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宝石令嬢と白蛇公爵  作者: 暁紅桜
II章:《宝石箱》
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1話

その瞳は、神の寵愛を受けた証だった。

青緑色の髪と瞳を持つ昼の女神ディース。

赤い色の髪と瞳を持つ夜の女神ノクス。

双子の神は、この国が崇める神である。


《昼の女神ディースが豊穣手助けし、夜の女神ノクスが夜間の人目のない時間帯に代わりに実りを見守ってくれている》


この国が豊かなのは双子の女神のおかげ。だから、その女神の寵愛を受けるものは特別な存在である。

純白の衣に身を包んだ彼らは神に祈る。そして宣言する。


邪悪な獣に汚された人間に囚われた《女神の子》を我々が助けなければならないと。



◇◇◇



あの事件から約3ヶ月が経過した。

国は再び平穏が訪れ、人々はいつも通りの日常が訪れていた。

セレーネも充実した日々を送っており、公爵家の人間としての勉強はもちろん、魔法の実験も行っている。

以前、公爵夫人たちのお茶会に参加した際、ケイシー=ロサに魔法学会での魔法の意見を求められたことをきっかけに、たまに足を運んで、同じように魔法の実験を行う学者たちと討論なども行っていた。


「レーネ」

「ユリ様」


ユリウスとセレーネの仲も相変わらずで、ユリウスの溺愛ぶりは周知の事実だった。

彼女の噂も少しずつなくなっていき、宝石眼のこともあり、世間では双子の女神にちなみ、【アレキサンドライトの寵愛者】と、セレーネにとっては大げさで気恥ずかしい呼ばれ方をしていた。


「お仕事は宜しいのですか?」

「僕の方はね。ルキはまだやっているけど」

「後継者ですからね。覚えることが大変でしょう」

「そうだね。時間があるなら、少し乗馬をしないか」

「いいですね」


時々、気分転換に庭園を散歩することはあったが、最近ではユリウスと共に乗馬をすることも多くなった。

学院にいた時、乗馬の授業はあったが、必須科目ではなかったため、セレーネはその授業を受けていなかった。だから、最初に馬に乗った時は初めてのことで驚いていた。しかし、乗馬に慣れていたユリウスの指導で随分と上手く乗れるようになった。


「そういえば、ルキウス様のお相手、なかなか見つからないそうですね」

「次期公爵夫人だからね。父上も母上も慎重になっているみたいだ」

「良いお相手が見つかればいいのですか」


ルキウスはすでに婚約者がいてもおかしくない年齢。家のためにも早く相手を見つけたほうがいいとは思うが、ソルネチア家は三大公爵家。相手が誰でもいいというわけではない。

家柄のいい優秀な令嬢。何より、領民や家のことを考える心優しい人間。

セレーネもルキウスの力になりたいと考えてはいるが、学院にいた頃に友人などがいなかったため、紹介できるような相手がいない。


「セレーネが気にすることはない。運命の相手というのは、ある日突然現れるものだよ」


額に口づけをしながらユリウスがそういえば、その言葉の意味を理解したセレーネは顔を赤くして顔を逸らした。

かつて【白蛇公爵】とよばれていたユリウスの呪いは完全に消え去った。人の姿になった彼は、ずっと大きな愛情をセレーネに注ぎ続ける。

蛇の時に積極的に彼に愛情を注いでいたセレーネも、すっかり彼の愛情に打ちのめされてしまっていた。


「今更だけど、魔法で姿を変えるのは大変じゃないかい?」

「幼い頃からずっとやっていたので、もうすっかり慣れてしまいました。今こうやって姿を変えるのは、呼吸と同じです。見出されない限りは、自然と行えます」

「そうか。でも、僕の前では隠す必要もないだろう」


ユリウスが優しくセレーネの目元を指で撫でる。

彼の言葉に、先ほどのように少しだけ照れるが、やがて彼女のアレキサンドライトの瞳が美しく輝き始める。

その姿に、ユリウスはうっとりとした目を向けて、再び口づけを交わす。


「ねぇレーネ」

「はい、なんでしょうか」

「そろそろ僕たち、結婚しようか」


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