗黒星のマークが映り続けて、皆の不安な気持ちを、さらに煽り続けた。

 そんな時、パッとスクリーンが暗くなって、この騒ぎも、ようやく収まったのだった。

 よく見ると、アケチの助手のコバヤシ青年が、壁際のコンセントのそばに佇んでいた。ナカムラが困り果てていたのを見かねて、アケチが、とっさの判断で、コバヤシにプロジェクターの電源コードを引っこ抜かせたのであった。

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