嘘がつけない
「どうした?百面相して。」
とユーデル様に言われるまで気付かなかった。いや、気付いてはいたが忘れていた。
また、家に帰ったら乙女ゲームの事を書き出そう。
「いえ、何でもありませんの。」
声が裏返った。とても恥ずかしい。私は嘘がつけなさそうだ。
「…そうか…。」
ユーデル様は大人な対応だ。嘘がつけない私を見て優しく苦笑い。ユーデル様といると心が落ち着く。優しい雰囲気があるからだろうか。そして嘘はすぐばれた。
やっぱりカッコいい人が近くにいると乙女な私はドキドキしてしまうのだ。
私ったら面食いだわ…!とあまり関係のないことを考えていたら気付いた。
私、今世も美少女だ…。さすがイケメン攻略対象キャラの妹と言うか、なんと言うか…。
美少女は嬉しいのだが、苛められないだろうか。
幸せな人生を送れるだろうか。
可愛いからと言われ苛められたり誘拐されそうになったりその他もろもろだったり、私の人生の経験からいくと美少女=不幸と言うことになるので少し怖いのだ。
私の考えは偏っているかもしれないけどもうあんな思いはしたくない。
私が異例だったのかもしれない。
けどトラウマなのだ。嗚呼、思い出しただけで気分が悪い。
「顔色が悪い…少し休む?」
私の顔色が悪いと気付いたらしいユーデル様。
「いえ、嫌なことを思い出しただけなので大丈夫です。」
全然大丈夫に聞こえない…。やはり嘘がつけない…。
「休もうか。」
ユーデル様はため息をつくと私を抱き上げた。
幼い体で私を持ち上げたユーデル様に驚いた。
ユーデル様は普通の人より背が高いけど。私は普通の人より背が低いけど。
そんなの関係ないと思う。
そんなことをぶつぶつと考えていたらいつの間にか馬車にのせられていた。この馬車、王族専用のやつですよね?私乗ってもいいんですか?
「あ、ありがとうございます。」
「これくらい、礼は要らないよ。僕の婚約者なんだから。少し休んだら出発しよう。」
確か第一王子は私と同い年だったはず。
とても紳士的な人だ。7歳とは思えない。
「あの、つかぬことをお聞きしますがどうして私を婚約者に?」
私は誰からも聞かされていない。ので本人に聞いてみる。
「実は僕達は一回会ったことがあるんだ。」
え、初めましてではないの?私はユーデル様と会ったことはなかった気がする。
私がうーんと考え込んでいると「忘れてるなら別にいいんだ。」と言われてしまった。ごめんなさい、ユーデル様。覚えていなくて。
あれ、結局教えてもらってないんだけど…まあいつか聞こう。
「もう大丈夫ですわ。出発とは何処へ行くのですか?」
私がユーデル様に聞くとえ、知らなかったの?と言うような顔をされた。
「王宮だよ。今から僕達は婚約するんだし。」
そうだ、忘れていた。私達は婚約者になるんだった。
「これからよろしく。フレイリアって呼ぶのは何だか皆と同じ感じがして嫌だからフレアって呼んでいい?」
フレちゃんとかリアとかは呼ばれたことはあるけれどフレアはなかった。何だか新鮮味があっていいと思う。
「喜んで。是非お呼び下さい。そう言った呼ばれ方をされたことがないので嬉しいです。」
私が笑顔で言うとユーデル様は右手で顔を覆い隠してしまった。どうしたのだろうか。
「そんな顔、僕以外の人にしたらダメだよ。フレアって呼ぶのも僕だけ。」
ユーデル様は見かけによらず独占欲が強めのようだ。私は『私だけの王子様』でユーデル様が一番好きだった。
ゲームのキャラクターとして見ることはないが、そんなことを言われたらキュンときてしまうのだ。ちょっと照れてる感じもいい。
「ええ、分かりましたわ。」
私がそう言うとユーデル様は不服な様子だった。
何か気にさわることでもしただろうか。
「僕の事、名前で呼んでくれないんだ。」
それか。
名前で呼ぶのが良いのか悪いのか分からなくて呼んでいなかったのだが呼んでよかったらしい。
「では今からユーデル様とお呼びしますね。」
ユーデル様は少し嬉しそうだった。そんなに私に名前が呼んで欲しかったのか…。可愛い…。
少年の事を可愛いと言ってはいけないのは分かっているから可愛いと思うことだけは許してほしい。
「あと少しでつくよ。」
ユーデル様にそう言われて、私は時の流れは早いものだ。と思った。
何だか年寄りのようだ。
私、7歳なのに…。前世を合わせても20代なのに…。
ちょっと悲しい思いになりながらも王宮につくのをユーデル様と話しながら待った。
王宮が見えてきて、私は驚いた。
とても大きい。
私の家も大きいけれど、それの3倍くらい。
それじゃあ分からないかもしれないけど、家は貴族の中で一番でかい家なのだ。
いや、屋敷と言うべきか?その屋敷の3倍と言うのは驚くほどでかいと言うことなのだ。
「大きいですね…。」
ユーデル様にそう言うと、
「見すぎてあまり面白味がないけどね。」
と言われた。
見慣れたらつまらなくなるものなのだろうか。まあ思う人もいると思う。
「あ、ついたよ。」
ユーデル様がそう言って馬車から降りると、私に手を貸してくれた。馬車は降りるとき意外と怖いから助かる。
馬車から降りると、私達は王宮へと入っていった。
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