婚約完了
短いです。
王宮に入るとユーデル様が道案内をしてくれた。やはりユーデル様は紳士的だと思う。
王宮の中はとても豪華で、使用人達も皆優秀な人達ばかりだった。
私達を見るときっちりとななめ45°に頭を下げる使用人達を見て、さすがは王宮の使用人だなと思った。
たまに騎士様も見掛けたが、その人達も私達を見ると、騎士特有の敬意の表し方で挨拶してきた。
私が物珍しくて周りをキョロキョロ見ながら歩いていたら、
「見慣れなくてもいずれ嫌でも見慣れてしまうだろう。だって僕とフレアは結婚するのだから。」
と爆弾発言をしてきた。
なんでそんなに落ち着いて言えるのだろうか。
もしやユーデル様は鋼の心臓をお持ちなのだろうか。羨ましいものだ。
「はい、ついたよ。」
目的地に到着したらしい。
そこは重々しい扉がある部屋だった。
部屋と言っていいのかはわからないが、多分ここに国王陛下がいらっしゃるんだろう。
どんな人だろうか。
ゲームで出てきたのだがイラストはなく声もついていなかった。ユーデル様のお父様と言うことはカッコいい人なのだろうか。
面食いな私はワクワクしている。
「緊張してる?」
私が考え込んでいたのがユーデル様には緊張しているように見えたようだ。
いや、緊張はしていないんだ。
貴方のお父様がイケメンなのかどうかに胸を高鳴らせているのだ。
なんてユーデル様に言っても変人扱いされてしまうだけだろう。それは嫌だ。私は変人ではない。ただ、ちょっと面食いなだけで…。
ああ、ユーデル様が問いかけてくれていたのに私ったら答えるのを忘れていたわ。とんだ失敬。
「していませんわ。」
全てを言ったら引かれると思うのでしていないと言うことだけ教えた。私今日は頭が冴えているわね。ラッキー。
「ドアを開けるね。」
ユーデル様はそう言って重々しい扉を開けた。
中には王様席に座った若々しいお兄さんがいた。
んん?若々しいお兄さん?
もう一度王様席を見てみるがやはりそこに座っているのはお兄さんだった。
とても顔面偏差値の高い。くっ、面食いな私の心が踊るわっ…。
「あの椅子に座っているのが僕の父上だよ。」
ユーデル様が私に小声で教えてくれた。
よく見れば顔立ちも似ていた。
金色の髪に緑色の瞳と言う点もユーデル様と同じだった。
あんなお父様が欲しい…。
陛下の前までユーデル様と移動して、陛下と対面した。
「お初にお目にかかります陛下。私の名前はフレイリア·ウェルローゼと申します。色々ありまして遅れてしまいました。申し訳ありません。」
私は日々練習してきた淑女の礼をした。簡単そうに見えて結構きつい。
「顔を上げていいよ。」
陛下がそう言ったので礼をといた。
あぁ、疲れた。それにしても陛下の声が美声すぎる。ユーデル様も美しいのだが陛下もまた、ユーデル様とは違う美声の持ち主だ。
カッコいいにプラス美声をつけたらそれはもうチートだと思う。
「君がユーデルが気に入ったっていう子なんだね。ウェルローゼ公爵家に娘がいるということは聞いていたがこんなに可愛い子だったなんて知らなかった。この子が私の娘になるなんて…よし、早く婚約を済ませてしまおう。」
と言って書類にサインを書いていた。
「ユーデル·アルタリオンはフレイリア·ウェルローゼを婚約とする。フレイリア·ウェルローゼも同じく、異論は無いな。」
これでおしまいだ。婚約するのは案外すぐ終わるのだ。
これで私とユーデル様は晴れて婚約しました。あまり実感がないが。
「ユーデル、指輪を渡してやりなさい。」
もう指輪を用意していたのだろうか。準備がいいな。
「これ、フレアの婚約指輪。まだ大きいかもだからネックレスにでもして肌身離さずつけているようにね。」
ユーデル様が私にくれた指輪は銀色で、ダイヤモンドが一つ付いていた。
ダイヤモンドを囲むように蔦のようなものがデザインされていて、とても可愛かった。
こう言うの前世も合わせて一回もなかったからとても嬉しい。
「ユーデル様、ありがとうございます。大事にしますね。」
名前を呼んで欲しいと言われたので呼んでみた。どうだろうか。
「それは良かった。」
穏やかに笑いながらユーデル様は言った。こう言うのは心臓に悪いと思う。誰でもコロッと恋に落ちてしまうと思う。もう私はユーデル様の虜だったりする。
「今日のところは帰りなさい。また、王宮に来るといいよ。」
陛下がお開きの合図をしたので、私は行きに乗せてもらった馬車に乗って帰ることになった。
私は馬車に乗っている間ユーデル様に貰った婚約指輪を見つめていた。
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