7-2話 合同パーティ組みました
来たる月曜日。いつも通りログインし、仲間が集合するのを待つ。
全員拠点でログアウトしているため、予定通り全員が揃う。
リビングで今日のコラボ案件の打ち合わせをする。
「今日の相手はシルビア、アズサ、ミミ、サツキ、カナエの五人。全員私と違う箱のVよ。
皆は知ってる?」
そう聞くのは、クローディアさん。
俺の方はそこまで知らない。時々見るVの配信で名前を聞く程度だった。
知ったかぶる必要もないので正直に言う。
「そこまでは。名前を聞いたことがあるくらいかな?」
「そっかー。私の方の箱は男女混合型の箱だけど、あっちは女性のみのアイドル売りしている所よ。……アイドル売り?」
「クローディアさん。そこは疑問形にならない方が。大抵芸人にシフトしちゃうのはわかるけど」
「個性とか出そうとするとどうしてもね。視聴者が面白いと思った結果だから」
クローディアさんお言葉に俺は頷く。
芸人云々はともかくアイドル系だとすると俺たちは引っ込んだ方が良さそうだな。
「あ、なるほど。そうなると俺とマリオはお助けモブになっておいた方がいいですね」
「だよな。下手打つとあっちに迷惑掛かりそうだし」
「そこらへんは余り気にしなくても大丈夫よ。いつも通りにしてくれれば」
「ヨキー。そんなに気にしたらゲームが詰まんなくなるよ。大丈夫だって。相手はプロなんだから」
「そうですわね。あんまり遠慮したらコラボの意味がなくなりますわよ」
クローディアさんに続き、イルミとバーゼスさんもそう言う。
……まあ、この場合はクローディアさん達の言葉の方が正しいのだろう。
素人があーだこーだ言ってもダメか。
「わかったよ。それじゃ、余計なことは考えないで普通にやるよ」
「それでいいの。そのために君たちをコラボに巻き込んだんだからね」
クローディアさんはそう言って笑う。
どうやら彼女としては、コラボに俺たちを登場させるのが規定路線らしい。
なんでかな、と思うが、気にしても仕方ないか。
俺は気になっている別のことを聞いてみる。
「それで、今回のクエストはどういう内容ですか? 知ってます?」
「シルビアたちが受けた、『森の奥に潜む狂暴なモンスターを撃退せよ!』
っていう単純な内容をギルドで受けたらしいのだけど、話を聞く限り彼女たちだけじゃ手に負えなさそうなモンスターなのよね」
「へー、そうなの? シルビアさん達はプライ開始してどれくらい?」
「1週間位。私たちが1カ月だから、どうやっても私たちの方が強い状態ね」
クローディアさんとイルミの会話を聞きながら、俺は首を捻る。
今回のあっちが受けだクエストは、どうやら能力的には受けられない物を受けたらしい。
普通、実力差があり過ぎる依頼の場合は依頼自体が受けられなさそうだけど……
そんな事を思っていると、マリオがポンと手を叩く。
「想定より強いモンスターの出現……ってことは魔女が言ってた大規模イベント絡みの可能性が高いってことか?」
マリオの言葉にクローディアさんも頷く。
「多分ね。シルビアと通話してて私もそう思ったの。だからどうせならコラボの体にして、ゲーム宣伝兼ねて配信すれば他のプレイヤーの興味を引きそうかなって」
はー。よく考えているな。クローディアさん。
折角の大規模イベントだから、どうせなら大々的に配信した方がいいと言うのも確かか。
「わかった。それじゃ、しっかり全力出せる装備を準備した方がいいか」
「そうですわね。今回は私たちがゲーム上の先達になりますから、リードして行きますわよ」
「うん、それじゃ、今回もよろしくね」
そういう事で、話しが纏まった。
まずは全員、装備、アイテム確認。装備も結構更新できたし、大分強くなったなったと思う。
この状態なら初心者引率位はできるだろうと思う事にした。
……いや、不安だな。変な失敗しなきゃいいけど。
俺たちは相手との待ち合わせ場所へを向かう。
そこはレストアの街の中心とも言える大公園。レフリー公園と名が付く国営の公園だった。
様々な施設や屋台が並ぶ公園で、シンボルとして大きな噴水がある。プレイヤー同士の待ち合わせ場所の一つになっている。
俺たちは纏まって歩くと、そこにはすでに5人組のプレイヤーがいた。
彼女たちに向かってクローディアさんは手を大きく振る。
「おーい! これで全員かな?」
「はいっ! 全員揃いました!」
元気に答えるのは、身長140cm位の小柄の女性。赤毛をツインテールに結び、いかにも元気っ娘っといった感じに全身で表現している。
口調も子供っぽく、高い声が周囲によく通った。
……あの人がリーダーなのかな。真っ先にこっちに答えてるし。
そんな事を考えていると、その赤毛の少女をこちらにペコリとお辞儀する。
俺たちも慌ててお辞儀をすると、満面の笑顔で自己紹介を始めた。
「私がシルビア・テールです! みんな、ありがとう! 今日はよろしくっ! 」
「よろしくお願いします」
俺たちもつられて若干緊張気味に言う。彼女たちと合流して、急に配信を意識する。
素人に緊張するなと言うのが無理と言うものだ。
そんな俺の手をシルビアと言った少女ががっちり握り、ぶんぶんと振る。
俺はあっけにとられてされるがままになっていると、笑顔のままその少女は言った。
「今日は楽しもうね!」
そう言って、俺たちのパーティメンバー一人一人の手をもって改めて挨拶をしていた。
……なるほどなー。多分、あの人なりの気の使い方なんだろうな。
あっけにとられるという事は、緊張が抜けるという事。
いつの間にか力の抜けた自分を感じ感心する。
「よく考えてるなー。あの人」
「そうよね。私もそう思う。……頑張ろうね」
「そうだな。頑張ろう」
俺の呟きに、イルミも頷いた。
うん、俺たちは俺たちの役割をきっちりこなそう。




