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防衛学園の相棒契約《エンゲージメント》  作者: 夢達磨
第1章 謎の転入生と白き戦乙姫

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第9話 クリアを取り戻せ!


「く、クリアさんが! 攫われてしまいましたーっ!」


 学園長の叫びを聞き、多くの生徒が集まった。


「学園長! クリアちゃんを連れ去ったやつはどんなやつや!?」


 切覇の問いに学園長は拉致した宇宙機械統制連盟について説明し、外に出たと伝えた。


「レイラさんと、頼りたないけど生徒会長にも連絡や!」


 その言葉の後に切覇は背中をゾッとさせた。


「誰を頼りたくないんですの? 私はこれでも可愛い後輩に頼られる先輩を目指していますの」


「せ、生徒会長!? 後ろから出てこないで下さいっていつも言ってるやないですかぁ!」


「切覇ちゃん、そんなこと言っている暇じゃないよっ! クリアちゃんが!」


「せやった! 生徒会長も力を貸してください! 何か未来見えてへんの?」


「もちろん、見えてますの。だからこんなにゆっくりしてますの。あなた方は東の船着場に向かってください。そこでは何もしなくても大丈夫ですの」


「え? 何もしなくていいってどういう?」

「そのままの意味ですの」

「わ、分かりました」


 あんまり納得はしていない様子の切覇。


 アンブレラは別の生徒を指差して言う。


「あなたたちは『技術者テックマスター』の護衛をお願いしますの」


「分かりました!」


 指示を受けた生徒たちはテックマスターたちがいる技術塔テックタワーへと向かった。


 そして、笑実たちは船着場へと走り出した。


「クリアさんが拉致られるの分かってたなら何で止めなかったんや!?」

「確かに!」


 切覇たちの言葉に、ヒサラルにお姫様抱っこされたアンブレラは、笑いながら答えた。


「それは面白いものが見えたからですの。まあ、一度怖い経験をさせて、相棒の大切さを知るいい機会ですの」

「うわぁ、ドSやなぁ」

「酷い……」


 ドン引きする笑実たち。


 そして、船着場に着くと、一つの中型の宇宙船が配置されており、地上にはたくさんの宇宙機械統制連盟の戦闘員が警戒し、空から複数のドローンが見張っている。


 一旦、小屋の物陰に隠れることにし、様子見をする笑実たち。


「あの宇宙船にクリアさんがおるんか? あんな人数相手にできんで」

「でも、やるしかないよ!」


「よし、準備するで」


 笑実は指輪から星導力を送る。


 切覇は剣を取り出し、声を上げながら連続で振るった。


 三十数えた後、「よし、準備完了や!」と呟く。


 そして、少し離れた場所にいるペアに合図を送った。


「笑実! 行くで!」

「うん!」


 そして、彼女たちは一斉に飛び出した。


「『疾風迅雷』!」


「なんだ? うわぁああっ!!!」


 切覇は目にも止まらぬ一撃で戦闘員を倒して制圧した。


 その間に他の生徒が浮いていたドローンを破壊した。


「なんや、あっけなかったな。さて、早く囚われのお姫様を助けに行かなな」


 そして、騒ぎを嗅ぎつけた別の部隊がロボット兵を連れてやってきた。


「やれー! ロボット兵よ! あいつらを始末せよっ!」


 一人の戦闘員の号令に、ロボット兵が銃口を笑実へ向けた。


「危ない笑実!」

「わぁっ!」


 銃口が笑実を捉えた瞬間、切覇は叫ぶより先に体を投げ出していた。

 彼女の肩を掴み、そのまま地面へ押し倒す。


 次の瞬間、乾いた銃声が響き、弾丸が二人の頭上を切り裂いていった。


「うっ!」


 だが、その一発が切覇の右肩をかすった。


「切覇ちゃん!」


「『ヘヴィシールド』!」

「『スターライトアセンション』!」


 突然現れたシールドが切覇たちを守り、光の一線がロボット兵を消滅させた。


「レイラ様っ!」


「あなたたち大丈夫?」

「はい、私は大丈夫です。でも、切覇ちゃんが!」

「ただ掠っただけやから大丈夫や」


 そう言って切覇は立ち上がった。


「クリアさんはあの船の中にいらっしゃるの?」

「確認は出来ていませんが、生徒会長がここに行けって。そしたら、ロボット兵やドローンがたくさんあったんです」


 笑実の言葉にレイラは一旦悩んだ顔を見せた。


「なるほど。アンブレラ生徒会長が……。あの人の言うことは信用できないけど、今は疑っている場合じゃないわね。あなたたちはお逃げなさい。ここは私たちだけで十分でしてよ」


「えっへん! 任せておいて!」


「ありがとうございます。レイラ様もお気をつけて! 切覇ちゃんごめんね。行こう」

「せやな。レイラさん、クリアさんをお願いします」


 レイラは顔を縦に振った。


 すると突然、島を覆っていた障壁が崩れていった。


「何事っ!?」


「ハーーーーーッピネーーーーーーース!!!」


 突然空からそんな男の声が聞こえてきた。


 人一人が立って乗れる程度の大きさで、地面からわずかに浮いたまま移動している。それは椅子のようにも見える小型の浮遊装置だった。


 浮いたままゆっくりと、クルクルと回りながらレイラたちに近づいてきた。

 

「あなたは誰? 宇宙機械統制連盟のボスかしら?」


「あなたは毎日、ハピネスを感じてますか?」


 レイラの問いにそう答えた。


「話が通じないわね。消えなさい! 『スターダストアセイラント』!」


 レイラはその男に向かって攻撃を仕掛ける。が、見えないバリアに阻まれ、攻撃は通らなかった。


「なんで攻撃が当たらないの?」


 その男はたくさんのジェスチャーをしながら話す。


「科学を信じない者は僕に触れる事も許されないのです。何故なら、科学は夢であり希望。そして未来なのです。すなわち科学はハピネスなのです!」


「何を訳の分からないことを仰っているのかしら。そんなことよりクリアさんですわ」


 レイラはそのまま宇宙船へと向かい、扉を破壊して、中へ入って行った。


 男の乗っている浮遊装置は地面に着くと、降りた。


「うーむ、なんて愚かな娘でしょう。科学への信仰がない者はやはり、愚か者なのですよ」


 男はボタンが一つだけ付いた黒色のリモコンを取り出すと、スイッチを押した。


 すると、レイラが入った宇宙船が爆発した。


 轟音と爆風と共に宇宙船のパーツが辺りに散らばる。

 

「「レイラ様ーーーーっ!」」

「おいおい、マジかよ!」


 しかし、その爆風の中一人の影が爆発した宇宙船から飛び出してきた。


 それはアストラルアウェイクをしたレイラだった。


「レイラ様っ! アルマは信じておりました!」


 レイラはアルマたちの元へと戻る。しかし、クリアの姿はなかった。


「クリアさんはいなかったわ。ここはダミーと思われるわ」

「そんなーっ!」


「生徒会長はここでは何もしなくてもいいって言いよったな」

「だね」


 切覇の言葉に笑実は頷いた。


「何もしなくてもいいってどう言うことかしら?」


 アストラルアウェイクのレイラの姿を見たその男は興奮した。


「おぉ! その姿! その力! 間違いありません! アストラルアウェイクですね! あなたは一千年に一人の逸材だったのですね! どうでしょう! 僕の研究に協力してくれませんか!? 僕は星紋について研究をしているのです!」


 その男は先ほどとは別人のように語り出した。


「嫌よ。気色悪いですわ。クリアさんはどこにいるの? 答えなさい」


 すると、遠くから「見つけたぞ!」と連盟の戦闘員が集まってきた。


「次から次へと。あいつらはゴキブリかいな」

「切覇ちゃん、その例えはないよ」


 戦闘員は男を指を刺し怒りをあらわにする。


「おい、ヴァルトーム! 何故、宇宙船を壊した! 俺たちが帰れないだろ!」

「俺たちの研究のデータが残ってたらどうするんだ!」


 ヴァルトームと呼ばれた者は、薄紫色の髪を無造作に伸ばした男だった。整っているようでいて、どこか常識から外れた雰囲気を漂わせている。両目には不思議なマーキングが刻まれている。


 白一色の研究員服に身を包み、汚れ一つない装いだ。


「安心してください。データは既に僕が保護してあります。宇宙船を壊したのはもちろん……。あなたたちとはここでサヨナラだからです」


「何を訳の分からないことを! そのデータもロボット兵も俺たちの言うことしか聞かないようにプログラミングしてるんだぞ! データだけあっても意味をなさない!」


 ヴァルトームは左手で顔を隠し大きく笑う。そして、落ち着いた口調で話す。


「本当に愚かな人たちだ。僕たちが君たちのような無能集団を仲間に引き入れる訳ないよね? そんなことくらい考えなくても分かるでしょ? 僕が欲しかったのは君たちの機械技術だけだよ」


「裏切ったのか! 許せねぇ! やれ、ロボット兵よ! あのヴァルトームを殺せ!」


 一人の戦闘員が指示を出すが、ロボット兵は動かない。


「おい! あいつに攻撃しろ!」

「俺がやってみる。ロボット兵よ! ヴァルトームを撃ち殺せ!」


 誰がやってもロボット兵は微動だにしない。


 ヴァルトームは戦闘員たちを指差し、落ち着いたトーンで命令を下す。


「宇宙機械統制連盟の者を一人残さず殺せ」


 すると、ロボット兵たちは対象の人物たちを次々と殺害し始めた。


 銃口を頭に突きつけゼロ距離で銃殺したり、お腹を刃で切り裂き半分にしたりした。


 ものの数分で連盟たちの死骸が山積みとなり、床はあっという間に血で赤く染まった。


 生き残っている者は震えた手で銃を構える。


「なんでお前の言うことを聞くんだ」


「何故って天才科学者である僕がプログラムを書き換えて上書きしたのですよ。ロボット兵ってなんか大事にされている気がしませんので、ちゃんと名前も考えたのですよ? 『アストラ兵 バージョンアルファ』。それが彼らの新しい名前です。素敵でしょ?」


「うわぁぁ!!!」


 ヴァルトームに向けて銃を乱射するが彼に届く前に弾丸が落ちる。


 そして、残りの隊員たちもアストラ兵に殺されてしまった。


「酷すぎる……」


 あまりにも酷い光景に笑実は眼を塞ぐ。


「な、なんやねんこれ……」


「レ、レイラ様、どうしましょう?」

「敵同士で仲間割れしてくれるなら助かりますわ」

 

 アルマの言葉にそう返し、レイラはアストラルアウェイクを解除した。


「目的を果たしましたので僕はこのまま失礼します。アストラルアウェイクのお姉さん。研究に協力してくれる気になりましたら、連絡を下さい。皆様、またお会いしましょう」


 ヴァルトームはそう言って一枚の紙切れを地面に落として、浮遊装置で逃げようとする。


「待ちなさい! クリアさんはどこ!」

「ここには居ませんよ。では、アデュー!」


 すると、ヴァルトームは浮遊装置と共に一瞬で消えた。


 笑実はゆっくりと目を開ける。


「裏切られるなんて可哀想」

「まあ、しゃーないわ」


「それにしてもあれはなんや? 瞬間移動か? じゃあなんで障壁を壊したんや?」


「クリアさんが乗っている宇宙船は瞬間移動ができないから、障壁を壊す必要があった……? な、なんちゃって」


 笑実の言葉にレイラは答える。

 

「正しいと思うわ。とりあえずアンブレラ生徒会長の言葉を信じましょうか」


 アルマはヴァルトームが落とした紙を拾った。


「アルマ、なんて書いてあるの?」

「ええっと、名刺みたいですね。星合機科学総合研究所、ヴァルトームと書いてます!」


「星合機科学総合研究所……今まで大人しかったのに……。クリアさんとなんの関係が?」

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