ベリア領へ
ヨシュア王子は、旧フェンスベリア領の一部、ベリア領を賜り、ブリア公爵に叙爵された。
ヨシュアが通い、整えてきた領地を改めて任されることになったのだ。
「モリーと子供達を連れて行っても、もう大丈夫だよ」
ヨシュアが晴れやかに微笑む。
「もちろん、絶対ということはないし、モリーにも手伝ってもらわなければならないけれど」
このとき、モリーは3人目の子を妊娠していた。大きな腹を抱え、少し不安に思うも、ヨシュアがそう言うのならば、問題はない。
ベリア領への馬車の旅は、モリーの身体を気遣ってゆっくりと進んだ。3歳になったイエンと、その妹で2歳ののフォーリアは、同じ馬車に揺られる父親に大はしゃぎしている。
この行程にはアルドレッド大公将軍も付き添って下さっていた。
アルドレッド様は、先王ドリオレント様が崩御なさった時に将軍職を辞されるおつもりだったようだ。しかし、後継者として育てていたはずのヨシュアが辺境地を治める領主になるべく走り回り、また副将軍であられたラディオス様が事故で左腕を失くされたことも重なり、将軍職を辞めさせてもらえなかったと溢していた。
アルドレッド様はプリシア様と同年だったはずだ。今なお若々しく騎馬を駆るお姿を見れば、陛下が手放さないのも無理はない。
ヨシュアが治めるベリア領の屋敷や街並みを確認されながら、アルドレッド様は満足そうにヨシュアの背を叩く。
「私もいずれはコチラに来ることになるだろう。ここを先に整えてくれるのは非常にと助かる」
ヨシュアは若き領主として、ベリア領を治める。
足蹴よく通い、反感を期待に変え、期待に応え、身を粉にして働いて勝ち取った信頼。
領民たちがヨシュアを見つけると、手を振って歓迎してくれる。
そこにヨシュアの努力の実りを見て、モリーはとても誇らしく思う。
ヨシュアは素晴らしい領主様になる。
モリーは夫の横顔を、穏やかに見つめていた。
これにて、モリーの物語は終了します。
この後、さらに大人になった彼らの姿は、本編グレイシアの物語に描かれております。
最後までお付き合いいただきましてありがとうございました!
なお、この後、同じく魔法陣の世界シリーズの外伝扱いで、グレイシアの弟子、ポリアンナのお話をアップいたします。
割と耐える系の女性主人公が続きましたが、ポリアンナは元気いっぱいでございます。どうぞこちらもよろしくお願いいたします。




