第十一章 逆流する烈日
轟――!!!
金色に輝く空中書斎が、一輪の「逆流する烈日」へと姿を変えた。
そして、すべてをなぎ倒すような咆哮を轟かせながら、天空に浮かぶ十二隻の執行飛舟艦隊へ、真正面から突っ込んでいく!
その瞬間。
雲中坊市の空が、まるで眩い金色の花火を炸裂させたかのように輝いた。
真っ先に衝突を受けた執行飛舟には、回避する暇すらなかった。
巨大な船体は、浮世書斎の頂部から噴き上がった金色の文字を前にすると、まるで紙で作られたかのように脆かった。
ギィィィン――!!
耳をつんざく金属の引き裂かれる音とともに、飛舟の底部が無理やり巨大な穴を穿たれる。
無数の高次元コードと破損した部品が火花を散らしながら、地上へと一気に降り注いでいった。
「敵襲!」
「目標をロック! 全火力マトリクスを展開しろ!」
艦隊旗艦。
その上に立つ審判廷の指揮官が、怒りと驚愕の入り混じった咆哮を上げた。
その声は高周波の法陣を通して、周囲一帯へと響き渡る。
残る十一隻の執行飛舟が、一斉に艦首を反転させた。
次の瞬間。
数十本もの、山岳のように太い幽青色の審判光線が空を覆い尽くす。
それらは互いに絡み合い、逃げ場を一切残さない死の火網となって、空中書斎へと一斉に叩き込まれた!
「しっかり掴まってろ!」
林野が叫んだ。
両足を激しく揺れる木の床へと踏ん張る。
そして、刃なき聖剣を両手で強く握り締め、全身に残された気血と執念を一切残さず注ぎ込んだ。
地下密室の歯車羅盤が狂ったように回転する。
ギギギギギ――!
そして――
浮世書斎の前方に、巨大な金色の盾壁を無理やり展開した。
轟! 轟! 轟!
凄まじい爆発が、盾壁の外側で連続して炸裂する。
恐ろしいエネルギーの余波が虚空そのものを震わせ、空間に次々と目に見える波紋を生み出していく。
空中書斎の木造防御構造にも、激しい砲火が集中した。
木壁のあちこちが黒く焦げ、無数の亀裂が走る。
林野もまた、その凄まじい反動をまともに受けた。
喉の奥が熱くなる。
次の瞬間――
「ぐっ……!」
大量の血が口から噴き出した。
赤い血が、握り締めた聖剣の柄を一気に染め上げる。
それでも――
林野は一歩も退かなかった。
むしろ、その瞳はますます狂気じみた、それでいて澄み切った光を帯びていく。
「これで、もう限界か?」
林野は歯を食いしばった。
「高いところから偉そうにしてる編劇会ってのも――」
「案外、大したことないんだな!」
盾壁が砲火を防いでいる、その一瞬。
林野の目が鋭く光った。
稲妻のような視線が、敵艦隊の旗艦に存在するエネルギー核心ノードを正確に捉える。
林野は隣に立つ墨清へ振り向いた。
「今だ!」
「俺を援護してくれ!」
墨清には、迷いがなかった。
彼女は深く息を吸い込む。
そして、自分の指先を噛み切った。
残された霊力をすべて、手にした半分に折れた長剣へと注ぎ込む。
その瞬間――
剣身に「黎明の頁」のものと思われる灼熱の淡い光が、突然灯った。
それは一筋の鋭い剣気へと変わる。
正面から迫ってきた一本の審判光線を――
真正面から両断した!
「黎明――道を開け!」
墨清の鋭い叫びとともに、剣気が一筋の流光となって駆け抜ける。
それは寸分の狂いもなく、旗艦左側に存在する防御の死角へと直撃した。
カチャッ!
その死角を覆っていた防御光幕に、瞬時に小さな亀裂が走った。
わずかな隙間。
しかし――
林野にとっては、それで十分だった。
「俺の店はな――!」
林野が吠える。
「お前らの好き勝手に壊していいもんじゃねえんだよ!」
次の瞬間。
林野は刃なき聖剣と完全に一体化した。
人と剣が一つになる。
金色の流光へと変わったその身体が、闇を引き裂きながら一直線に駆け抜ける。
そして――
旗艦の防御光幕に生まれた、ほんの小さな隙間へ。
林野は真正面から――
轟然と突入した!




