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番外編 結婚出来ない理由とは (悠真視点)

1つ前の番外編と続いてはいるんですが、雰囲気が違ってしまったので分けました。

最後なのに……って内容ですみません。

美希が俺との結婚を約束してくれて、浮き立つような幸せを感じていた。

腕の中の美希を抱きしめながら、この幸せが一生続くことを本気で神に祈った。


「美希との将来が本当に楽しみだよ。 美希が俺の姓を名乗って、俺の奥さんとして一緒に暮らす日が今から待ちきれないな」

そう言うと、美希の方もギュッと抱きしめ返してくれた。

そこで再度幸せをかみしめて、キスをしようと美希の顔を覗き込んだ時だった。


急にハッとしたと思ったら、見る見る間に美希の顔が強張っていくのがわかった。

どうしたんだ……?


「わ、私! やっぱり、悠ちゃんとは結婚できない!! どうしよう~~!」

「――はっ? なっ…! 美希!? どうしたんだ?急に! 結婚できないって……さっき誓約書にサインしたばかりじゃないか!」

「悠ちゃんのことは好きなの! 出来れば将来結婚したいと思ってるのも本当なの! でも~~!!」


――落ち着け!!

また、美希がなにか俺の想定外の事を考えている気配がする。

きっと、思いもよらない理由に違いないんだ!

それを聞かないことには、始まらない。


「美希? 何を気にしているのかわからないけど、何か問題があっても俺が必ず解決するから、とりあえず話してみてくれないか?」

内心、何を言い出すのかと戦々恐々としていたが、とにかく冷静にと自分に言い聞かせ、美希に話をさせようとしたのだが……。


「どうしてもっと早く気づかなかったんだろう……。最初から私は悠ちゃんとは結婚なんて出来ない運命だったのに!」

なにやら、自分の世界に入り込んでいるのか、俺の言葉も耳に入っていないらしい。

ますますよくわからない。

結婚出来ない運命だって?

まさか、兄妹でしたってわけでもあるまいし。

それ以外、他に結婚できない運命なんてあるのか?


「美希!」

大きめの声で名前を呼び、肩を掴んで顔をこちらに向けさせた。

ようやく俺を視界に入れたことを確認して、もう一度聞く。

「で? 結婚出来ないって美希が言う理由は? 俺がわかるようにちゃんと答えてくれ。 でないと、今すぐにでも、既成事実を作ってしまいたくなるよ?」

そう、そんなに結婚出来ない出来ないというのなら、せざるを得ない状況を作ればいい。

それには、美希が妊娠するのが1番手っ取り早い。

まぁ、それは最後の手段だが。


「きっ、既成事実って……! 何考えてるの!?」

「何を考えてるのか知りたいのはこっちだよ。 さっきまで俺との結婚に同意していたのに、急に出来ないなんて言われたら、理由を聞くのは当然だろう?」

俺の言葉に何か言いかけて、でもやめるというのを2回繰り返し、ようやく美希が理由を話した。

――話したんだが……。

それを聞いた俺は、あまりのバカバカしさに、頭を抱えてしまった。


「だって……!」

「うん、だって、何?」

「だって…… な、名前が…」

「――? 名前?? 名前がどうしたって?」

「悠ちゃん、わざとなの? わざと気が付かないフリしてるの!? 悠ちゃんと結婚したら、私、神木美希になるんだよ!?」

「…………」

それは、確かにそうだが…?

「うん、そうだね? いい名前だ。 早くそうなって欲しいよ?」

それ以外、俺に言うことはなかった。


「なっ!!! いい名前って何言ってるの!? 神木美希だよ? か・み・き・み・き!! こんな舌噛みそうな、繰り返しみたいな、韻を踏んだ名前、ありえないよ~!」

「…………」

そこで俺は思いっきり脱力し、同時に頭を抱えることになった。

――なんだ、その理由は。

運命だなんて言うからよほどのことかと思えば、やっぱり俺の美希は想像の遥か上をいくんだな……。

本当に、美希といると退屈とは無縁だ…。


「あのね? 美希」

「――何? やっとわかってくれた? そんな名前になりたくないっていう私の気持ち」

「――はぁ~~。…あのさ、神木美希は全然おかしくなんてないよ? ほら、かみ・き・みきって感じで区切りがあるから違和感がないんだよ。これが、美樹本美希(みきもとみき)とか、さらに三木美希(みきみき)とかだったら『みき』が強調されるから違和感があるだろうけどね?」

「え~。そう、かなぁ~…?」

半分納得したものの、残りの半分は疑ってる顔だな……。


「じゃあ、こうしよう。 結婚する時になってもまだ、美希が納得出来てなかったら、その時は俺が早瀬悠真になるよ。 それで問題解決だろう?」

「えっ! でもそれは…。 悠ちゃんの家って家柄良さそうだし、そもそも悠ちゃん長男でしょう? そんなの無理だよ、きっと」

「美希との結婚と天秤にかけたら、名前なんて俺にとってはどうでもいいの一言なんだよ。 だから美希はなんにも心配しないで、俺とずっと一緒にいるってことだけ考えて?――ね?」

そう言って微笑むと、すぐさま真っ赤になって頷く美希。


あぁ、本当に素直で可愛い、俺の愛しい美希。

時々こうして俺を慌てさせ、焦らせ、不安にするけど、その度に「やっぱり美希じゃないとダメだ」と思い知らされる。

俺の生涯ただひとりの恋人。

俺のすべてをかけて美希を守り、一生愛し続けると誓うよ。

だから、ずっとずっと側にいてくれ。

そうすれば俺は、間違いなく世界一幸せな男になれるんだ。







これまで2回完結しては再開…となってしまいましたが、これですべて完結となります。

最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました!

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