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11:挑発

 私も中等部三年生になって、そろそろ高等部に入る時神聖国からお客様たちがやってきた。


 私は苛立った。それはもう御立腹だった!


 簡単だ!

 こっちは憎き魔王をギッタンギッタンにしないといけない時期に、やってきたからよ!


 パパンが謁見の間に私を呼び寄せたので、私はイライラした表情も隠さず向かう。

 いつもほんわかしている謁見の間もどこか物々しい雰囲気が漂っていた。


 私が到着してすぐ。


「魔物を従えている諸悪の元凶、悪女マリー・ド・パロメス!」


 と、修道女の服装をした女の子が私を指差す。


 いきなり何言ってんのこの子?


 ただでさえイライラしている上に訳がわからないことを言われ、私はつい睨みつけてしまった。

 その子は私に軽く睨まれただけでその子はヒヨってモゴモゴする。


「うっ……そ、そんなに睨んだって、だ、だめですよ」


 よわっ。


 背後でウィルが殺気を放ちながら剣を引き抜こうとしていた。

 私はウィルに手をかざして口を開く。


「なぜ魔物を従えていると悪になるんでしょうか? もし本当に悪というならば、神がすでに魔物たち全てを排除しています。だというのに神は静観したまま、ならば魔物も人と同じく平等な生物としてお認めになられていることになります」

「マ、マリー様……」


 私の言葉にウィルが咽び泣く。


 お、大袈裟ね……。


「うっ! そ、それでも……ま、魔物は悪い生き物よ!」


 ちっ、めんどくさいわね。


 イライラがピークになりかけてきて、身体から雷が飛び出ようとした瞬間。


「ほっほ。よしなさい。おぬしらもここに来たってことはいきなり戦いたいわけじゃなかろう? 少しは落ち着いて我が国を見て行くがよい」


 皇帝陛下は私を宥めるようにして、その修道女に放った。


 パパン……珍しく仕事してるわね。


 あなたはいったい皇帝陛下をなんだと思ってるんですか?


「ふ、ふん! 行くわよ、あなたたち」


 だと言うのに修道女はふざけた態度のまま、聖騎士を引き連れて謁見の間を去った。




 ◆◇◆




 翌日美味しいクッキーを堪能していると、ウィルが魔人と魔物数名を引き連れてきた。


 今度は何よ……。


 その中には澄んだ目の人狼ヴォルフが、狂信者のようなうっとりした表情で見てくる。


「神よ。きゃつら、我らが帝国で知らぬ神を称えろとほざいております」


 神ってどの神よ。


「我らの神は……マリー様だけであるというのに!」


 それに続きいつものオーガたちが大声で叫んだ。


「魔の中の魔、王ノ中ノ王、慈愛ノ神! 魔ノ神マリー様!」


 別に私、神じゃないんですけど……。


 ため息をしたいのを我慢する。


「好きにさせなさい」

「ですが……」


 ヴォルフが何かを言う前にウィルが目を吊り上げて被せる。


「ヴォルフ! しつこいぞ! マリー様がいいと仰られてるのがわからないのか!」

「フン。お前に言われたくない小間使いのウィルが……」


 私の前でヴォルフがウィルが口喧嘩を始めた。


「やめなさい」

「はっ」

「申し訳ございませんでした」


 私の一声で二人とも再び私に向けて片膝をついて跪く。


「謁見の間でお父上が言った通り好きに、見学させなさい。そうすればお固い神聖国の上層部も少しは考えを改めるでしょう。もし実力行使してきたら……直ちに私へ報告しなさい」

「「はっ!!」」

「行きなさい」


 二人は時折、互いに向けて殺気を飛ばし合いながら部屋から出ていった。


「はぁ……」


 ついにため息が漏れてしまった私は、座っていた椅子から滑り落ちそうになる。


「め、めんどくさすぎでしょ」


 そりゃこんなにいつもいつも巻き込まれたら、原作の第六皇女様も嫌気をさして魔王の妃にでもなるわ……。


 私は眉間を揉みながら疲れた頭を休めるため、水の加護を使って疲労回復する。


「ふぅ。よっし」


 私は頬っぺたを叩いて立ち上がり、雷を放出する。


「ふふふ。でも魔王の妃になったら主人公にボコボコにされるらしいし、私は決して悪役皇女になんてならないわ! オーッホッホホ!」


 バチバチっと雷がマリーの言葉と同時に部屋中を暴れ回った。




 数日後、神妙な顔をした修道女たちが帰国したらしい。


 二度度くるな!


 謁見の間で塩を巻いている所を侍女のリヌに見られてしまった……。


 くぅ……あいつらめ! 許さん!



 翌週、神聖国から一枚の紙が届いた。


 内容は『帝国って魔物にでも使役されてるんですかー? きっもー』という、別にそこまで直接的じゃないが、挑発めいた内容が書かれており、最後の方は『ぷぷぷ、魔物に飼われてる今の帝国じゃ、うちまで来る勇気なんてありませんよねぇぇ? ぷぷぷ』とあった。

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