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魔法陣の向こう〜モリーの物語〜  作者: サンガツワサコ


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1/17

王子

グレイシアの物語の登場人物、ヨシュアの婚約者となったモリーの物語です。


すごく綺麗な魔力が、近づいたことに気がついて、モリーは顔を上げた。


お仕事をするお父様の元へ大切な御用があると言う母に付いて、初めて王宮を訪れた日の事だ。


目の前に来たのは、びっくりするくらいに綺麗な男の子だった。6歳になったモリーと同じ位の年頃だろうか。


「こんにちは。君は誰?」


知らない人に名乗ってはいけない。

そう教えられてきたモリーではあるが、そんな事はすっかり忘れて応えてしまう。


「わたしはモリー。あなたは?」


「僕はヨシュアだよ」


ヨシュア?

どこかで聞いたような名前に、モリーは首を傾げる。


「ええと?王子様?」


尋ねると「そうだよ」と当たり前のように頷いた。


ヨシュアは綺麗な魔力を色々な魔法に乗せて見せてくれた。


手の中に小さな渦巻きの風を起こして、そこに蝶を閉じ込めて見せたり、庭園の草木に音を付けては叩いて音楽を奏でたり。

池の水をぐるぐる回すと、そこに浮いた花びらが渦を巻いて綺麗だった。


何をやってもモリーが喜ぶので、王子も上機嫌で遊んでくれる。


「お花は好き?」


王子に尋ねられて素直に頷くと、彼はアーチの上の方に咲いていたピンク色のバラを魔法で取って、モリーに渡してくれる。


「棘があるからね。取ってしまおう」


そう言って指先を動かすと、つるりとバラの棘が彼の手に落ちた。


「すごーい!どうやってるの?」


魔力はあっても魔法が使えないモリーには、どれもこれも凄いの一言に尽きるのだが、彼は披露した最後の魔法は特別だったのだろう。


「内緒だよ」


と言って、誇らしげに微笑んだ。


17回で終了予定です。

また、最後までお付き合い頂けますと幸いです。

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