偶然
42話
「あそこの人に聞いて来ますね・・・!」
不安状態のオルビスはそれを紛らわすように笑って言った。しかし普通に苦笑いだった。
オルビスは近くにいた男の人に話しかけていた。俺も急いで向かった。
「あのーグルドアギスの剣という店・・・どこかわかりますか?」
「グルドアギス!知ってますよ!今からちょうど行くところでしたので」
「そうですか!できれば一緒に・・・」
「いいですよ!ちょっと待ってくださいね・・連れが2人いるので・・もう少しで帰ってくるはずです」
どうやら俺たちは今からグルドアギスの剣という場所に向かうらしい。
なんかちょっと・・・いや、かなり異世界感が強く俺はちょっとワクワクした。
そうして俺たちは待機した。
「ハズン!遅れてごめんね〜!」
遠くから声が聞こえた。2人の少女だった。
「あ!もしかして!」
「どうかしましたか?勇者様?」
何か聞こえた。“勇者”という言葉が。
言ったのはオルビスではない。ということはこの人たちはまだエルフィデスでは発表されていない勇者なのかもしれない。
「いややっぱ気のせい!」
「皆様!お名前の方を。ではまずはそちらの騎士様からで」
「オルビスです!」
「ふ〜ん・・・オルビス・・」
なぜか1人の少女がオルビスに対して覇気を飛ばしていたがそれは気にしないことにした。
「ではそちらの方も」
「はい・・カミイです。よろしくお願いします」
俺は偽名を言った。俺の本能がここで本名を言うとめんどくさくなるという警報を出したからである。
「オルビスさんにカミイさん!いい名前ですね!では、こちらも自己紹介を。私は勇者様の引率をしているフウデリと申します」
「勇者様ですか?」
「そうです。勇者様です。ではご紹介します。こちらの現在進行形で飯にガメついている方が5人目の勇者様、渕上明里さんです」
「よぼしく」
その渕上という少女は口にどでかい肉を詰め込みながら言っていた。
「ではあと1人。この方は勇者10人の中において1番強う勇者様であります。名前は・・」
「フウデリ、大丈夫、私が言うから」
「そ・・そうですか」
「私の名前は鶴城白。1人目の勇者よ」
その鶴城は俺のことを見て来た気がするが気のせいだろう。
「オルビスさん、カミイさん、実は言うとまだエルフィデスで発表されてないので・・秘密にしてもらえると・・」
「わかりました!戒・・・・カミイ様!一緒に気をつけましょう!」
「はい!」
勢いで返事することによってオルビスが途中まで言いそうになっていた“戒”と言うワードを誤魔化すように俺は答えた。
「では行きましょうか!私、フウデリを先頭に行きましょうか!」
前からフウデリ、渕上、鶴城、俺、オルビスの順番で歩いた。結構な大人数になったものだ。
歩いているとオルビスが小さい声で話しかけて来た。
俺はくることを大体は確信してたので歩くペースを落として少し集団から離れた。それに順じてオルビスも下がった。
さっきから鶴城が後ろを見たりしていたので、慎重にスピードを遅くした。
「戒様、どうして偽名を・・?」
「相手が勇者と言ってたので・・バレたら大変になるかもと・・双方が・・」
「そうですか、優しいですね・・!」
「そう・・・ですね」
俺はオルビスにこの状況で“めんどくさい”からとは言わなかった。言ってしまったらオルビスの挙動がおかしくなるかもしれないし、うっかり口を滑らせてしまうかもしれない。何よりも変に配慮をしてほしくない。
「フウデリ〜〜スピード落として!!」
前から声が聞こえた。鶴城だ。俺は慌てて歩く速度を速めた。
「なのでオルビス、戒ではなくカミイと呼んでください。ちなみに勇者のことも秘密でお願いします・・・!」
「わかりました・・!」
俺たちは集団のペースに戻った。周りに人が多いところでかなり騒がしい。きっと聞こえていないだろう。・・・そうであると信じたい。
「フウデリさん!大丈夫です!そのままのペースで!」
「そうですか!!もし、きつかったら言ってくださいね!!」
「OKです!!」
そうしてグルドアギスの剣という場所に向かっていった。
これで勇者全員出揃いました。




