表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/137

2-9:市場調査、と・・・?

昇給・・・したかった・・・(涙)

2-9


「ヴェントさん。私から教えることはもう何もありません。とりあえず教えた歌に関してはもう完璧に歌えています。あとは各地を回って、その歌が受け入れられる事を願ってますね」


「ヒスイさん、いえ先生!!ありがとうございました!このご恩は絶対忘れません!!」


今日、ヒスイちゃん音楽教室から卒業生第1号が旅立ちます。修了までに要した実期間は1週間と少し。一日の内午後だけとはいえ、歌いっぱなしのカリキュラム。場所は冒険者ギルドだったり、青空教室状態だったり。午後ある程度の時間になると、睡魔との戦いという艱難辛苦が待ち受け、終えた時には毎回喉が枯れるという苦行。初めての卒業生に簡単な訓示を授け、送り出します。


うん、もう二度とやりたくねー。疲れるし、手に入るのはちょっとした小金が将来的に入るだけ。始めのうちは良かったけど、同じ曲を何度も歌って、そしてリピートして聞かされるのはもう飽きた。


なので、音楽教室はもう閉校です。卒業生第1号ヴェントよ。お前が最初で最後の生徒だ。逞しく生きてくれ。あとは知らん。


さて、約1週間前にベイジ村では食中毒騒動があったけど、割と早めにそれは終息した。ま、一応マヨネーズの注意点は伝えてある。なので食中毒の再発は防止できると思う。


とりあえず早めに食中毒騒動が終息したのは、クラッドの街の神官と医者が来たのと、俺の持つ知識を師匠経由で神官と医者に伝えられたのが大きかったらしい。なぜ伝聞調なのかというと、食中毒騒動中はいつだかの留守番期間中と同様の状態になってたからです。師匠が頑なに俺をベイジ村に連れて行ってくれなくて、何を言っても首を縦に振ってくれなかった。まぁ、師匠が心配してくれる気持ちもわかるので、最終的には従いましたけども。


・・・決して一日中プールを解放されたからとかじゃないですよ?いや、ほら室内にずっと籠りっぱなしだと、このエアコンもない世界じゃ危険じゃん?だから涼を取れないと熱中症で死んじゃうかもなー、って師匠を説得しただけです。そう、この季節だと留守番にも命の危険があるから。決して娯楽のためではない!


ちなみに、ビート板を並べて何枚まで渡れるかってやつあるじゃん?あれ、木板で代用してみたんだよね。取り敢えず今の体重が軽いから、バランスを崩さない限り対岸まで渡れました。・・・はい、白状します。楽しかったです。


ま、まぁ、ほら!卵の注意点とかも既に拡散済みだし!あ、因みにこの世界の人たち、基本的に果物以外は生で食べないそうです。なので卵が食中毒の原因になるっていうのを知ってる人は皆無だったみたい。




とにかくベイジ村は死者も出さずに今回の事件を乗り越えました。終息した後、村人に謝ろうとしたら、師匠に止められた。一応師匠から情報拡散したからね。俺はまだちょっと賢い子供って立ち位置を守らないといけないから、師匠から謝罪しておいたらしい。・・・さすがに罪悪感がすごかったので、留守番期間中は師匠が帰宅してからマッサージするなり、せめて掃除などの家事をしておくなりしました。・・・子供にできることは少ない。


と、ちょっと話がそれたけど、取り敢えずベイジ村には日常が戻ってきて、中断していたヴェントの音楽教室を再開したというわけだ。で、今日卒業。ってなわけで、彼は護衛の冒険者を雇って、クラッドの街を経由してあちこち回るんだとさ。そのまま馬に乗って、数名の冒険者と旅立つヴェントを師匠と送り出しました。


「で、送り出したのは良いですけど、今日ってこのまま私たちもクラッドの街に行きますよね?乗せて行ってあげれば良かったんじゃないですか?」


「それじゃと、他の冒険者の仕事を奪ってしまうのでな。こういう護衛の依頼は他の冒険者に回しとるんじゃ」


なるほど。確かに他の冒険者の食い扶持を潰すのは良くない。


「まぁ、護衛依頼は総じてメンドクサイというのもあるが」


「えー・・・」


「それに護衛依頼はそこまで利率のいい依頼ではないからのう」


利率ねぇ。結構金持ちな師匠にとって、護衛依頼は割に合わないんだろうね。実力的にも、かな?師匠って結構な金額を貯め込んでて、食材が入っているのとはまた別の地下室に隠してるらしいんだよね。見たこと無いけど。収入源はペップスの森奥地に生息するという高位の魔獣狩り。だから、現状お金に困ることは基本的にない。そもそもこの世界だと、お金の使い道が少ないって問題もある。


多分一般人であれば酒に使うか、ちょっといい食材を買うのに使うかとか。あとは武器とか雑貨品とかか。結局どれもピンキリだし、少なくともベイジ村では法外な値段の物っていうのは無いらしい。今のところ師匠が全部支払いをやっているから、この世界のお金についてはまだ勉強できてないです。まぁ、買い物の様子とかを見て何となく価値は分かるけどさ。


あ、それと単位はゴルドというらしい。基本的には硬貨でやり取りをするらしくって、貨幣価値はまとめるとこんな感じ。


ゴルド:略はG

小銅貨:1G

大銅貨:10G

小銀貨:100G

大銀貨:1000G

小金貨:10000G

大金貨:100000G


およそだけど、多分1G=10円くらいのイメージだと思う。多分・・・


この辺は実際に自分で買い物をしてみないと感覚が分かり辛い。


「さて、では儂らも行くとするかの」


「はい、師匠」


ってなわけで、俺と師匠もクラッドの街へ出立する。いざ、トイレットペーパーの入手と市場調査へ。目的のものが売ってるといいなー。











--☆













さてトイレットペーパーも完成品を貰ったので、いざ市場調査である。作成してくれた例の紙職人の親方さんには、相変わらず目を付けられてたけど、そこは気にしないでおきたい。それと何か気付く部分とかあれば言って欲しいと言われました。「使ってみて何かあれば言います」って言っておいた。もう、ね。職人さんたちの目が怖いのなんの。向上心があるのは良い事だと思いますが、俺を巻き込まないでください。だから、俺よりもちょっと年上くらいかなー、って感じの少年を紹介しないでください。嫁になんか行かないからな!?何が何でも魔法士の位をもぎ取って、自立した女性になります!


・・・あれ?


・・・・・・・・・俺は男だろうが!!体は女でも、心は男だろうがよ!!やばいやばい、最近女性陣ばかりとしか交友してないから、思考が完璧にそっち方向に向いてないかな!?あ、あぶねー・・・


うーん、少年たちと遊んで男の心を取り戻す?でも、それをやると俺を嫁にしたいベイジ村保護者ーズが余計に活気付きそうなんだよなー・・・というか、10歳かそこらの少年って、力加減とか知らない可能性もあるから、今の俺にとっては割と危ない可能性もある。俺の物理ステータスは低すぎるからね!師匠からも低いってお墨付きをもらったし!!泣きたい、こんちくしょー。




と、内心で落ち込んでいたら、どうやら市場に着いたようでキョロキョロと周囲を見回してみる。さすがに街の市場と言うだけあって、随分と賑わっていた。が、ここで一つ問題がある。商品が陳列してある台に俺の身長だと届かなくって、全くもって見えないんだ。むむむ、こうなれば最終手段。


「師匠、抱っこしてください。商品が見えません」


「よかろう」


ってなわけで、師匠に抱っこを要求。これも目的を果たすため。己を捨てろ・・・男の部分は捨てない程度に。ここ重要。とりあえず師匠に抱え上げてもらって、一気に視界が高くなった。これならしっかりと並んでいる商品に目が行き届く。


目的は主に食材だけど、それ以外でも珍しいものがあればチェックしておこう。QOL上げるには衣食住の質を上げるのが一番。『衣』はまぁ、今のところ困ってないからいいや。『住』環境はエアコンが欲しいけど、そもそも電気がないし。まぁ?家にプールという環境は出来たんだし?取り敢えず、暑さ対策は出来ている。・・・あれ?寒さ対策は?えーと、どうしよう?暖炉とかは自宅で見たことがない。帰りがけにでも聞いてみる?


っと、食材探し食材探し。


「そこの子連れのお爺さん!ウチの野菜を見てっておくれ!」


「いやいや、こっちのが新鮮だよ!」


「新鮮な肉が入ったよ!今日の目玉はアースバイパーの肉だよー!寄ってってー!」


客引きがすごい。あっちこっちから声を掛けられる。で、こういう所って一つの店に寄ると次々と客引きが白熱する。なので、興味の惹かれない店には寄らないのが鉄則だ。と言っても、アースバイパーの肉には興味がある。蛇肉って味は肉か魚で言ったら魚寄りで、食感は鶏に近いって聞いたことがある。もしくはウナギ。蒲焼とかにすれば美味しいらしいけど、醤油がないから蒲焼は難しい。でも、揚げれば食えるかな?鶏のから揚げみたいに。


「師匠、蛇肉買って帰りましょう。揚げ物にすれば美味しいかもしれません」


「あげもの?何じゃ、それは?」


『揚げる』って調理法もないらしい。油はあるのに・・・まぁ、油が撥ねて危ないからやる人が居なかったんかね?クッキングペーパーの代わりはどうしよう?んー、しょうがないから、また紙職人の所に行って、油を取る用に紙を購入するかね。ちゃんとしたクッキングペーパーではないけど、ある程度なら油を吸うだろうし。


「お!お嬢ちゃん、お目が高いな!ウチのは全部取れたてだぞ。煮ても焼いても美味いぞ」


「煮るとか焼く以外でも食べられるんです?」


「ん?それ以外か?あー・・・食堂の連中なら知ってるんじゃないか?」


丸投げしおったこの店主。いや、まぁいいけど。ついでにこの前の食堂の店主にお詫びとして色々とレシピは教えるつもりだし。で、この蛇肉持ってって揚げてもらおう。『揚げる』という調理法を波及させてほしい。


それと廃油の処理方法とか活用法も合わせて教えておきたい。アロマキャンドルとか作れるかね?それに燃料にもなるし。無駄なくリサイクルして欲しいなぁ。環境保護の観点とかそういうのプラス、有効活用できれば俺の将来的なQOLも上がるかもしれないし。うむ、いわば積み重ねです。


(そういう訳で、師匠。少し多めに買ってください)


(・・・何がそういう訳なのか分からんが、まぁ良かろう)


ということで、購入確定である。


「店主よ、この肉を3ブロック分貰おう」


「お、まいど!!可愛いお嬢ちゃんに免じて、小銀貨5枚だ!」


「うむ」


えっと小銀貨5枚だから500Gか。5000円くらい、かね?えっと、わりかし大きなブロック肉が3つでそれか。1ブロック3kgくらいありそうな感じ、かな?えっとそう考えると、およそキロ500円前後?ちょっとお高い豚肉くらいかね?あ、でもマケてそんくらいだから、本来の値段だとそれ以上なのか。んー、まぁ?A5ランク肉?とかよりは安いですし?あとは調理法次第か。


マケてくれたので、俺もお辞儀をしてお礼をしておく。その精肉店を後にして他の店も覗いていく。相変わらず客引きが凄いけど。あとは野菜関連なんだよなー。ただ、パッと見だと見知った野菜ばっかだし、目的となる香草になりそうな野菜がない。何よりトマトがない。うーん、そう簡単には見つからんか。


ん!?んんんん!?


「師匠!あっち!あっちの細道の所!ちょっと戻ってください!」


「わかった。分かったから、暴れるでない」


市場のメインストリートから少し外れた細道のところに、地面にゴザを敷いて木製のザルに野菜を乗せて売っているオバサンがいた。俺が目にしたのはザルに乗っている黄土色をしたデコボコの不格好な物体と、白くてずんぐりした形の物体だった。俺は師匠に降ろしてもらって、ジッとそれらの物体を凝視する。


「ん?何だい、随分とカワイイお客が来たもんだ。お嬢ちゃん、それが気になるのかい?」


「はい、すごく」


「そうかい。そいつは嬉しいね。ちょっと前に馬鹿やらかした奴から巻き上げた余りものなんだけどね。匂いはキツイし、硬いし、食えたもんじゃなかったよ」


ジッと近付いて見過ぎていたからだろうか。師匠が頭を押さえてきて、ぐいと引っ張られる。


「あう」


「ふむ、見た目は何かの根っこや、実にでも見えるが、食えんのか」


「あんたがこの子の保護者かい?」


「うむ。リガウスという」


「あ、そう。で、どうする?その子は気になるって言ってるけど。・・・買うのかい?」


「食えたもんではなかったんじゃろう?であれば、いらな--」


「要ります!!全部下さい!!」


目の前のオバサンがニヤリと笑って、師匠の事を意味ありげに見上げる。師匠の顔は真上にあるから見辛いけど、溜息が聞こえた。あー、なんかやっちゃった?もしかして、今のやり取りって値段交渉的な一部だったりしました?


「・・・幾らじゃ?」


「そうだねぇ。全部って言うんなら、大銀貨3枚かね?」


えっと、3枚だから・・・3万円?うぇ、たっけ~~~。俺が欲しいって言っているこれらの物体、黄土色の方は7個のみで、白色の方は5個しかない。高過ぎでは?ぼったくりもいい所である。


「え、たか--」


「良かろう。ほれ」


「え、あ、お、おう。ま、毎度あり」


師匠はそれ以外何も言わず、ザルの上のそれらを麻袋に入れて俺に持たせた。そのまま俺を抱え上げて足早にその場を離れる。


「あ、あの、師匠」


「口を閉じておれ。このまま東側へ向かう。そのままジッとしておるのじゃぞ」


「は、はい」


否と言わせぬ口調だったので、素直に押し黙る。周囲は相変わらずの喧騒だけど、師匠がなんかピリピリしてるからか、周囲の声が俺の耳に入って来ない。こんな風に緊張状態の師匠を見るのは初めてだ。











--☆











クラッドの街は東西南北で区画ごとに分かれている。で、西側は商業区、南側は居住区、北側は職人街、東側は兵舎やら訓練場やら、いわゆる防衛設備なんかが集まっている。そんでもって、俺と師匠が買い物をしてたのが西の商業区。なので南側の居住区の小道を通って東側に抜けようとしたところで、それは起きた。


キィン


と、甲高い音が耳元で聞こえたと思ったら、師匠が長杖を振って何かを弾いたらしい。


それは地面に落ちて、その正体が分かった。刃渡りが10cm程度の小さなナイフだ。えっと、これって襲撃を受けてるってこと、だよね?あー、師匠が緊張状態だったのはそういう事か。荷物を乗っけた木板を離れたところに移し、地面へ降ろす。俺も降ろされて師匠のローブの中へ避難させられた。


「ヒスイ、頭を引っ込めていなさい」


「は、はい」


俺は師匠に言われた通りローブに頭を引っ込めて隙間から様子を窺う。しばらくするとガラの悪そうなオッサン達が現れた。えっと、ひー、ふー、みー、よー・・・6人か。幼気な幼女と老人を取り囲むにしてはいき過ぎな人数じゃないですかねぇ?まぁ、こっちに居る老人は人間兵器みたいな老人ですが。


「おいおい、随分金払いのいいジジイが居るって聞いたから来てみたが、ぼろローブのジジイかよ」


「いやいや、アニキ。このジジイまじで金持ってるんですって。さっきも大銀貨3枚をポンと出してたんですから」


「ほう・・・おいジジ--」


と、ガラの悪そうなオッサン達が凄んできている途中で、周囲に岩壁が出てきてスッポリとオッサン達を含めて俺たちの周囲を円柱状に囲う。結構な高さがあって、目測だと何メートルくらいか分かり辛い。オッサン達がポカンとしていたら、俺たち側とオッサンたち側で分けるように、さらに岩壁が出てきて分断した。


「な、何しやがる、ジジイ!このやろ!!」


岩壁の向こうからガンガンと壁を殴る音が聞こえるが、どうやら壊せないらしい。と、師匠がまた長杖を振るって、何かの魔法を発動させたようだ。するとどうしたことか、壁からの音は大分鈍くなって聞こえるようになった。何をしたんだろ?


「あの、師匠?」


「これ、まだ出るな」


「う、はい」


まだ終わってないらしい。今度は上空に向けて火球を数発放って、爆発させていた。信号弾の代わりかね?と、しばらく待っていたら、周囲が何となく騒がしいのが分かる。


もう何が何やらである。







補足:ドミナンス家の庭にあるプールは既に拡張済みです。


昔夏休み小学校のプールに、ビート板浮かべてその上を走って「水遁の術!」とかアホな事やってる友人がいました。その後再浮上してきたビート板に鼻ぶつけて動かなくなってましたがw

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ