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天然皇女と3MENたち  作者: angelcaido
2章 皇宮へGO
14/16

第14話 恐怖の手紙

皇室から届いた一通の招待状。ラミアの無邪気な言葉に振り回されるルード、手紙=処刑と本気で怯えるキド、そして相変わらず自由なロエル。「俺、処刑ですか?」「ただの招待状だ」「王子みたい?」――今日も公爵家は平和(?)です。※ここから新章に入ります。物語の空気が少しずつ変わっていきますが、これまで通りのテンポで続いていきます。

春の陽気に包まれるバルコニー。

柔らかな光の中、ルードとラミアは紅茶を手に午後のひとときを過ごしていた。


ラミアはソファに腰掛け、カップを両手で包む。

「良いお天気ですね」

「そうだな。こうして静かに過ごすのも久しぶりだ」


ルードは穏やかに微笑む。

ラミアは妹のような存在だ。その無邪気な笑顔を見るたび、胸の奥が少し温かくなる。


「ロエル様は冗談も多くて面白いですし、でもちゃんと紳士的で……」

「キド様も、騎士団のことや私のことをよく見てくださって、優しいんです」


ルードの眉が、わずかに動いた。


(……うむ。そこは少し、いやだいぶ危ないな……)


ラミアは楽しそうに続けるが、当の本人はまったく気づいていない。

ルードは内心で小さくため息をついた。


(ラミアの天然さを利用して、ロエルが何かやらかさないか……

 キドはキドで、暴走して訳のわからないことをしないか……)


紅茶を一口飲み、努めて落ち着いた声で言う。

「ラミア、今日は何も考えず、ゆっくりしていればいい」

「はい、お兄様」


春の光に照らされるその笑顔に、ルードは微笑むしかなかった。

(……今日も俺は過保護全開だな)



バルコニーの余韻も冷めやらぬうちに、執務室へ使者が現れた。

封書を見た瞬間、キドが青ざめて飛び出す。


「……皇室から、何か……!?」


封を切る前から、すでに顔色が悪い。

ルードは手紙を受け取り、落ち着いて開封した。


(なるほど。安定を取り戻したことを祝う、記念祝賀会か……)


以前、皇位継承を巡って政情は不安定だった。

交戦的すぎる継承者が問題を起こし、帝国全体が緊張状態にあったのだ。


だが皇帝が正式に皇太子を任命し、両王子はようやく「競うべき場所」を得た。

俺とロエルが不穏分子の処理に関わり、両王子も勝手に首を突っ込んできたが――

剣術、帝王学、戦術、政治経済、その資質に問題はない。


結果として帝国は安定し、

「帝国には双剣、双盾あり」とまで称されるようになった。


(……その裏で、ラミアには両王子達と対極に徹した教育が行われたがな)


争いも疑念も知らず、花のように、蝶のように育てられた少女。

悪? 策略? 裏切り?

何それ、という顔で微笑むのも無理はない。


(祝賀会にラミアも参加……か。社交慣れしていない彼女には、少し荷が重いな)


「落ち着け、キド」

声をかけた瞬間、キドは足をもつれさせて転倒した。


「わっ……す、すみません!」


その様子に、ロエルが肩を揺らして笑う。

「お前、本当に焦るな。手紙一枚で顔色変えすぎだろ」


「ロエル様のせいかもしれません!」

「なんで俺?」

「皇女殿下への振る舞いです!」


「それならお前だろ。ラミアの腕にでも怪我させたのか?」

「……俺の身を差し出せ、という通達ですかね」

「処刑でも?」

キドの小声に、ロエルはついに吹き出した。


「……手紙は招待状だ」

ルードが両手を広げる。

「問題ない」


キドはその場にへたり込み、ロエルは優雅に紅茶を掲げた。



数日後、皇室から迎えが来るという知らせが届いた。


「次に会うのは記念祝賀会ですね」

「はい、お兄様。お兄様の正装、きっと素敵でしょうね」


照れつつも、ルードの胸中は穏やかではない。

(あの場で、この無自覚を晒すのか……)


「ロエル様も来られますよね?」

「うん。そうだね。」


「絵本に出てくる王子様みたいで、令嬢たちに人気が出そうです」

「……王子、だと?」


ルードのこめかみがひくりと動く。

王子だって? こいつが? が、実際の王子たちもあんなだし……。慌てて首を振る。


「フッ。こんな腹黒い王子がいたら嫌ですね」

キドが小声で言う。


「おい、聞こえてるぞ」

「ラミアの感想を否定するのか。不敬だぞ、キド」

「結局、俺だけ悪者ですか……」


ロエルは軽く片膝を折り、冗談めかして言った。

「では、姫。あなただけの王子となりましょう」


「まぁ……」

「やめろっ!」


目を輝かせるラミアと、即座に止めに入るルード。

ロエルは声を上げて笑い、キドは静かにため息をついた。


(……祝賀会、本当に無事で済むのか?)


春の穏やかな空の下、そんな不安だけが、ひっそりと積み上がっていった。


こちらから2章に入ります。

よろしくお願いします。

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