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9-11:新たな専属(ポンコツ)

いつも誤字脱字報告、ありがとうございます!

相変わらず、完璧な文章が書けない、へっぽこです・・・


い、以前よりは減ったはず!

9-11


「この度は愚かな娘が大変な失礼を致しました。罰は我が身が幾らでもお受け致しましょう。何卒、それでお怒りを鎮めて頂けますよう」


何度目か分からない私の誘拐未遂事件の後。主犯であるポンコツセイレーンであるミュゼにセイレーン達の長だという存在を呼び出すように命じた。


それでやって来たのは、とびきりの美人であった。対談場所は海岸である。本当は旧太守邸でやろうとしたんだけど…


「申し訳ございませんが、見ての通り陸を歩くための足がありません。手を、お貸しくださいませんか?」


と、儚げな雰囲気で騎士にお願いしていた。願い出るのはいい。でも、ウチの騎士にハニートラップ仕掛けないでくれ。無駄に色気があって、未婚の騎士はコロッといきかけたのだ。


「ストーップ!!会談場所はココです!手を貸さなくていいです!騎士達は下がって下さい!ララァナ、テュリス!」


「「はっ」」


おじい様が即席の椅子を魔法で作り出して、そこにララァナ達がセイレーンの長とミュゼを運んでくれた。


で、最初は向こうの謝罪から始まったというわけだ。


うん、この人の対談相手は男性がやっちゃダメだ。まさに魔性の女って感じがする。男を惑わして沈めるセイレーンの伝説の通りである。ある意味、ミュゼがポンコツで助かった。念のため、おじい様にも少し離れて貰った。なので、対談は私メインで進める。一応、おじい様にも会話は聞こえるはずだから問題なし!


「まぁ、私としては未遂でしたし、害する気はなかったということなので、不問でも問題ないと言えばないのですが…」


チロリと後ろを見ると、おじい様は険しい表情をしていた。はいはい、何らかの補償なり罰は与えろって事ですね。おじい様は何やかんや曲がった事は嫌う性格だし、信賞必罰を旨としているので、キッチリ落とし前は付けろという事なのだろう。


マーサにも、その辺は妥協してはならないと言われてるしなぁ…


ん?そう考えると私を誘拐しようとしてきた、もしくは誘拐してきた幻獣達は何やかんや領にとってメリットとなる事やってるから、最終的にマーサやおじい様も折れてくれたのかな?そうなると、今のところ罰を逃れているのは、割とマジでトラウマな『黒蜥蜴』連中か。いつか取っ捕まってくんねーかな。


まぁ、それは置いておくとして。


ミュゼとその母親であるというセイレーンの長に、どういう形で補償(?)してもらえばいいんだろう?うーん、取り敢えず思いつく限りのことを要求してみるかな?


「えーと。じゃあ、『獣士隊』というのはご存知ですよね?」


「えぇ、その勇名は海底の我らにも聞こえるほどに」


えぇ…そこまでの認知度なの?結成したはいいけど、基本的に領内の治安警備と亜人保護しか役割は与えてない筈なんだけど。まぁ、初の試みだろうから、亜人には広がりやすいのかな?


「腕に覚えのあるものは『獣士隊』に参加させてくれませんか?里での戦力維持に問題ないという範囲でいいので」


明らかにセイレーン長--オリアーナの目が光った。そして、柔和な笑みだが、目の奥底に何かを飼っているような恐怖を感じる。


「…お姫様のご要望ですもの。否、とは言うはずもありませんわ。ただ…」


「ただ?」


「里の者、全員が所属という事でもよろしいでしょうか?」


それは正直願ってもない事なんだけど…


何せ造船所を作ったら、そこの警備や、船の護衛、偵察なんかも任せようと思ってたからね。もちろん、過度な危険がない範囲で。でも、何でいきなり里の全員?


「………正直、それは構いませんが。しかし、里の防備は重要ではないんですか?」


「えぇ。今でこそ、この湾内の海底に居を構えてはおりますが、元を正せば我らは全員流浪の身。防衛のし易い湾を、何代か前に見つけたに過ぎません。なので、住処を移そうとなっても問題ありません」


うーん、もしかして?私は疑問に思っていた事を投げかける。


「この湾に魔獣が全然居ないのって、セイレーンの貴女方が防衛してたからですか?」


「そうかもしれませんわね。我々の住処を守るためにやっていた事ですが」


なるほど。何でこの街が襲われてないのかが分かった。セイレーンたちが(自分たちのためとはいえ)守ってたから、この街はここまで発展できたってわけか。海っぱたの街というのは、非常に少ない。理由は海性魔獣が襲ってくるから。それに、こっちからは襲撃が察知しづらいからね。厄介極まりない。もし海沿いに街を築くならば、キャメロットのように城壁を有するとか、堤防などを設けないと襲われ放題なのだ。


あと、重要な事を聞いておきたい。これはあんま漏らさない方がいいと思い、顔を近付けて密談という事に。おじい様にも聞こえてないと思う。


(気になったんですが、えーとその…セイレーンは女性だけの種族ですか?)


(えぇ、基本はそうですわね)


(えーと…お相手はどうしてるんですか?)


オリアーナはパチクリと目を瞬かせるが、ニッコリ笑って口に指を当てた。一々仕草があざといなぁ!


(お姫様はオマセさんなのね。ふふ、安心して。しっかり未婚の男性で、『同意』した男しか『招いて』ないわ。それに危害も加えないし、丁重に扱ってるわよ?むしろサービスし過ぎちゃって、帰りたくないって人の方が多いのよ?)


ぱっちりウィンクして、したり顔をしているが本当に大丈夫なのだろうか?なんか、怪しい言葉があった様な気がするんだけど。『獣士隊』の責任者は私なので、問題は勘弁して欲しいんですが。


(……本当にお願いしますからね?キッチリ同意を得た相手だけにしてくださいよ?)


(もちろんですわ♪)


………すっげー不安。ウチの騎士とか食い散らかされたりしないだろうか?性的に。大丈夫?ホント?なんか肉食獣に見えてきたんだけど、こいつら。まぁ、でもそこは信じよう。そうしないと、話が進まないから。


「まぁ、その件は分りました。『獣士隊』の条件については、後ほど詰める事にしましょう」


「えぇ、承知いたしました」


「それと…見ての通り、私の侍女は亜人が多いです。これは護衛もこなせるというのと、『獣士隊』の宣伝などの狙いもあってです。なので希望者かつ、陸地でも魔法を使用して移動できるセイレーンは居ますか?侍女として、1人雇おうと思っています」


未だにウチの侍女少ないらしいからね。それにナディとイリーナはもしかしたら、ということもあるし。ララァナもっちゃ、ララァナもお相手を見つけたら、あり得るかもしれんけど。なので、侍女の補充をしようと思ったのだが…


「魔法で、ですか?」


「はい。えっと、こんな感じで」


私は椅子を立って、足元に『アクア』で水を出してその上に乗って少し浮く。そのまま左右に水平移動する。マルタやパックと練習して身に付けた魔法である。要領が『魔力線』や『魔鎧』と似ているので、名前を付けかねてる。出した水を魔力コントロールしてるだけだし。


「はい!はい!できます!私、できます!」


ミュゼが元気よく手を上げて主張している。……オリアーナに視線を送るが、どうやら他にできる人材が居ないらしい。何で?お前ら、水の中に住んでる種族やろ?何で出来んの?オリアーナが嘆息しつつ、口を開く。


「正直に申しまして、基本的に水中のみで生活する我々には不要の魔法ですので」


「え、でも水中で移動速度上がりますし…」


「それを習得するくらいならば、魔力を消費しづらい『魔鎧』の方が便利ですから。体内で魔力を巡らせる分、コントロールも容易ですから」


うぐ。た、確かに、『魔力線』よりも『魔鎧』の方が簡単だけど!


「なので、地上に憧れがあるこの子くらいしか、そういう無駄な魔法は覚えておりませんの」


ちっくしょう!チェンジできないってか!ミュゼは期待に満ちた眼差しでコチラを見ている。でも、ここで拒否したら、今後のセイレーンとの交流に支障とか…


色んな考えが巡っては消えていく。うぐぐぐ…



「………ミュゼ、貴女にとっては憧れかもしれませんが、故郷を離れることになりますよ?」


「はい、大丈夫です!いいよね、マ--いいですよね、長!」


オリアーナは頬に手を当てて、少し心配そうな眼差しをミュゼに送る。


「私は良いのだけれど…お姫様はいいのかしら?」


「まぁ、一応ミュゼはセイレーンの長の娘ということですし、外交上はむしろ妥当な気はするんですが…」


うん、対外的にはセイレーンの長の娘ということは、次期セイレーン達のトップっちゃトップ。それを侍女として連れて行くというのは、人質としての価値は妥当。もちろん、私にそんな腹積もりはない。ただ、メンツだなんだと貴族はやかましいのである。一方のセイレーン側は、それで忠誠を尽くすしかない、とかいう話なんだが…何でだろう?ミュゼが出ていくことで、大喜びするセイレーン達のイメージが容易につく。


ポンコツをお払い箱にできて、領主とのパイプも作れたと大喜びするセイレーンが幻視できる。おかしいな。長の娘だよ?お前たちにとって、姫様でしょ?あれ?うーん。


「い、一応仮雇用ということで、ミュゼは連れて行きますが…」


「やっっっったーーーーー!!!!!」


うん、そういうところだぞ?オリアーナがペシリとミュゼを叩く。このブレーキ役、誰にしようかな?コニーとかにしとく?なんか後で恨まれそうな気がせんでもないんだけど…


「ミュゼ、一応仮雇用ですからね?不足を感じれば、クビにしますよ?」


「は、はい!誠心誠意お仕えする所存であります!はい!」


元気だけは良いんだけどなぁ…


ってなわけで、私の侍女が増えた。人員補充は一旦これでいいとして。


「じゃあ、次に海産資源について--」


そこからも会談は続き、小休止を挟みつつ日が傾くまで続いた。うーん、平気かな、ホントに。





























--☆





























「と、いうことで!この度姫様の侍女となります、セイレーンのミュゼです!お願いします!」


城に帰還後、ミュゼの元気な声が響き渡る。侍女たちからは当然ヒソヒソという声が聞こえる。あぁ、前途多難な予感がする。そういや、普通の侍女からも専属を選出するとかしないとかいう話があったのになぁ…


ま、まぁ、「専属」だからね。ある程度は自分自身で決めてもいいだろう。専属侍女って生活に付いて回るから、相性が大事だからね。


結局のところ、セイレーン達は全員『獣士隊』に所属し、海上部隊として運用する運びとなった。造船所のガワだけは、おじい様に作ってもらって、その周辺警備と海性魔獣の撃退が主な役割。と言っても、全員が戦闘職というわけでは無いだろうということで、海産資源調達部隊も作成した。


領主一族である私の名前の下に活動しているので、迫害されるような事は無いと思う。男性陣がちょっとハニートラップに遭う程度だと思う。うん、男性陣がんばって。仲良くしてください。


オリアーナからぶっちゃけられた事だが、どちらにせよ男性が不足しており、コッソリ男性を調達--招待するにも限界があったらしい。だから、表立って行動できるようになったので、喜んでいた。………セイレーン達が舌舐めずりして獲物を狩る目を、漁師を始めとした男性陣に向けていたのは気の所為と思いたい。一応、釘は刺しといたし、大丈夫と信じたいけど…大丈夫だよね?今度視察行ったら、枯れ果てた死体が転がってたりしないよね?ふ、不安。視察の頻度は高めにしておこう。


さて、話題をミュゼに戻そう。一応、表向きの名目は人間社会をセイレーンの代表として、学ぶため。貴族向けの意図としては人質。まぁ、今の我が領地には純正貴族など居ないようなもの。王都から来た文官貴族達も、『教育』を受けてすっかり心を入れ替えたからね。


んで、ミュゼは現在15歳。コニーやルゥと同年代。だから、コニーとルゥの後輩として教育してもらうつもりである。


「というわけで、コニーが筆頭に教育をしてみてください」


「何でっ--です、か…」


コニーが食って掛かるような勢いだったが、ララァナ、ナディ、イリーナに睨みを効かされ、言葉が尻すぼみになっていた。咳払いをした後、言葉遣いを改める。


「なぜ私なのでしょうか、姫様」


「後輩が居た方がコニーの成長になるかなーって。ほら、目標がナディやイリーナなんでしょう?2人は私の侍女としての仕事をこなしつつ、マーサからの上級侍女としての教育も受けつつ、家のことをやって、コニーの教育までやっているでしょう?」


改めて言葉にするとヤベーな、仕事量。給金見直すべきか?いや、でも今の状況でも高待遇って言ってたから、本人達が辛そうなら改めて見直そう。給料とか働き方とか。


「それは…そうですけど」


「なにも2人のように完璧に全てをこなす必要はありません。ただ、コニーが今まで教わった事を改めて言葉にして教えてみてください。それで気が付くこともあるかもしれませんよ?例えば……意外と自分では既に出来ていると思っていた事が、まだまだ完璧じゃなかったりとか」


最後の言葉には少しムッとしたみたいだけど、コニーは頭を下げて承諾してくれた。


「承知いたしました、姫様。お望みのままに」


「えぇ、お願いします。…ミュゼ」


「は、はい!」


ミュゼを呼ぶ部分だけ、声音を1トーン下げた。さっきから視線があっちこっち行ってるの、見逃してねーからな。


「地上に憧れがあったのは分かります。初めて見るものばかりで、好奇心が抑えきれないのも。しかし、ここへは仕事をしに来たのだという事を忘れないように」


「は、はい!承知いたしました!(ひ、姫様がマジギレしたときのママみたいな魔力出してます!怖いです!)」


「では、各自よろしくお願いしますね」


まぁ、何となくこの後は予測ができるというか…


さぁ、どうなるかなー。




ベッドより布団派です。

柔らかすぎると、なんか寝れなくなります。

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― 新着の感想 ―
[一言]  あー、セイレーンは他領からつけいる部分になるかもですねぇ。  セイレーンを飼い慣らす為に近隣の男性を生贄に捧げる領地。  とかって言われたりして。  連れ込む男性の家族と面会する機会とか…
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