4.この国
バージル王子は妹のグレース王女から2人だけの話をしたいと言われた。グレースは普段からバージルの執務室で過ごすことが多い。それは、バージルとともに執務を行ってきていたからだ。
この国はそれほど大きな国ではない。農地や牧草地帯が豊かで、小さな港があり、それなりに栄えてきた。国の君主である王の一族は長年この地を治めてきた。バージルの祖父の時代まではとても王権が強かった。独裁者と言ってもよいのではないかというぐらい、国のことは王の一存で決まっていた。
しかし、時代とともに周囲の国々も含め庶民が力をつけてきており、王の一族と一部の貴族が支配する時代が段々と難しくなるような状況になってきた。
この国の王のイーサンは早い段階で察知し、少しずつ移行を進めてきた。貴族の議会が中心に政策を進める方向に持ってきていた。
農地や牧草地帯が多い国であったので領主たちは、領民たちと一緒に働いてきたような者が多かった。貴族の社交といわれることも近年は国主催を中心に年に数回開催されるぐらいだ。
祖父の時代からの強い貴族達がこの王城に占めていたのを父イーサン王は思いきって全員切った。最後の王の一存というばかりに。それが実は数ヶ月前であった。バージルの帰国と同時に行動に移したのだ。
すでに高齢だった祖父時代の側近達は思ったより静かに去った。ただ、料理長の果てからすべていなくなってしまった。
料理長のマットはそんな時に連れて来られたのである。ただ、彼は別な理由があったのだけれど。
バージルはグレースと共にこの国が新たは方向に進むために動いていた。あくまでも政治は議会で動かしたいが、まだまだであった。
さて、グレースの相談とはなんだったのかというと・・・
人物紹介(この時点でネタバレにならない程度を)
名前の後は意味です。
ソフィー 知恵 知識 賢明な 商家出身の18歳 主人公。
イーサン 強い 激しい この国の王。 50代前半。
カミラ 高貴な 高潔な 王妃。40代後半。
バージル 王の 王にふさわしい、勇敢な 王子。25歳。
グレース 上品な 優美 王女 20歳。
マット 神の贈り物
チャック 神の贈り物 料理人見習い
サーシャ 人類を助ける者 擁護者 侍女長