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9-13話 再戦


”ラグナロク”戦、2日目。死亡ペナルティ期間が終わりようやくインできた。

装備を現時点でできる最高の物にし、打ち合わせ通りにそろぞれ別れ攻撃の準備を始める。

全員チャットで準備完了の連絡が来る。始めの一撃は俺の役目だ。


「どうするかな……俺の弓じゃ威力低いし。魔術も近接補助だしな……」


それでも遠距離攻撃で一番攻撃力が高いのは魔術の方か。


「ま、本命の一撃は俺じゃないしな……」


今まで魔術は速度を優先。威力はそこまで気にしてなかったからな。

そうは言っても始めの一撃はできるだけ上げる事に集中する。

魔方陣を展開し、念入りに魔力を込める。


……ここまでやってもラグナロクは何も反応しない。

ひたすら、レストアの街を狙い続けている。

やはり攻撃を当てない限り反応しないという事なのだろう。


「こちらから攻撃を当てない限り反応なしか。これなら数で押せれば削り切れるかもな」


独り言が多くなるよな……と思いながら、念入りに込めた魔術を行使する。

威力を最大まで上げた闇の腕の魔術は、真っすぐ敵に向かい狙い過たずぶちあたる。


「……当たるにはあたったけど、ダメージどのくらいなんだろうな」


個人的にはボス位はHP表示が欲しいが、今度要望出してみるかな。

全く持ってびくともしないしなぁ。そう思いながらすぐに逃げる準備に入る。


全速力でその場を離れながらも視線は敵へ。

ラグナロクはこちらに気づいたのか、顔の向きをこちらに向ける。

これで、俺がいた位置に打てばこの戦法は有用の証明になる。

俺を直接狙った場合は、防御を固めるのが正解になる。

どちらにしても後続に役に立つはずだ。


ラグナロクの視界はこっちをとらえているかはわからない。

ただし、若干震え巨大なアギトを開いていく。


……やばいかなぁ。これは。


明らかに魔術を打った地点ではなく俺の今の位置を向いている。

そう思いながらも逃げる足は緩めない。


そして攻撃が来るというタイミング。その直前で別の方角から巨大な闇色の光弾がラグナロクへ直撃した。

その威力はすさまじく、轟音と衝撃はがこちらまで届く。


一瞬、足を踏ん張り衝撃に耐える。

直後、ラグナロクの攻撃の光線が放射されるがあらぬところに行った。

こちらは全くの無傷。


「あれはバーゼスさんの攻撃か。相変わらずの火力だなぁ」


おそらく多重詠唱のスキルも使ったと考えられるが、それにしても敵が揺らぐほどの一撃だった。

ラグナロクは咆哮を上げ、向きを変えていく。

今の一撃でヘイトが完全にバーゼスさんに向いた。


「やばいな。早くヘイトをこちらに向けないと……」


足を止め、再び魔術の行使準備。

同時に周りに視線の先には、この場所からは小さく見える見知った姿がラグナロクに向かっているのがわかる。


「……イルミ、飛行の魔術も覚えたのか」


そのイルミは矢継ぎ早に射撃し、同時に風の刃の魔術を行使、攻撃を加えていく。

あえて相手に姿をさらすように飛ぶイルミ。恐らく、ヘイトをイルミに向けるための作戦なのだろう。

しかし、ラグナロクは意にも介さず、バーゼスさんのいた地点に攻撃を向ける。

再びアギトが開き、光が漏れだす。

イルミはその内に魔術を打ちこんでいくが、ダメージを与えられるようには見えない。


やばいな……万が一バーゼスさんが倒れたら、攻撃が半減以下になる。

仕方なく、俺も速度重視の軽い攻撃を行う。


直撃こそしているが、敵の攻撃を変えるまでには至らない。

そして、敵の光線が発射された。

すぐに状況を確認するためチャット欄を確認する。


イルミ:バーゼスさん! 大丈夫?

バーゼス:直撃はしてないですわね。でも戦闘不能状態ですわ。マリオ、来れますか?

マリオ:今向かってる! イルミ、ヨキ、囮頼む。

ヨキ:わかった。

イルミ:やってみる!


俺とイルミで攻撃を加え続ける。

しかしまだ敵の動きは変わりない。追撃を加えるべく再びアギトの中の光量が膨れ上がっていく。


これはダメージ量でヘイトが変わるタイプか?

だとすると、さらに面倒くさくなる。バーゼスさんレベルの攻撃をできるのはうちのパーティにはいない。

ヘイトを移せないとなると、この作戦の意味は薄くなる。


「作戦練り直しか……?」


思わず呟くと、目の前では敵が完全に発射体制になる。


……無理か?!


諦めの気持ちが。よぎる。しかし、その敵の動きが止まる。


「……?」


急な動きの変化。よく見てみるとなんとなく周囲の光の反射が違う気がする。

細かい光がきらめいているようだが……これは、氷、か?

同時に、巨大な氷柱が出現。一瞬で、ラグナロクを包み込む。


その氷柱こそ次の瞬間、敵によって砕かれたが、敵に明確にダメージを与えているように見える。

こんな魔術を使えるメンバーはうちのパーティにはいない。

つまり、俺たち以外のプレイヤーが攻撃をしたという事だ。


ラグナロクの動きが別の方角へ向き始める。

つまりヘイトが別の方に移ったという事だった。


イルミ:他のプレイヤーもいるね

ヨキ:やっぱりそうだよな。あんな魔術使える人俺たちの中にいないし。

ミミ:なんか私たちの配信に合わせてたプレイヤーがいるみたいよ。

クローディア:そうそう。こっちの配信にもその事を書いてる人がいるわ。


なるほどなぁ。多人数で攻撃できる相手な以上、集まれるなら集まった方がいいのか。

その目印に俺たちを使った人がいるという事。


これは配信してて正解かもな……。

まさにプレイヤー協力していることが感じられる。


俺もさらに攻撃を加えようとさらに魔術を練る。

その時、視界の端に人の姿を捉える。

他のプレイヤーか? そう思いながら視線を合わせた時、一瞬俺の思考は停止する。


……なんでここにNPCがいるんだ?


視線の先には、学園で会った少女、リリィ・バーゼスがまさに”ラグナロク”に攻撃を加えようとしている所だった。

俺は咄嗟に声を挙げる。


「リリィ! 一回止まれ!」


その声にビクリと肩を震わせ魔方陣が霧散する。

その様子に安堵を覚えながら、まずはリリィの所へ向かう事にする。


プレイヤーと違い、NPCは本気で死亡する可能性がある。

特に魔女さんの娘という立場の彼女だ。ここで死亡は非常にまずい。

……面倒な事になりそうだな。これは。



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