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バリスタと呼ばれた少女  作者: 風早
バリスタさんと古代遺跡
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第3話

 迷宮師という職業がある。

 迷宮や遺跡に仕掛けられているカラクリを解き明かし、己のものとした職業だ。

 探索に連れ出されることもあれば、道楽貴族が屋敷を建てたり金庫を作るのに雇ってくることもある。

 普段は趣味の小物を作って売り出すぐらいだ。

 相手が相手だから普通に生活する分には、金に困ることは滅多にない。

 しかし、仕事がなければ人は腐るのだ。

 俺も腐っているところだった。

 近頃面白い仕事がない。まあ、大戦からの復興まっただ中ってことで仕方ないんだが。

 小物を作って売り出しても詰まらない。貴族連中も道楽に回せる金がない。

 俺は金はあるが仕事がない。詰まらない。

 そうやって管を巻いていた日の深夜、俺の店に来客があった。

 扉を激しく叩かれた。無視しようか随分迷ったが、仕方なく出た。そうしたのは正解だった。

 なんだ、バリスタの嬢ちゃんじゃねぇか

「どこまで広がっておるのじゃ、その名は……」

 格好いい異名でいいじゃねぇか。そんなことより、こんな夜更けにどうした。

「ああ、ちょっと連絡があっての。急ぎで仕事を頼みたいのじゃ」

 どんな仕事だよ。

「ある死んだ遺跡を蘇らせて貰いたい」

 一瞬、嬢ちゃんが何を言ってるのか理解できなかった。

 次の瞬間には大笑いした。

 いやあ、世の中悪いことばっかりじゃねぇな。こんな面白そうな仕事があるのか。

 詳しい話を聞くと、ある貴族を担ぐつもりらしい。

 良いじゃねぇか。面白い。

 急いで準備を整えて、嬢ちゃんと二人で下見に出かけた。

 目的の遺跡は然程悪くなっていない。これなら生き返らせるのに時間はかからない。

 現地で嬢ちゃんと打ち合わせをして、必要なものと時間を見積もる。

 さて、腕の見せ所だ。

 死んでいた遺跡の機能を、不自然でない範囲で生き返らせる。

 罠の類いは仕方ないか。殺したままにするしかない。

 開いた落とし穴には蓋をする。蓋は場所が判るように古さが違うものを選んだ。

 妖魔をおびき寄せる香を使って、入り口に妖魔を配置する。魔法生物を内部に解き放つ。

 さて、大物だ。遺跡が崩れる機構を確認する。

 試しに動作させるわけにはいかないが、本番で動作しませんでした、では面目が立たない。

 細心の注意を払って確認する。崩れる時間は早すぎても遅すぎてもいけない。

 最後に、仕掛けのある部屋に無破損のゴーレムを配置する。

 ようし、これで完璧だ。

 

 本番で実際に遺跡が崩れると震えが来た。

 嬉しくて嬉しくて、笑い出さないように苦労したぜ。

 おっと。メイドさんたちは遺跡の前で野営するのか。俺はここから離れた方が良いな。

 脱出口の方へ移動して嬢ちゃんが出てくるのを待つ。

 充分な時間が経ってから、地面の一部がせり上がって口が開いた。

 嬢ちゃんが這い出てくる。

 おう、上手くいったぜ。

「それは何よりじゃ」

 俺は面白かったからよかったんだがよ。嬢ちゃんは大丈夫なのか?

 仮にも貴族を騙したんだ。十字の街に居づらいんじゃねぇか?

「まあ、そうじゃな。最低でも一年ぐらいは街を離れるとするかの」

 おう、寂しくなるな。どこにいくんだ?

「そうじゃなぁ。とりあえず東に向かうかの」

 この日は遺跡から離れた場所で嬢ちゃんと野営した。酒を持ってこなかったのが残念だ。

 嬢ちゃんはそのまま東へと旅立った。あっちはあっちで騒がしいと聞くが、嬢ちゃんなら大丈夫だろう。

 さて、俺は街に戻って次の仕事に備えるとするかね。

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