レイプ
中途半端です。
『毒になる花火』の本編軸での話です。
電気のついていない暑苦しい自室。
窓から差し込む月の光でうっすらと見える綾乃の褐色の髪、それから匂う汗の混じった綾乃の温かい匂い、首筋に感じる痛みと強い異物感、それを覆い隠そうとするじんわりと広がってゆく快感、それら全てに、心臓が、脳が、体が、『幸せ』と主張してくる。
けれど、それはわたしが望んだ幸せではなくて、、素肌で感じる綾乃の肩を掴み、出せるだけの力で押し返そうとするけれど、びくりとも動かない。
そのうえ、肩下までずり落ちている浴衣の中に感じる綾乃の手にありえないほどの力がこめられていて、
頭で響く快感に変わってゆく痛みで、爪が肌に食い込んでいることが、わかった。
「ッ────、ねぇっ、離、して」
理性が主張したわたしの声は、思ったより小さくて、震えていて、弱かった。けれど、それに反応するように背中から手が引き抜かれ、首筋にあった異物感は消え、それらを埋めるように冷たい物足りなさが隙間に入って、空洞を広く深くしてゆく。
はあ、はあ、といった吐息交じりの、色っぽい声が耳元から頭上に移動していく。
ツー、と背中に垂れる液体からくる快感を意識しないように、視界の暗闇のある一点を見つめていると、頬に熱い何かが触れ、視界でチカリと爆ぜた。
そして、気付けば綾乃を見上げるという形で、紅い瞳と目が合っていた。
綾乃を見上げるという新鮮さに、襲われているということを一瞬、忘れてしまう。
「綾乃、大きいね」
綾乃の顔はりんごのように赤く、漫画でよくみる恋する少女の顔で、それがわたしに向けられるものだと気付いてしまう。
拒否感がわたしの頭に警報を鳴ら響く。
「ねえ、栖は私が嫌い?」
そう優しい声で聞いてくる綾乃の黒に戻った瞳に映るわたしは眉間にシワが寄っていた。
「その、聞き方、は、ずるいんじゃ、ない?」
息が絶え絶えの中、文句を垂れる。
好き、ではある。けれど、わたしの今の好きは性欲に流されている結果のものだと思うから。
「今の好きは、快感に────」
へ?
『──流されたもので、友情の好きが本心』そう続けようとした言葉は柔らかい何かに塞がれ、声にならなかった。
初めは何をされたかが分からなかった。けれど、徐々に脳が追いついてきた答えは『口づけ』で、その答えに頭で鳴り響く警報音は更に大きくなるが、異常に速い鼓動がかき消してゆく。
瞬間、唇の検問を搔い潜り入ってきたものに気付き、歯を閉める。
その感覚が合っていたと証明するように、歯の表面に生暖かいものがぶつかった。
心地が悪い。綾乃の舌がぬるりと、わたしの歯を舐め上げた。
「んんん!んんんんんー!!」
声にならない抗議を叫ぶ。それでも離してくれなくて、肩を押しても、叩いてもびくともしない。狭い思考の中で『綾乃の舌を噛む』そんな選択肢が浮かんで、掻き消した。
その生暖かいもの、綾乃の舌はわたしのノックするように、何度もつついてくる。そのたびにゾクリともならない弱い快感に、切なくなってくる。
物語に入れる隙間が無い事に遅くに気付いたのでここに投稿します。
分かりにくい所が有ればコメントで教えて下されば嬉しいです。




