表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不良令嬢と残虐鬼辺境伯の政略結婚!!  作者: 桜あげは 


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/99

64:不良令嬢と平行線の議論

 その後、サイファスは見事に不審者を捕まえてきた。

 相手はいかにも「その道のプロ」だったが、忍び足を覚えた残虐鬼を前に為す術なく倒れた。

 尋問を受けた不審者は、依頼されエイミーナを襲っていた。

 依頼者はミハルトン家に恨みを持ち敵対する人物で、公爵令嬢を攫おうと動いていたようだ。


「クレア、依頼者に心当たりは?」


 尋問から戻り、綺麗に身を清めたサイファスを前に、寝間着姿のクレアは「う~ん」と、うなり声を上げる。

 不審者の告げた「依頼者」の名を知っていたからだ。


 クレアは、またもやサイファスの部屋に押しかけていた。


「依頼者はミハルトン家の筆頭執事だ。ここでいう、セバスチャンの立場だな」

「なるほど」

「その執事も親父の子供の一人で、俺の腹違いの兄だ。当然、奴も俺やクレオの入れ替わりを知っている」


 ミハルトン伯爵は多くの子供を作り、その中で役に立ちそうな者を集めている。

 筆頭執事もそうやって集められた子供の一人だった。

 クレアの知る限りでは、優秀な人物である。


「なんで、あいつが?」

「捕らえた者の言い分によると、ミハルトン伯爵を困らせたかったようだよ」

「親父を?」

「エイミーナ嬢を害すれば、公爵家の怒りを買い、ミハルトン家は大きな打撃を受けると思ったのだろうね」

「なんの恨みがあったか知らないが、迷惑な奴だ。公爵家は執念深いぞ? 前にエイミーナに隠れて意地悪をしていた令嬢の家は、謎の破産をしたし」


 今の公爵は、自分の家を侮る者を許さない。

 これまで、ミハルトン伯爵家が上手くやってこられたのは、彼を味方につけていたことも大きかった。

 クレアとクレオの入れ替わりについて、公爵に正直に話をしているのも、相手に妙な警戒心を抱かせないためだ。


「しかし、迷惑な奴だな。こんな場所で事件になったら大変だ。クレオはどうでもいいが、サイファスにまで被害が及ぶ。責任問題とか騒がれたら面倒だな」


 さっさと問題を解決した方が良さそうである。


「よっしゃ、ちょっと王都へ殴り込みに行くか! 執事をとっ捕まえてくる」

「クレア!? 本気なの? そんな、虫取りに行ってくる……みたいなノリで言われても困るよ!」


 例える内容が、自然豊かなルナレイヴらしく素朴だ。


「親父もクレオも当てにならねえからな。ついでに、エイミーナの件もなんとかしてくる」

「は、反対だ! 反対、反対! 私を置いて、王都なんかに行かないで!」

「しゃーないだろ。ミハルトン家の事情で、お前に迷惑をかけたくないんだよ」


 クレアは、サイファスやルナレイヴの人々が気に入っている。

 だからこそ、彼らに不利益をもたらす事態は避けたいのだ。


 どんなに素晴らしい土地であっても、領主が優れた人物であっても、王都で離れた土地のことは正しく伝わりにくい。

 心優しいサイファスが、王都では残虐鬼と恐れられている。

 万が一、辺境でエイミーナに何かあった場合、サイファスの噂が悪い方向に働く可能性も大きい。

 クレアは、サイファスを盟友のように大切に思っている。

 彼や彼が愛する領地を守りたいのだ。


「明日、エイミーナを連れ帰る。クレオの馬鹿や、その愛人も一緒に王都へ帰す」

「私は許可しない。辺境伯家の責任者は私だから、勝手な行動は許さないよ。もしクレアが王都で危険な目に遭っても、ここからでは、私は君を守れない。そんな土地に愛する妻を一人で送れるわけがない」

「じゃあ、アデリオも連れて行く」

「余計ダメだよ!」


 蒼白な顔で身を乗り出すサイファスに、クレアは圧倒された。


「……わけのわからん奴だなあ。どうしろって言うんだ」

「クレアは、ここにいればいいよ。私が、なんとかするから」

「それが嫌なんだよ。サイファスを伯爵家の面倒ごとに巻き込みたくないんだ」

「私は君の夫だ。むしろ、どんどん頼って巻き込んでほしい!」


 話し合いは、どこまで行っても平行線だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ