十一話
勉強進まねぇ…orz
それからこっそり長老にお金を渡しておいた俺は、本を読んでこの世界の知識を蓄えたり、体を鍛えたり、ドワーフの戦士達と模擬戦をしたり、ヤノプの鉱石を取りに行く仕事を手伝ったりして時を過ごした。
そして、一週間程経ったころ、俺は長老に呼び出された。
どうやら件の商人が来たらしい。
「長老、三木です。入りますよー」
最近は長老に対する接し方が大分砕けてしまっている気がする。
だって、長老優しいんだもん。
直さなくっちゃなぁ。色々とお世話になってるし。
家の中に入ると、長老と人の良さそうな顔をしたおじさんとその護衛っぽい厳ついおやじが2人いた。
この人たちかぁ、と人となりを観察していると、おじさんの方が立ち上がって声を掛けてきた。
「初めまして。私はキース・ヘキサグラムといいます。あなたが三木さんでよろしいですか? 長老から話は伺っていますよ」
「キースはこいつの祖父の代から付き合いのある商人の家系のやつでの。今回大事な用件があるということで来てもらったのだ。人の良さそうな顔をしているが、一応顔役だぞ?」
と長老が口をはさんだ。
あぁ、やっぱり見かけ通りの人じゃないんだなと思いながら、俺も自己紹介をする。
「こちらこそ初めまして。わざわざ来ていただいてありがとうございます。長老の方から話を伺っていると先ほどおっしゃっていましたが…」
とちらりと顔を伺う様にキース氏を見てみる。
どこまで話が伝わってるか分からないから、キース氏に話を進めてもらおう。
キース氏は特に何も気にせず一つ頷くと、
「はい。保障が欲しいということで、私の方でも考えてみたのですが、三木さんは槍の名手と話を伺いましたので、とりあえず我が商会の護衛として雇うというのはどうかと思っています。傭兵としても働くこと自体は出来るとは思いますが、何事も信用というのは大事ですからね。もちろん給金も払いますし、護衛の仕事をしなくても大丈夫になったら、いつでも辞めてもらって結構です。お嫌でしたら、別の方法も考えてみますが…」
「いえ、それは願ってもないことです。ずっと所属するというのは性分ではないので出来ませんが、しばらく厄介になりたいと思います」
俺は一もなく答えた。
確かに傭兵とかが自分には向いてると思うけど、信用って大事だし。
商会で護衛として雇われてたというだけで、ある程度の信用が出来るだろう。
「決まりですね。それでは商談が済んだらこのまま街に向かいますが、大丈夫そうです?」
「え~とですね…、実は槍を新調してもらってるので、槍が出来たらまた取りに戻らないといけなくなるのですが…」
まだ後2週間位かかるって言われてるからなぁ…。
服の方は2着ほど作ってもらって、今もう着てるけど。
「それなら大丈夫ですよ。ここに来る商隊の護衛をすればいいのですから。ここにいる位なので最低条件は満たしですし」
「最低条件?」
どういうことだ?
「ここの村には少しでもここの村に対して害意がある人は近づけないようになっているんですよ。長老から聞いていないんですか?」
初めて聞いたよ、おい。
と長老を見るとこちらに向かって片目を瞑って見せた。
流石、3000年生きてるだけあってただの優しい爺さんじゃないんだな。
ウインクとかお茶目過ぎる。
後でどうやってるか聞いてみよう。
まぁ、ヒントくらいしか教えてくれないだろうけど。
この村を守る要みたいなものだろうし。
「商談がまとまって荷物を運び終わるのは明日以降になると思いますので、それまでにやり残したことがあったら済ませて置いてください」
「分かりました」
と俺は答えると、それではよろしくお願いしますと頭を下げて部屋を辞させてもらった。
さて、ヤノプもそうだけど、この一週間で仲良くなった人に挨拶しないとな。
あ、バリスさんにもいったん村を出るけど、また槍を取りに戻ってくるって一言伝えておかないとなー。
後、まだ読んでない本があるし…。
やることがいっぱいあるぜ。
人との生活も楽しみだな。
色々な本を読んでみたけど、どうやら中世のヨーロッパのちょっと魔法文化も発達した感じみたいだから、俺みたいな出生不明なやつも比較的溶け込みやすいかなと思う。
何にせよ楽しみだ。
レベル 6 経験値 408 次のレベルまで 42
力 94.6
防御力 28
速さ 81.4
体力 58.6
運の良さ 18.4
賢さ 58.6
言語理解 22.4
直感 112.3
弓技能 8.4
剣技能 14.6
槍技能 89.1
短剣技能 25.8
魔法 56.3
肉体操作 27.9
振り分け可能ポイント 8
装備 槍