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ゲームのGMと思った? 残念!異世界管理人でした!!  作者: 黒野されな
2章 戻れない『日常』と正すべき『日常』
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生まれた管理者と新たな火種

ここより2部です。

少し書き方を変えてみます。

今日は武装はいらないからいつものゆったりした祭祀っぽい服をチョイスしたが、この装備も良く見ると性能が半端ない…。

魔法ダメージ70%カット、各属性耐性50%アップ、状態異常耐性50%アップ、全職業装備可能etc…

物理防御がほぼ皆無なのが弱点だけど今日は戦闘は無いと思うしコレでいこう。


流石にヘルプにはこの世界の平均レベルの能力や金銭の相場、この世界での『最強』レベルなどは載っていないからどれだけの防御、耐性があれば安全という事が分からない。

この辺は自分で調査しなければならないだろう。

調査項目としてメモを残しておかねば。


さぁ、初仕事の締めにリリアナの家に行かねばと思うが流石に家の中に直に出るのは不味いだろう。


『透明化』と『非接触』を発動してこの前の教会に『転移』した。


手入れもされていない教会にもちろん灯りは無く『暗視』を発動しなければ足元すら危ういだろう。

時間は分からないが夜も更けているはずだ、虫の声と木々の騒めき以外に聞こえるものは無い。


リリアナの家は目と鼻の先だ…訪問して誰もいませんでした、という情けない結果を出さない為にもちょっと先んじて『範囲索敵』も行っておく。


どうやらリリアナとその家族は家の中にいるようだ。


村人も家に入っているのだろう。マップ上では野外と屋内が仕切られて表示され、赤い点が止まったり動いたりしている。


ふと気になるものがマップに写っている。赤い点なので人…いや、密林で救助者探しをしたときはモンスターの可能性もあったから一概に人とは言えないのだろう。


生命を検知している、と見るべきかな?


それはそうと村の端っこ、家屋もない所に赤い点が2つ、いや今3つになった。


逢引とか子供と親とかだろうか…とりあえず無視してリリアナの方を済ませよう。


ノックをと思ったが非接触状態だったので腕がドアをすり抜ける。


恥ずかしい…誰にも見られてはいないがなぜか周りを確認してしまう。


『非接触』のみを解除して、念のため壁に…うん、触れる。


コンコンコン…

ノックはしっかり3回、2回だとトイレを思わせるからNGだぞ!

(所説ありますが、3回以上であれば問題無しという回答が多めです。)


「は~い」


とリリアナらしき声は聞こえるが扉は開かない。


不審者対策だろうか、こういう村は仲間意識が強いと聞くが…村八分になった経緯もあれば警戒ぐらいするか。


「…ゴホン、我はアダム、扉を開けよ。」


ゴトン、と何かを外す音が聞こえた。


扉がほんの少し開き、隙間から誰か――リリアナ?が覗いている。


「…誰もいない?」


「いるぞ」


ヒャッと可愛らしい声が聞こえてきた、どうやら驚かせてしまったらしい。


「魔法で姿を消しているだけだ、扉を開けよ」


ギィっと扉が軋みんだ音と共に開き、私はわざとコツコツと音を立てて入る。


「魔法を解く、声を出さぬようにな」


奥のテーブルには母親と弟だろう、以前よりは元気に見える。

『透明化』解除、徐々に実体が見え、ものの数秒もかからず全身が見える。


「改めて名乗ろう、我はアダム…この娘、リリアナの願いを叶えた報酬を貰いに来た。」


ガタンと大きな音が聞こえたかと思うと母親と思われる女性が立ち上がり、私の前に平服した。

リリアナがそれに続き、弟もとりあえず同じことをしておこうと思ったのか母の後ろに並んでいた。


「アナ――娘より大まかな事は伺っております。私たち家族を救っていただき非常に感謝しております。」


「我には我の思惑があっての事、互いに利のある話だっただけだ。」


「無礼を承知でお願いがございます!」


悲痛な、鬼気迫るような声色だ。


「娘の代わりに私の命での肩代わりを願いします!」


「は?」


やばい、素で声が出てしまった。


「無理は承知の上です!何卒お願いできませんでしょうか…!」


ちょっと待って理解が追い付かない。

何で娘の命を奪う前提でしかも母親が肩代わりしようとしてるの?

よく考えろ俺、というか分からなければ聞けよ私。


ゴホン、と咳ばらいをしつつ若干の間を稼ぐ。


「母親の覚悟は痛いほど分かった…だが、一つ聞かせて欲しい。」


1秒でも2秒でも良い、思考を纏める時間を作れれば…。


「そもそもなぜ私が命を貰うことになっているのかを説明して欲しい。」


「「え?」」


リリアナと母親――リリアンの疑問符が2つ重なり、2人が頭を上げ見つめあう。




― ― ― ― ― ― 




「アナ!あんた2人の為に私は――なんて言うから!」


「お母さんだってポーションが使ったって知ってから態度が急に変わったじゃない!!」


ぎゃーぎゃーと母娘喧嘩、ちょっと違うが聞いていれば何のことは無いただの勘違い。

2人を癒した奇跡とポーション、現金収入に中々縁が無い村では途方もない価値に思えたのだろう。

母は娘が身売りか奴隷商人と契約して2人を助けたと思い込み、娘は私の正体を隠したまま話を進めたので余計に話がこじれたのだろう。

やっぱり最初の説明は大事だよなぁ…と思いつつ母娘喧嘩を横目で見て椅子に座らせてもらう。

傍観していた弟がもてなしてくれる。


「ごめんなさい、お茶が無いので白湯ですが…」


「ご丁寧にどうもありがとう。」


にっこりと笑い返し、白湯を一口…うん…お湯だ…頂き、弟――リール君にいろいろと場繋ぎがてらに質問を投げる。


「確か…リール君だったかな?体の方はもう大丈夫かい?」


子供相手にあまり尊大な感じを出さずにいつも親戚の子供に接するとどうもぎこちない感じになってしまう。


「はい、大丈夫です!ポーションのお陰かいつもより元気なぐらいです!」


「うんうん、あの2人も見る限り元気になったようで良かったよ。」


「あ、アダム…様?は神様?それとも悪魔?」


「ふふふ、我は神の半身にして救済を生業にする者也。」


ちょっと芝居がかりすぎていた…恥ずかしい。


「神様…初めて見ました…」


いや、神様って普通見れないでしょ…


― ― ― ― ― ― 



喧嘩がひと段落したようでリリアナとリリアンさん(実年齢は上なので)が改めて頭を下げてきた。


「申し訳ありません。勘違いばかりかお見苦しいところまでお見せしてしまって…」


「ははは、良い、良いのだ。元気になったのならそれでなによりだ。で、落ち着いたのならテーブルに座ってもらえるか?例の報酬の話を改めてしたいのだがね。」


少々顔を赤く染めながら失礼しますと小声で座った。

アイテムボックスから全長20cm程度の神像を取り出し、テーブルの中央に置く。

以前冒険者と村娘にやったものとは大きさがだいぶ違う。

なんと信仰用の神像はキーホルダーになるような親指サイズ、拳サイズ、ロング缶のジュース程度…しまいには大仏クラス、自由の女神クラス…まぁ、使う事はないだろうが多種多様なサイズが用意されていた。

綺麗…とリリアナが吐息を漏らしながら像を見ている。


「これは『信仰』を集める為の像。この像に祈りを捧げることにより『信仰』が生まれる。その『信仰』を集めることが私の仕事だ。」


像に見入っていてなかなか話しに対する反応が薄い。


「ごほん、お前たちに報酬として求めるのは、この像に対し最低1日1回の祈りを捧げる事だ。」


はい!とリリアナが手を挙げるので、どうぞと発言を促す。


「この像って凄く高価なものなのでは…?」


「素材は…ヒヒイロカネと呼ばれる金属製だから売ればきっと高価だろう。仮に、像を売って『信仰』が入らない…という状況になれば逆に私が罰しに来るだろう。」


「そ、そんな売るだなんて滅相もない!!」


顔と手の残像が見えるくらい高速で振っている。


「しかし、世の中には不測の事態というのはあり得る事だ。例えばこの像が盗まれた…とか無くした、像が残っていても渡した者が祈れない状況に陥るとか――」


突如ドアが乱暴に叩かれる。


「アナ!いるか!?俺だ!ゲントだ!」


えっと漏らしつつリリアナがドアまで走り閂を外す。


「アナ、みんな一緒だな…誰だそいつ?」


「えっとね…説明は難しいだけど私たち家族を救ってくれた恩人さんなんだ…」


「そうなのか…ってそうじゃない!今すぐ逃げる支度をしろ!」


「え?」


リリアナだけではない、リリアンもリールもぽかん、としている。

私は即座に範囲索敵を発動すると、村が赤い点に囲まれていた。

総数は約40人くらい。山賊とか盗賊の類だろうが…その中にひときわ大きな赤い点が存在した。


「盗賊団だ!ここにいると殺されるか…」


ゲントと言ったか?リリアナとは親しい様子だが…もしかしてこれは…


「静かにせよ!」


私はあえて大きな声で場を静かにさせる。


「まず1つ目、もう遅い。村はすでに囲まれている。」


全員が目を見開く。


「2つ目、人…ではない何か強力なモンスターか何かがいる。」


ゲントが疑い…いや、敵意に満ちた視線でにらみつけてくる。


「あんた…なんでそんなことが分かる!もしかしてお前が呼び込んだんじゃないのか!!」


「質問に質問で返すのは良くないが…自分で助けたこの一家を危機に陥れる馬鹿がどこにいる。」


それに…村人が逃げるしかないような窮地、これは救済メールではないけれど『信仰』を稼ぐチャンスになるのではないか?


営業は契約を取るだけが仕事ではない。

より良い内容、より良い利益、そして顧客の満足。

1件の注文を次に繋げる…絆と信頼を生む…これが営業の本質だ。


つまり、救済メールを待つだけではなく良くも悪くも案件が手元に転がってきた。

これを生かすも殺すも私の自由ということだ。


「小僧、この村の偉い人の所に案内できるか?」


「俺の名前はゲントだ!…村長は俺の親父だけど一番最初に捕まったよ…」


「父親を見捨ててきた…と。」


「傭兵や兵隊崩れとはいえ武器を持った奴らだぞ!子供の俺がどうこう出来る訳がないだろ!」


「ならば小僧、この村を助けてやる。この家族はもちろん、お前の父親、他の村人…可能な限りな。」


「え?」


「その代わり、助けた暁には小僧…お前が村長を説得し私に報酬の支払いを約束させろ。」


唐突な話に頭が追い付かない事と、いきなりの重圧に混乱しているのだろう。


「少なくとも今決めねばみんな死ぬか悲惨な未来が待っている。お前が決断すればとりあえず今は助かる。」


さぁ、少年…未来の村長候補はどう判断する?

読んでいただいてありがとうございます。

ブックマークや評価を頂ければやる気に直結します。

よろしくお願いいたします。


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