プロローグ 命あっての物種
この作品は『カクヨム』でも同時掲載されています
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【私を置いてあなたは去った。私はこんなに苦しいのにあなたは帰って来ない。あなたが私を望むとき、私はあなたに呪いをかけよう。】
――ラペデュール王国 国王の手記
ラペデュール王国の王宮の一室。
第一王子であるテオドールはきらきらと光るシャンデリアを見つめていた。
部屋まで運んでくれた側近のロランに
「意外と馬鹿力なんだな」
と軽口を叩いた直後、彼はそのまま床に倒れ込み、動けなくなった。
呼吸をしようにも、肺に空気は入ってこない。
深く吸い込もうとすれば激しくむせ返り、口内に鉄の味が広がった。騒がしかった周囲の喧騒が遠のき、視界が急速に狭まっていく。
(こんなことなら……)
酸欠のせいか、あるいはこみ上げる後悔のせいか、視界が涙で滲む。
遠くで誰かの声が聞こえる。パタパタと小気味よい足音が近づいてくる。
意識が闇に溶け落ちようとした、その瞬間。
いきなり頬を思い切り引っ叩かれた。
「いいですか、テオ様。私の言うことをそのまま復唱してください!」
命あっての物種【いのちあってのものだね】……何事も命があってこそ初めてできることであり、命を失ってしまっては元も子もないという意味。




