表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲームのGMと思った? 残念!異世界管理人でした!!  作者: 黒野されな
2章 戻れない『日常』と正すべき『日常』
26/155

救出作戦? その2

現地時間でちょうど0時を過ぎ、もはや外を歩くのは見回りの衛士がたまに通るか酔っ払いがいる程度だ。

ポインティングされた場所はやはり商店のようだ…人間専門の…人間用の店ということではない、商品が人間という店。

俗に言う人身売買…奴隷ということだろうか。

目的の人物はこの商店の地下にいると反応しているが当然、こんな時間に店が開いている訳はない。

日本のコンビニとは訳が違う。

『非接触』も起動しているのでこのままいつものようにお邪魔しま~す。



とは、行かなかった。

扉をくぐり抜けた瞬間、けたたましい音が鳴り響き自分の体が見えるようになった。

各種隠蔽効果がキャンセルされたようだ。

これは罠…というより防犯装置のような魔法に引っかかったらしい。

…自分の勉強不足を痛感させられる。


店の奥から数人、外を回って私達の背後にぞろぞろと王都の衛士ではない装備をまとった兵士たちが集まってくる。

統一された装備と無駄の無い行動…公爵お抱えの衛士よりも練度もレベルも高い、これは確実に警備などを超えている。

謎の兵士の総数は…12人。

こうなってしまってはしょうが無い。


「我が声をお聞きなさい、ここにコーウェル公の妻がいるのは既に把握しています。おとなしく解放すればこの度の誘拐に関しては目を瞑りましょう。さもなくば…」


「さもなくば…なんだね?

格好だけは立派なこそ泥風情がワタクシの業務を妨害してくれちゃってぇ」


店の奥からでっぷりと膨れた腹の脂ぎったオーク…豚…いや人がのっしのっしと出てきた。

顔に似合わない裕福そうな服に栄養過多な腹からみて間違いなくこの店のオーナーだろう。

奴隷というのは余程儲かるのだろうか、その腹にはどれだけの膿が溜まっているのやら…


「この店の主人ですね…先程も言いましたが公爵の妻を解放なさい、さもなくば…力づくで助けるまでです。」


「はん!公爵の妻と娘なぞ知らんわ!貴様こそ隠蔽魔法を使用しての店への侵入容疑で捕まえてくれるわ!!」


「おや?」


どうやら墓穴を掘ってくれたようで助かります。

ハチ、『完全隠蔽』のまま隠れて決して手を出さないように。

幸いな事に隠蔽魔法がキャンセルされたのは私だけ、ハチは今の所見つかっていない。


「おかしいですね…私は公爵の妻…とは言いましたが娘のことは言っていませんよ?」


「チッ…捕まえて商品にしてやろうと思ったがもういい、殺せ!」


こいつらが誘拐の主犯…ないしは重要参考人だ。

オーナーの声と共に前方から槍が1人、後方から短剣が1人、斜め後方より弓矢、店内より土魔法による足の拘束が同時に襲いかかる。

非常に高い練度と実戦経験ゆえの連携だろう。


私はあえて避けず、全てをそのまま攻撃を受ける。

攻撃が私の体に触れ、硬直する兵士達。


「ははっ!口ほどにもない…死体は処理して豚の餌にでも――「その言葉、そっくり返します。」」


槍は腹部を貫けずに止まり、短剣は背中を撫でただけ、弓は弾かれ、足の土は意味を成さない。


「!?何を遊んでいる!!さっさと殺さんか!!」


「…たかがレベル30程度の攻撃が通る訳が無いでしょう。」


レプリカ武器:神槍グングニールを出し、槍を持っていた男の胴体を薙ぐと男はくの字に折れ曲がり、店の壁を突き破り隣の商店の壁にぶつかり倒れた。

見た感じでは胴体は繋がっているし、気絶しているだけのようだ…よかった、これなら私の力量でも殺さずに済む。

振り返り短剣を持った…女性だった、に対峙すると女性は両手に持った2本の短剣でこちらをやたらめったらに切りつけてくるが傷が出来る気配はない。

ゆっくりと槍を構え女性の胸を突く。

残像を残して真後ろに吹っ飛ぶと後方に残っていた数人がクッション代わりになり一緒に倒れた。

こちらの女性も胸に傷はない。


「次」


短く言い放つと矢を放った屋根の上の男に向けて武器を投げる。

弓矢を持った男が消えた…否、投げた槍と一緒に楽しい空の旅を楽しんだ後どこかの屋根に落ちたようだ。

私の手元には投げた戻ってくる。


最後は魔法を使ってきた奴…『麻痺』を発動すると店内で倒れた音がした。


「はぁ…『口ほどにも無い』ですね…」


わざとあの豚オーナーと同じ言葉を返し、煽ってみる。

まだ8人残ってはいるが低レベルとはいえそれなりの実力者だ。

圧倒的な差を感じてじりじりと後ろに下がり始める。


「ば…化物め…!」


豚オーナーはのっしのっしと店内に戻ると紫色のこぶし大の宝石を持って出てきた。


「化物の相手は化物だ!お前たち、ワタクシの逃げる時間を稼げ!!」


部下の兵士たちにそう告げると宝石を床に叩きつける。

宝石が割れ、中から黒い…そう瘴気とでも言うのだろうか黒いモヤが現れ徐々に形を成してゆく。

周りの兵士たちは出てくるものが何か察しているのだろう、宝石が割れてからは先程の3倍程度の距離を取っている。

豚オーナーはゆっくりと…本人は急いでいるのだろうが店内へ逃げ出していた。


"ハチ、その豚を逃さないように捕まえておきなさい。私はコレを処理してから向かいます。"


"うむ、承知したぞ"


商店の奥から「ギャッ」と声がしたのでもう終わったのだろう。

さて、こちらは目の前の脅威に集中するとしよう。


黒いモヤは2メートルほどの人型…形は頭1つに胴体、腕2本、足2本…ではあるが少なくとも人種ではない。

灰色の肌にところどころに生えた棘、3本指と鋭い爪、大きな顎に瞳の無い水晶のような眼と思われる部分が3か所。

何だこいつは?



種族:グレーターデーモン

階級:SSR

性別:不明

レベル:53

状態:健康


召喚獣では無いにしろモンスターなのは確定だ。

それにレベル50代とはエミエのゴーレムよりも確実に強い。

さすがに私も無傷では済まないかもしれない、と武器を構える。


デーモンは私を一目見ると、くるっと振り返り店内へ歩いてゆく。


あれ…戦う気無し?


とか思っていた自分をぶん殴ってやりたいパート2。

デーモンは店内に麻痺で倒れていた魔法士を掴むと『食べた』。

頭から丸かじりという事ではなく、イメージするなら分解して吸収というような形だろうか。

…心なしか一回り大きくなってない?


デーモンは次に、私が最初に吹っ飛ばした槍の兵士も『食べる』…血管が浮き上がり、確実に筋肉が張っている。

私の油断、思い込みで無関係でも無いし罪もないわけでもないが…2人が消えた。

重症でも生きているなら何とか出来たが遺体すらなければどうしようも無い。

これ以上、奴に食わせるわけにはいかない!


「あの豚オーナーの部下たち、死にたくなければさっさと逃げなさい!奴に食われては死体も残りませんよ!」


多少の忠誠心はあるだろうが人としての恐怖心が勝ったのだろう、倒れていた仲間を拾いつつ兵士たちが引いていく。

そして奴は…



種族:グレーターデーモン

階級:SSR

性別:不明

レベル:55

状態:魔力過多



見るからに意気軒高、レベルも2つほど上がっている。

こいつを野放しにすれば王都の住民に被害が出るのは時間の問題だろう、ここで殺さなければならない。



私は槍を構え、本気で踏み込む。

石畳の床が砕け、地面が陥没する。

視界の先にはデーモンを見据え、周りの光景は不要な情報として流す。

瞬く間にデーモンの胸に槍を突き立て初速の勢いのまま突き進む。

隣の商店の壁を突き抜け、その隣も突き抜け…4店目を突き抜けた先は街道になっていて障害物はしばらく先に城壁、城門が見えるぐらい。

もう一度、加速を得るために地面を蹴るとまた石畳が陥没。

結構な音が出ているはずだが私に音が届くことは無いかった…つまり今の私は音速を超えている?

なんてある程度高速化された思考でも城壁まではあっという間だった。

いくら城門の周りと言っても門前宿が多数ある、ここはまだ駄目だ、かと言って「門を開けろ」なんて間に合う訳もない。


…突き破るしかない。


幸いデーモンは風圧の為かまだ身動きは取れないようだ。

自身に身体強化の魔法…選んでいる暇はない、片っ端から強化を重ねていく。

もう一度地面を蹴る。


門を壊した手ごたえは感じなかった。


ただ気づけば城壁の外…街道と草原が見えていた。

私はデーモンから槍を離し、両足と槍で地面にガガガガガ……と3本の筋を作りながらブレーキを掛ける。

長い長い跡を残して停止する…かなりの速度が出ていたのだろう城壁が今や数キロほど離れているのが分かった。


今更ですが壊してしまった商店の皆さん、街道の修理を行う職人さん、門の門番さんごめんなさい…あとで豚オーナーのせいにして報告しますので…。


門が破壊されれば当然兵士が出てくるが私とデーモンがいるのは門からそれなりに離れた地点。

ここまでたどり着くには少々の猶予はある。

ならば兵士が来て騒ぎになる前にこいつを処分しなければならない。


槍から離れ、ブレーキを掛けずに転がったデーモンは私よりさらに…およそ500メートルほど遠くに転がっている。

腕を付き、よろよろと起き上がろうとしていることから致命的なダメージでは無いように感じる。

…それもそうだ、今使っているのはレプリカ武器だ…奴がダメージとして負ったのは商店の壁、城門を突き破った時の衝撃のみだ。


今回は実験を兼ねているような余裕は無い。

使ったことのある武器で早々に決着を狙うべきだ。


剣神・建御雷乃神刀を装備し、構え、跳ぶ。

疾走という言葉がふさわしいだろう。

500メートルを一蹴りでゼロに縮め、上段から振りかぶり一撃のもとにデーモンの首に、体に、腕に、腰に、神刀を通す。

付くはずのない血…気持ち問題だが神刀を軽く振り鞘へ戻す。


デーモンはようやく起き上がり、こちらを見据えてきた。


「貴様ハ、何者ダ…コノ、エダリムン様ヲココマデオイツメルトハ…」


「あら、あなた喋れたのですか…それこそ冥土の土産に教えてあげましょう…このイヴの名を。」


「クァハハハ…冥土ノ土産トハヨク言ッタモノダ、今カラ貴様ニ生キ地獄を味ワワワワ…レ?ナゼ世界ガ傾ク?」


首が徐々にズレてきている。

首だけではない、右足が1/3ほど、左の二の腕もズレて胴体も左右に少しずつ離れ始める。


「…貴方はとうに死んでいます。神刀の切れ味が凄まじい為に気づかなかったのですね…哀れな…」


「ハ?死!?セッカク出レタノニ死ニタクナ――」


首がズレ落ち、それを手で支えようとする手も既に落ち、体が別れバラバラになる。

眼と思われた宝石のような部分は濁り、崩れ落ちて部分より灰に変わってゆく。

全てが灰に代わると頭の部分から豚オーナーが割った宝石と同じような玉が出てきた。

これは眼球=宝石なのだろうか…濁った瞳と同じような色合いをしている。

こんなのがまた街にでも出た日にはたまったものではないので自分のアイテムボックスの中に保管しておく。


「思いがけない強敵…でも無かったけど油断大敵というのは身に染みたな…」


徐々に兵士と思われる輩が近いづいてくるのが分かる。

豚オーナーの尋問と公爵の家族の救出がまだだ、私はその場から公爵邸の前まで『転移』する。


"ハチ、あの豚はおとなしくしていますか?"


"何度か逃げ出そうとしたから足を折ったぞ、このくらいは問題あるまい…女言葉が染み付いたか?"


"ごほん!…こっちも片付いたからそちらへ向かう、可能なら豚に妻と娘の居場所を聞き出しておいてくれると助かる。"


"承知した、報酬はお菓子を所望するぞ。"


お手伝いの報酬がお菓子(大量)ならまぁ…安いものだ。

転移のセーブポイントになった公爵邸の前からまた屋根の上を一つの影が飛んで行く。

戦闘描写は下手くそだけど書いてるだけなら楽しいです。

遅々として進展しませんがもうちょっとだけ続くんじゃ…


評価、ブックマーク等いただけると喜びます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ