13話
王城の空き部屋に移動して、向かい合わせのソファーに腰掛けているのはセレーネとルキウス。そして、その向かい側に俯きながらフラーグムが腰を下ろしている。
とりあえず自己紹介をとセレーネとルキウスが順番に挨拶をし、向かい側の彼女はか細くも精一杯に挨拶をした。
「突然の移動申し訳ありません。ご気分はいかがですか?」
「いえ……平気です」
「そうですか。ご気分がすぐれなければ、すぐにおしゃってくださいね」
こくりと小さく頷くフラーグム。
年齢はセレーネよりも一つ年下と聞いていたが、それにしてはずいぶん小柄だった。
詳しい事情はわからないが、もしかしたらまともな食事を与えられていなかったのではと疑ってしまう。
「第三王女様。どのようにお呼びしてよろしいでしょうか?」
「ぁ……えっと……お好きに……」
「では、フラーグム様とお呼びしてもよろしいでしょうか」
彼女はもう一度小さく頷く。
最初は彼女の精神面のことも考え、ゆっくりとしたペースでセレーネが会話のキャッチボールを行う。その様子を周りの男性陣たちはただただ見守り続ける。相手はこの中では1番幼い少女。男の人数が多い中で激しき男性の声が飛び交ってしまっては彼女が緊張したりしてうまく会話ができない。
「………フラーグム様。つかぬことでお聞きしますが、貴女様が我が国に来たのは、輿入れですか?」
「っ……はい」
「陛下、正式に隣国からその申し入れがありましたか?」
「あぁ。早便で書状が届いていた」
内容は、ファータの王よりフラーグムの輿入れについてのものだったそうだ。
しかし、当然アルヴィスに側室や第二夫人を当てがうつもりはなく、彼女がこの国で王族になることはなかった。
「フラーグム様。となると、貴女の結婚相手は現状こちらのルキウス様となります。現在公爵家の子息で唯一婚約者がいないのが彼なので」
「……問題はありません。お父様……陛下は、輿入れしろとだけ言われいましたから」
それはつまり、別に王族でなくてもいいということだった。
そして、それから読み取れることはあくまで想像でしかないことではあるが、彼女はファータから追い出されたということだ。
「帰国も、陛下の命がない限りも許されておりません……だから、好きに結婚相手をあてがっていただいて構いません」
ぎゅっと、膝に乗せられた拳が強く丸々。それ以上強く握れば、血が滲んでしまうと思うほどに。
「お三方、申し訳ありませんが、少しの間、私たち3人だけにしていただけないでしょうか」
「構わないが……」
陛下の目からは「大丈夫か?」という心配の視線を感じた。それにセレーネは強く一度頷いた。それを見て「わかった」と短く返事をして、陛下とアルヴィス。そしてリュシュリシュが退室し、その場に残ったのは女性2人とルキウスの3人だった。




