3-2:装備Get!
ジメジメやだよぅ・・・
3-2
俺の倉庫籠城作戦のあと。取り敢えず倉庫から出してもらった。ちなみに倉庫を出てからマスクをしてた理由を問われて、「おじい様から身を守るためです」って言ったら、目に見えてヘコんでしまったので、慰めるのに苦労した。けど、痛いのヤダし。それにこの師匠、ちゃっかり手に糸を装備したまんまなんだよね。なので、未だに警戒中である。あ、それ以上近付かないでくださいね。
さて、倉庫の壁板という尊い犠牲はあったが交渉には成功したので、早速準備開始である。今着用しているスカートじゃ、どっかに引っかける可能性があるからね。ってなわけで、久々にズボンにチェンジである。ってか、ズボンを着る方が久々って・・・女児服やらスカート着るのも慣れたなぁ。
あ、言っておくけどスカートばっかりなのは俺の意思じゃないからね?師匠がスカートの方に慣れておけってうるさいからだからね?なので、俺の基本の服装はスカートが多い。そこはかとなく、ユリーさんとか村の女性陣の思惑が働いているように感じる。え?男の尊厳?そんなん男のシンボルを消失してからどんどん薄れてきてますよ。人は慣れる生き物って言うの、アレ本当だね。半年以上くらいこの体だと流石に慣れてくる。
いや、まぁ趣味嗜好とか思考回路は前世のままな気がするけども。思考回路は間違いなく俺自身だって言い切れる。「我思う、故に我あり」だっけ?まぁそんな感じ。ただ、スカートに慣れてきたり、少年たちと遊ぶよりもリナやシーナ、ユリーさんと居た方が何と言うか、こう・・・おさまりが良い?感じになってきてるんだよね。さて、取り敢えず着替えは終わったし、マスクも裁縫セットで形はちゃんとしたものを作成したから準備完了である。部屋から出て1階に降りると、師匠が相変わらず難しい顔で椅子に座っていた。
「おじい様、準備できました」
「うむ。では魔獣狩りに連れて行くが、必ず儂の言いつけは守るように」
「はい」
「まず、絶対に儂よりも前に出ないことが一つ。当然、離れることも禁止じゃ」
「はい」
「それと魔獣とはいえ、それを狩るという事は命を奪う事じゃ。それは理解できているか?」
「・・・はい」
命を奪うことは理解している。けど、それが害獣であれば駆除する必要があるし、それは前世でも人間がやって来たことだ。俺自身が害獣駆除をやったことはないけど。でも、普段から食べている肉は動物やら魔獣の肉で、食事と言うのは『命』を食べているのだ。それに直接動物の命を奪うことは色々あって前世で経験済みだ。あーアレです。動物実験的なアレで。ちゃ、ちゃんと慰霊碑にはお参りしてたから、祟らないでね?南無南無・・・
「お前さんは未だ齢にして、4歳という子供じゃ。本来はせめてもう少し成長してからにしたかったんじゃがのう」
「そこまで待ってたら、おじい様が歯を抜いちゃうんでしょう?そんなのは絶対嫌です」
「・・・まぁ儂も約束をした手前、今さらそれを反故にもするつもりもないが。しかし、幾つ上げればいいかのう」
あー、そういやその辺は考えてなかった。でもそこまで上げなくても何とかなるんじゃないかなーって考えてるんだよね。今の俺の元々のMPは211だし、それとこのスキルもあるしね。
『成長補正』-『ステータスの増加時、元の数値/4+種族値/4×増加数の数値を加算する』
そう、このスキル。冷静に計算してみるとこのスキルね、マジやべーんだ。俺の元の数値が211。それを4で割ったとしても50ちょい。んで俺の本当の種族は『亜人』っていう、なんか訳分らん種族。前に『物理補正』と『魔法補正』のスキルによる上昇値を元に種族値の算出は出来てるんだよね。その数値は40だった。ってことは、種族値を4で割って10。そこに増加数分を掛けて加算されるんだから、仮に増加数が「1」でも10加算されるから合計で60くらい増える。ステータス増加はLvが上がった時だって師匠から聞いてるから、1Lv上がっただけで60加算されるなら270くらい。もし増加数が「10」とかだったら一気に150増える。2レベ上げるだけで終わる。割と早めに終わるのでは?ま、まぁ、「0」の可能性もあるっちゃあるんだけどさ・・・
「取り敢えず、今日狩れるだけ狩って限界まで上げましょう!」
「・・・まぁ良いか。ついでに森の歩き方や探索の仕方も教えるとしよう」
「はい。・・・ところで、さっきから気になってたんですけど、それ私用ですか?」
俺は師匠の隣の椅子に置いてある短剣を指さす。帯もセットみたいだ。そこまで長いものではないけど、それでも持てるかな、アレ?あとそれから小っこいけどポンチョっぽいのと、手甲、レガース、ブーツ、サークレットとヴェールが一体になってるみたいな奴もある。その装備だけ名前は分からん。一応サークレットに分類されるのかな?え?なんでそんなに装備に詳しいのか?え、ゲームとかで見ない、こういうの?ってか師匠、一体いつの間にこんなの準備したんだろ?
「まぁ、の。本当はまだ渡すつもりではなかったんじゃが、仕方あるまい」
「因みに本当はいつ渡すつもりだったんですか?それといつの間にこんなの用意してたんですか?」
「渡すのは冬の間にするつもりだったんじゃ。冬は大型の魔獣ほどエネルギーを節約するために冬眠する種が多いからの。遭難にさえ気を付ければまだ安全と言う訳じゃ。その安全な状態であれば魔獣狩りに連れて行ってもまぁ、事故は起きんと考えておったんじゃが・・・まぁ、それでも魔獣狩り自体は来年の冬以降にしようと思ってたんじゃがのう」
「なるほど」
「あとこれらの装備じゃが、ユリーの姉が来たじゃろ?」
「エドナさんですか?」
「そやつが来た時に装備は命を守るもの故、早めに作っておいた方が良いと指摘されてな。それでガウルの奴の工房に依頼を出して、本当はとっくに出来とったんじゃが、渡したら魔獣狩りに連れていけと言い出しかねんと思って渡さなんだ」
「言いませんよ。どんだけ血の気が多いって思われてるんですか。戦うのとか怖いですし」
「ならば--」
「けど、今回は必要があるから行きますよ!絶対ですからね!?」
「ちっ」
「舌打ちされたって諦めませんからね!言質だって取ってあるんですから!」
「まぁ、今さら吐いた言葉を覆すことはせん。取り敢えずほれ、身に着けてみよ」
「はーい」
ってなわけで、師匠に少し手伝ってもらいながら装備を装着していく。短剣はちょっと重く感じるけど、まぁ大丈夫。ポンチョもまぁ問題なし。手甲とレガース、ブーツも大丈夫。ヴェールと一体型のサークレットも装着してみるけど、なんか前世でも帽子とかあんま被んない人間だったからなのか、頭の周囲が少し抑えられるって若干違和感がある。あ、ヴェールって言ってもアレだからね?結婚式で花嫁が前に掛けるやつじゃなくて、側頭部から後頭部にかけて保護してくれる防具ですから。断じてアクセサリーとかじゃない!けど、こんな半透明?シースルー?ちっくな布に防御性能なんかあるのかね?顔の横にあるヴェールを摘まんでジッと見てみる。
「なんじゃ、その布が気になるのか?」
「はい。こんな薄布一枚付ける意味あるのかなー、と。防御性能なんか無さそうですし」
「まぁ、見た目はそうじゃの。じゃがそれはヘルモスの糸から作られた布じゃから見た目より頑丈じゃぞ?魔法にもある程度耐性はあるし、下手な刃物は通さん。火にはちと弱いがの」
・・・異世界特有のトンデモ素材だった。つまりコレはあれだ。高性能な防刃チョッキみたいな?もしかして、このポンチョとかも?手甲とレガースもコレもしかして異世界金属だったりする?・・・これ、もしかしなくても結構な高級品なのでは?
「あの、おじい様?一体これらの装備、いくらするヤツですか?」
「大金貨3枚と少しだったかのう?」
えっと確か、大金貨1枚って100000Gだったよね。大体1G=10円だとして、単位換算すると、300万円とちょっと?う、うーん、た、高いといや高いのか。因みに防弾チョッキとかってお幾ら・・・あ、安いやつだと1万円くらいで買えるんだ。でも高いやつだと30万以上。う~~ん、そういう意味じゃ割かし適正価格っぽい?いや、でも絶対値としては高い、よな?比較対象が無いから分かんないな。
「因みにおじい様。冒険者の平均的な報酬ってどの程度ですか?」
「うん?そんなもんピンキリじゃぞ。討伐依頼はギルドから支払われる報酬は高くはないの。その代わり討伐した魔物の素材が売れるゆえ、そっちが主な報酬と言ったところか。護衛依頼などもそうじゃしのぅ」
「じゃあ、ヴェントさんが護衛依頼出してた時の報酬ってどの位だったんです?」
「詳しくは知らんが、ここからクラッドまでは街道もある故、そこまでの危険はないからのう。ふむ・・・馬だと1日以上かかるとして、良くて大銀貨2、3枚といったところか?」
2、3万円くらい?良くてその位か。仮に3人パーティで受けたとして一人当たりの手取りは1万円以下。丸一日以上拘束されるとして、時給換算すると・・・やべー、前世での最低賃金を大幅に下回ってる。冒険者とはブラックだった!?いやまぁ予測は出来てたんだけどさ。
えっと、討伐依頼とかもこなしたとしても、月給換算すると2、30万円くらい?日本のリーマンの平均月収くらい?・・・こうやって考えると冒険者も世知辛いんだなぁ。なんか、悲しくなってきた。ホロリ・・・
いやいや、待って。そう考えると俺の今の装備って、一般的な冒険者の約一年以上分の稼ぎの値段ってこと!?高級品じゃねーか!!う、うーん、命を守るための値段と割り切ろう。深くは考えない!あ、でも装備については他人に詳しく説明するのやめとこう。
「じゃあ、準備も出来ましたしさっさと行きましょう」
「ふむ、良かろう。しかし夕飯の準備までには帰宅する故、そこまで長く魔獣狩りはせんからな」
「なら尚の事早く行きましょう!」
俺は率先して扉を出て師匠を急かす。当の師匠は「やれやれ」とボヤキながら出てくるが、とにかく魔獣狩りスタートである。
--☆
「さて、今回魔獣狩りを行う場所は家からさほど離れていないこの場所で行う」
「はい。でも、こんな場所に魔獣っているんですか?見た感じ平和そのものですけど」
「そこまで多くはないの。故に不意打ちの心配は少ない。が、お前さん儂と初めて会った時、バーサークベアに襲われとったじゃろ」
「あー、それはその、急に一人きりだったショック、で?」
「なぜ疑問形なんじゃ・・・まぁよい。とにかく、ここいらであれば小型の魔獣が多い。そこまで危険はないはずじゃ。最悪攻撃を受けたとしても、装備もあるゆえ一撃で死ぬことはないじゃろう」
「被弾しない様に守って欲しいです」
「死なない程度には守るが、周囲に注意を払うことを覚えよ。森に入れば常に周囲の警戒を怠らない。これが最低限の第一歩じゃ」
「う、は、はーい」
師匠の注意に素直に頷いておく。注意力散漫なのは本当だしね。一応前回のスキル検証で未検証のままな『危機察知』を常にONにしている。それと『索敵』で周囲のチェックしている。ただ、『索敵』を使えることを師匠には話していないので、脳内マップでチェックしてるだけ。ぶっちゃけコレがあれば、『危機察知』要らなくない?まぁ、持ってるだけいっか。大して使うことがないとしても。
「ところで、おじい様。今回の魔獣狩りって、おじい様が弱らせて、私がトドメを刺すって段取りで良いですか?」
「うむ、そのつもりじゃが。それより大丈夫なのか?簡単に言っとるが、命を奪うという事じゃぞ?躊躇ってはいかんのじゃが、本当に大丈夫か?」
「んー、多分大丈夫です」
「・・・まぁ、良いか。その言葉を今は信じておこう」
まぁ、子供は信用はしても信頼してはいけないのが付き合う上でのコツって聞いたことあるし、師匠の判断は正しいと思いますけどね。え?聞いたことない?そうかー。
そしてさっきから師匠が地味に周囲を見回しては、何かを探してるみたいだ。因みに俺の『索敵』には未だに反応がない。黄色いマーカーはあるんだけど、これってやっぱり野生動物とからしいんだよね。それと俺は青マーカーで、師匠とか村の人たちは緑マーカーだった。警戒色である赤がまだ遭遇したこと無いから、多分赤マーカーが魔獣とかの敵性存在だと思うんだよね。
「おじい様が探してるのって、魔獣の手がかりですか?」
「うむ。基本的にどの魔獣も己の縄張りを持つ。まぁ、あまりに小型であったり、空を飛ぶものの中には持たないものなど、他にも例外はいるがの。取り敢えず魔獣狩りの時は、魔獣が残す縄張りの目印を探すところからじゃの。それ以外にも獣道であったり、食事の跡などじゃな」
なんか、前世でモンスターをハントするゲームでも似たような事やってたなぁ。目標の痕跡を集めて追跡するやつ。リアルでやると、しんどいのと飽きる。いや、それはゲームでもそうだったか。
さて、人の生活圏に近い所ではやっぱり魔獣は殆ど居ないらしくって、ひたすら森を歩く。ただ、俺は相変わらず体力がないし、慣れない装備と道で疲労がすぐに来る。なので、小休止を挟みつつ探索である。『ネットワーク』に接続してオンラインのストップウォッチで時間を測ってるんだけど、1時間近く探索しても成果なし。大体、10分探索→5分休憩の繰り返しなんだけど、疲れるわ・・・
え?たった10分かよって?いやいや、装備の手甲もレガースも一応金属製だから若干重いんだって。なので、実はちょいちょい『魔鎧』を使用中です。ただ、注意しないと筋肉痛ならぬ魔力痛になるので、戦闘前に乱用も出来ない。ペース配分が難しい所さんである。
ん?なんか『索敵』のマップ上の端っこに紫色のマーカー出てきた。師匠も何か見つけたのか、進行方向もどうやらそっちらしい。もしかしてこの紫が魔獣?俺は師匠の後ろに付いて、歩き出した。
いつも読んでいただきありがとうございます。
相変わらず不定期更新ですが、気長に待っていただければと思います・・・
な、なるべく早めに更新します!




