009
時間はただ流れていった。
日が過ぎ、週が過ぎ、体力を搾り尽くす訓練が休みなく続いた。ニコの体は次第に引き締まり、彼の目つきも鋭さを増していた。もはやかつての引きこもりのぼんやりした目ではない――挑戦を一つずつ克服していく者の目だった。
そして、その日がついに訪れた。
**各班対抗戦の日。**
全16個班が大きな広場に集結した。空気は張り詰め、息苦しいほどの緊張感が漂っていた。誰もが各班を見分けるための色違いの外套を羽織っていた――ニコの班は**真っ黒な外套**を纏っていた。
一人の士官が高い壇上に上がり、羊皮紙の巻物を手に、大声で読み上げた:
「**これより対抗戦のルールを発表する!**」
「**16個班は『死の森』に送り込まれる――広大で険しい森だ。各班は森の中のランダムな位置に配置される!**」
あちこちからざわめきが上がった。
「**各班には『柱』が与えられる。この柱が破壊された班は、即座に敗退となる!**」
「**他の班の柱を破壊した班は、敗退させた班から最も優秀な戦士一人を獲得できる! 獲得された戦士は、勝利班の班長の命令に絶対服従しなければならない!**」
ニコは目を細めた。
*「なるほど…こういうルールか。」*
「**対抗戦は、最後の一つの班が残るまで続く!**」
広場全体がどよめいた。空気が一気に熱気を帯びる。
---
その直後、各班は次々と森へ送り込まれていった。
第1班――ニコの班――は、かなり平坦な場所に降り立った。周囲にはそびえ立つ巨木が立ち並び、彼らのエリアの中心には、高さ約5メートルの**柱**がかすかに光を放っていた。
班長であるレイルは、すぐに全員を集めた。
「**聞け!**」
彼は地面に素早く簡単な地図を描いた。
「**我々は二組に分かれる:防衛組と攻撃組だ。**」
「**防衛組は柱を守れ。襲撃を受けたら、狼煙を上げて合図を送れ。攻撃組はすぐに戻って応援する。**」
皆は頷き、その作戦に同意したようだった。
しかしニコは――最後列に立っていた彼は――**眉をひそめた**。
彼は地図を見、周囲の森を見、そして何もない土地にそびえる柱を見た。
頭の中に、前世で得た知識が蘇り始めた。
*「この作戦…」*
彼は呟いた。
*「…問題がある。」*
皆が散った後、ニコは静かにレイルに近づいた。
「先生、ちょっとお話があります。」
レイルは眉を上げたが、それでも頷いた。
二人は人気のない場所に移動した。
ニコはレイルの目をまっすぐ見つめた。
「**あの作戦――二組に分かれるのは、間違っています。**」
レイルは黙って、続きを促した。
「もし俺たちが二手に分かれて、防衛組が柱を守り、攻撃組が外に出て――そして襲撃を受けたら狼煙を上げる…」
ニコは空を指さした。
「**その狼煙は、森の中の他の全ての班にも見えます。**」
「俺たちは味方を呼び寄せるだけでなく、**敵にも位置を知らせている**んです。」
レイルが目を細めた。
「そして柱は移動できません。一度場所がバレれば、多方から攻め込まれます。」
ニコは少し間を置き、レイルが理解するのを待った。
そして彼は続けた。
「**俺には別の作戦があります。**」
「言ってみろ。」――レイルは簡潔に答えた。
ニコは地面に素早く別の地図を描いた。
「**まず、俺たちは『山』を作ります。** ――柱全体を分厚い土の層で完全に覆い隠すんです。」
「土魔法でできます。柱は岩と土の厚い層の下に隠します。その上に草木を植えて、周囲の環境に完全に溶け込ませます。」
レイルは頷いた。
「**柱が完璧にカモフラージュされたら…**」
ニコは柱の位置を囲むように円を描いた。
「**俺たちは全員、攻撃には行きません。**」
「代わりに、いくつかの小隊に分かれて、森の中を**偵察**します。」
「任務は:他の班の柱の位置を特定し、彼らの動きを監視し、そして**常に潜伏し、絶対に位置を悟られないこと**です。」
「**二つの班が戦い始めた時――彼らは互いに集中していて、こちらのことを警戒していません――その瞬間に、俺たちは全戦力を結集し、そのうちの一つの班の柱に一撃を加えます。柱を素早く破壊し、新しい戦士を獲得し、相手が反応する前に即座に撤退するのです。**」
「**そしてまた潜伏する。また機会を待つ。**」
ニコは顔を上げてレイルを見た。
「**この戦術には、最強である必要はありません。必要なのは、最も賢く、最も忍耐強いことだけです。**」
レイルは長い間黙っていた。
彼は地図を見、ニコを見、そして再び地図を見た。
そして――
「**いいだろう。**」
ニコは驚いた。
「え? そんなに簡単に賛成してくれるんですか?」
レイルは口元をわずかに緩めた。
「**お前の作戦の方が理にかなっている。リスクが少ない。地形を活かし、敵の無知を突くことができる。**」
彼はニコの肩を叩いた。
「**お前の言う通りにしよう。**」
ニコは微笑んだ。
彼の胸に、自信が湧き上がるのを感じた。
*「前世じゃ、戦術の本をただ読んで楽しんでただけだ。」*
*「今度は、それを現実にする番だ。」*
彼は目の前に広がる広大な森を見つめた。
*「待っていろ。残り15個班よ…」* ついに、レイルは作戦を変更した。
この判断は極めて合理的だった。なぜなら、もし班員の誰かが気絶させられて、身につけている**ロゴ**を奪われた場合、その者は即座に発見され**脱落**となるからだ。
気絶していなければ、ロゴを奪われても問題はない。しかし、その後で気絶させられれば、正規軍の監視員の容赦ない目によって脱落と判定される。
**兵力の温存が何よりも優先される。**
こうしてレイルは第1班を**4つの小隊**に分割することを決めた:
- **1小隊は柱に残留**し、警戒にあたる。柱に危機が及んだ時のみ姿を現す。
- **3小隊は偵察**に出て、他班から新たな戦力を獲得する機会をうかがう。
小隊長の顔ぶれは以下の通り:
| 小隊 | 小隊長 | 任務 |
|------|--------|------|
| 第1小隊 | **レイル** | 総指揮、偵察 |
| 第2小隊 | **ニコ** | 偵察、戦力獲得 |
| 第3小隊 | **エルドリック** | 偵察、戦力獲得 |
| 防衛小隊 | **セレナ** | 柱に潜伏し防衛。治癒魔法と防御魔法に優れた者で構成 |
ニコは自分の小隊の前に立った。
彼の第2小隊は**5名**で構成され、その中には小隊長である彼自身も含まれる。残りの4名が彼の前に立ち、好奇心と――そして若干の疑念を込めた眼差しを向けていた。
ニコは一人ひとりを見渡した。
「**始める前に、君たちの能力を詳しく知りたい。**」
4人は顔を見合わせ、そして順番に自己紹介を始めた。
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### 第2小隊のメンバー
**1. マーカス – 20歳**
- 小隊で最年長
- 使用可能:**火の基本元素**――手のひらに小さな火を生成できる。近接戦闘での攻撃に十分な威力
- 性格:やや傲慢で、最初はニコの命令に従いたがらなかった。自分より年下だからだ。しかしレイル――正式な班長――の命令である以上、受け入れざるを得なかった。
*「だがな、ガキの言いなりになるつもりはないぞ。」*――マーカスは半信半疑の目でニコを見た。
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**2. リラ – 17歳**
- 小隊唯一の女性
- 使用可能:**風の基本元素**――弱い風を起こせる。敵の動きを鈍らせたり、回避を補助したりする程度
- 性格:内気で口数が少ないが、努力家。
*「わ…私、みんなについていけるように頑張ります。」*――リラはうつむきながら、小さな声で言った。
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**3. ヴィクター – 18歳**
- 使用可能:**土の基本元素**――皮膚の一部を短時間硬化させ、自身の防御力を高めることができる
- 性格:無口で現実主義的。必要なこと以外は話さない。
*「防御は任せろ。」*――ヴィクターは簡潔に言った。
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**4. アルドリック – 13歳**
- ニコより2歳年上だが、幼い頃から軍隊に参加している
- 使用可能:**水の基本元素**――小さな水流を生み出せる。敵を濡らしたり、火を消したりする程度
- 性格:活発で好奇心旺盛。やや衝動的。
*「俺も役に立つよ!」*――アルドリックは目を輝かせて言った。
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ニコはしばらく黙って、情報を頭の中で整理した。
*「火の基本、風の基本、土の基本、水の基本……」*
彼は自分の手を見下ろした。
*「そして俺は――土魔法を感じ取れるようになったばかりで、まだうまく操れない。でも父から剣術は学んでいる。」*
彼は顔を上げた。
*「つまり…中距離での戦闘ができるのは、この小隊では俺だけだ。」*
傲慢から来る発言ではない。それは単なる事実だった。
ニコは一歩前に進み、4人の目をまっすぐ見つめた。
「**わかった。**」
彼の声は穏やかだが、異様なほどの確信を帯びていた。
「**今はただ、俺について来てほしい。**」
マーカスは眉をひそめ、何か言おうとした。しかしやがて口を閉じた。
この11歳のガキの目には、抗えない何かがあった。
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こうして第2小隊の旅が始まった。
彼らは鬱蒼とした木々の間を進み、巨大な茨や木の根をかいくぐった。ニコが先頭に立ち、絶えず周囲を警戒している。リラはその後ろを静かに歩き、時折風で落ち葉を払って足跡を消す。ヴィクターは無言で後方を固める。アルドリックは始終何か話したがり、その度にマーカスに注意されていた。
「**シッ! 見つかりたいのか?!**」
「**ごめんごめん…**」
彼らはかなりの距離を進んだ。
そして突然――
ニコがぴたりと**止まった**。
彼は手を上げて、全員に停止の合図を送った。
「**どうした?**」――マーカスが小声で尋ねた。
ニコはすぐには答えなかった。彼は目を細め、前方の木々の間の空間を見つめていた。
背筋に冷たいものが走る。
「**誰かが…**」
彼は囁いた。
「**俺たちを監視している。**」
小隊全員が凍りついた。
空間が一瞬で、息苦しいほどの静寂に包まれた。 その時、突然――
**ビュッ! ビュッ! ビュッ!**
茂みの中から、無数の**水の矢**がニコめがけて放たれた!
ニコは両腕で防ごうとしたが、水の矢は次々と彼の体に当たり、激しい痛みを走らせた。攻撃は止まない――**連続して**、立て続けに、彼の小隊は完全に不意を突かれた。
「**気をつけて!**」
ヴィクター――土魔法を得意とする彼――が素早く**土の盾**を生成し、皆の前に立ちはだかった。水の矢は盾に当たって弾け、泡となって消えた。
そして、攻撃が止んだ。
茂みの中から、一人の男が現れた。
その後ろには**19人の戦士**――完全な一個小隊が、一斉に木々の間から姿を現した。全員が**青い外套**を身にまとっている。
先頭に立つ男――おそらく25歳くらい――が自信に満ちた声で言った:
「**状況はわかってるな? 20対5だ。**」
彼は嘲笑を浮かべた。
「**無駄な血を流す必要はない。ロゴを渡せば、痛みなく終わらせてやる。**」
リラとアルドリックが不安そうにニコを見た。
「**行かないで! 危ないよ!**」――リラが彼の腕を引いた。
しかしニコは首を振った。
「**ここにいたら、俺たちはただ死ぬだけだ。**」
彼は深く息を吸い込み、盾の外に**歩み出た**。敵の男の前にまっすぐ立ちはだかった。
男は眉を上げ、ニコを頭のてっぺんから爪先までじっくり観察した。
「**おや? 随分若いな。15歳くらいか?**」
ニコは黙っていた。
実際には彼はまだ**11歳**だが、これまでの厳しい訓練で体は鍛えられ、同年代より大きく見えた。相手が間違えても無理はない。
「**俺はマルコ――青外套隊の小隊長だ。**」――男は腕を組んだ。「**お前たちのロゴが欲しいだけだ。渡せば見逃してやる。**」
ニコは目を細めた。
「**ロゴは何に使うんだ?**」
マルコは嘲笑した。
「**新人か? 敵のロゴは必要な物資と交換できる。ロゴが多ければ多いほど有利になる。だがお前たちは…**」
彼はニコの小隊の小ささを見渡した。
「**ロゴを渡せばそれで終わりだ。お前たちは脱落するが、少なくとも誰も傷つかずに済む。**」
ニコは彼の目をまっすぐ見つめた。
「**渡さない。**」
マルコは固まった。
そして――**大笑いした**。
「**ハハハハ! まったく子供は愚かだな!**」
彼は手を上げ、小隊全体に攻撃命令を下そうとした。
「**全員、総攻撃――**」
「**待ってくれ!**」
ニコが叫んだ。
マルコの動きが止まった。
「**何だ?**」
ニコはさらに一歩前に進み、敵から目をそらさなかった。
「**俺たちは協力できる。**」
マルコは眉をひそめた。
「**協力? どういう意味だ?**」
ニコは素早く、自信に満ちた口調で言った:
「**こういうことだ。今、君の小隊が俺たちを攻撃すれば、確かに俺たちは全滅するだろう。**」
「**しかし断言できる。俺たちが倒される前に、君の小隊も大きな損害を被ることになる。**」
マルコは目を細めた。
「**俺は倒れる前に、少なくとも君の小隊から二人を道連れにする。二人を失って、たった五人のロゴを得る価値があると思うか?**」
マルコは黙った。
ニコは続けた:
「**俺たちを倒しても、君が得られるのは五つのロゴだけだ。脱落した味方を戦線に復帰させるのに必要な数の半分にも満たない。**」
「**今ここで俺たちを攻撃することは、君自身の力を弱めることにしかならない。**」
マルコは沈思した。
彼は聡い男だった。ニコの言う通りだと理解した。
「**では、お前はどうしたいんだ?**」
ニコは微笑んだ。
「**俺たち二つの小隊で同盟を結ぶんだ。**」
「**必要な時は互いに支援し合う。君の小隊が襲われたら、俺たちが助けに行く。俺たちが襲われたら、君も同じようにする。**」
マルコは眉をひそめた。
「**お前が我々を見捨てて逃げない保証はどこにある?**」
ニコは即座に答えた:
「**保証として、俺たちの小隊から二人を人質としてここに残す。**」
「**そして君は、一人を俺たちに寄越せばいい。そうすれば、君の小隊は新たな戦力を得て、俺たちは戦闘力を維持できる。**」
マルコは眉を上げた。
彼は頭の中で計算した。
*「こちらの一人を向こうにやる…しかし向こうの二人を人質に取る。」*
*「確かに有利だ。」*
彼は長い間ニコを見つめた。
そして――**うなずいた**。
「**いいだろう。その提案、受けて立つ。**」
ニコはほっと息をついた。
両陣営の緊張が少し和らいだ。
マルコは手を叩いた。
「**誰を向こうにやる?**」
彼は自分の小隊を振り返り、一人の若者を指さした。
「**アーサー。お前が向こうに行け。**」
アーサー――19歳ほどの青年で、少し驚いた表情を浮かべていたが――ニコの小隊の方へ歩いてきた。
ニコは自分の小隊を振り返った。
「**リラ、ヴィクター――お前たち二人はここに残れ。**」
リラは顔色を青くしたが、うなずいた。ヴィクターはいつも通り無表情だった。
ニコは最後にもう一度マルコを見た。
「**忘れるな。この同盟は、互いに利益がなくなるまでだ。**」
マルコは笑った。
「**お前、なかなか賢いな。気に入ったよ。****
こうして、絶体絶命と思われた状況で、ニコは危機を機会に変えた。




