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3-6話 ゲームに戻ってきました

馬車の中で目が覚める。前回ログアウト時と同じ場所であることを確認。

ついでに忘れていたステータスの変化を確認する。


HP 140→300  MP 10  SP14→30

力20→40 素早さ13→20 体力18→30 知力10 


剣技能4→6 盾技能1→3 採取1

かばう1 自己犠牲1


護衛が始まってから、動物の追い払いとイルミと練習しかしていなかったが意外と能力値が上がっていた。

この能力値でどこまで戦えるかは今後の戦闘をしてみないとわからないが。

まあ、もうすぐ戦闘はあるだろうし、その時確かめればいいだろう。

俺はそのまま馬車の外にでる。


「おはよう。よく眠っていたね」

「おはようございます。アジュさん」


ログイン直後だからどうなっているか。一回メンテを挟んでいるから変化があるか気を付けないとな。

そう思いながらもまずは雇い主へ挨拶をする。


アジュさんはもう起きていたようで、朝食の準備をしていた。

視線の先でショートの赤髪が揺れているのが確認できる。

雇い主にさせているのも気まずく、俺も同様に準備を始める。


「あ、そうだ。アジュさんに伝えないといけないことがあるんだった」

「? なんだ?」


不思議そうに聞いてくるアジュ。


「いや、大したことではないけど、別の所にいる仲間がそろそろ合流するんだ。一応敵と勘違いしないようにと思ってな」

「ほう、ヨキはイルミの他にも仲間がいるのか?」

「ああ、銀髪の女性の魔術師だよ」

「ふーむ。たまに女性ばかり集めたハーレムパーティを作りたがる男もいると聞くが、君もその口かい?」

「それは疲れそうだけだから嫌だなぁ。できれば同性の仲間も欲しいな」

「それはそうだろうな」

「イルミだけなら別に気も使わないがな」

「ふむ……なるほどな」


なんとなく口の端で笑っているように見える。

何か琴線に触れることがあったのか?


「……何か気になることでも?」

「いや、ほほえましいなと思ってな。少し私の親友を思い出しただけだ」

「へぇ。お友達がいるんですか」

「私をなんだと思っている。もちろんいるぞ……まあ、それなりに迷惑もかけられているがな」

「そうなんだ。大変そうですね」

「問題はない。私が迷惑をかける場合もある。……いや、問題はあるか。今回の件も親友のためだからな。命を懸けるレベルになるとは思わなかった」


ため息を吐くように話すアジュ。

……これは聞いた方がいいのだろうか。多分、話したがっているんだろうな。

しかし、今はあまり深く突っ込みたくはないのだけど。


……まあ、いいか。聞こう。話が進まなそうだし。


「へえ。親友のためですか。結局何をしていたんですか?」

「簡単に言うと、親友が権力争いで罠にはめられそうになっていたので何とかしようという事だよ」

「ふーむ……」


親友っていうくらいだから恐らく同性。宮廷錬金術師なら、相手もそれなりの権力者。

どこかの令嬢ってところか。

さて、どこまで突っ込むかと思っていると、別の女性の声が耳に入ってきた。


「なるほど……。それは大変でしたわね。罠にはめた証拠を見つけて、それゆえ敵の令嬢に狙われたって所ですわね」


振り返ると、見知った銀髪の女性が立っていた。

声で誰かはわかっていたが、声を掛けられるまで気づかなかった。

相変わらず、気配を消すのが上手いな。この人。


「あ、バーゼスさん。おはようございます」

「おはようございます。ヨキさん。やっと合流できましたわね」


微笑むバーゼスさん。ただ、その微笑みは薄く、人形然とした雰囲気を出していた。

……あ、ゲーム内ではあくまでそのキャラでやるんだな。

ゲーム外と内で対応が違い過ぎて違和感がでる。


「……なんですか? 何か私の顔についていますか」

「いや、まあ、なんでもない」

「あらあら、そうですか」


あ、こいつ。絶対わかっててやってるな。今、一瞬だけニヤリと笑った気がする。

俺はバーゼスさんを軽く睨んでからアジュに向き直る。

そのアジュは、はあ、とため息を一つ吐き、視線を俺の方に向けなおした。


「まあ大体その通り。その証拠をしかるべき場所に提出すれば、親友が苦境から解放されるのだよ。ついでに敵対者を追い落とす切っ掛けにもなるはずだ」

「それは責任重大だな」

「まあ、後二日の距離だ。じきに王国の領地になる。なんとかなりそうで少し安心した」

「……んー」

「バーゼスさん。どうしました?」


アジュは楽観の言葉を言うが、対照的にバーゼスさんが少しだけ考えるそぶりを見せる。


「多分、襲撃は起きますわよ」

「……そうなのか」


まあ、そういうのがなければゲームにならないだろうし。

なければないで、王国内に着いた後が大変になるだろう。

そんなことを思っている間にも、バーゼスさんの話が続く。


「記憶が確かならば、この先街道が谷間になっている場所を通りますわ。待ち伏せするなら隠れる場所が多いそこだと思いますわよ」

「え、そうなのか?」


念のため、貰った地図を確認する。

そこには確かに、谷間を通る道が示されていた。


「あ、ここで襲撃されると厄介ですね」

「しかし、そこは衛兵が常駐している場所だぞ。そうそうないと思うが」

「そんなの、買収されている可能性が高いでしょうに。相手、それなりの権力者の娘なのでしょう? 少なくとも私ならそういたしますわ」

「……」


あ、アジュが思いっきり苦い顔をしている。

という事は、襲撃ポイントはそこで間違いないか。


「では、気を付けていきましょうか」


バーゼスさんがまとめとばかりにそう言って、ちゃっかり俺が用意した朝食を食べ始めていた。


「……自由な人だなぁ」

「ヨキさんも食べないと、いざというときに力が出ませんわよ」

「あ、はい」


ひょい、バーゼスさんが持っていた朝食を渡される。

思わず受け取った後、誤魔化されたなぁと思いつつそのまま食べる。


「あ、先に食べてる! ずるい!」

「護衛の方が遅いのが悪い。用意しているから食べろ」


そのころようやくログインが終わったのだろう。イルミが出てきた。

そちらにはアジュが反応し、朝食を渡している。


あの二人も仲良くなったよな……と思いつつ。ログアウト前と関係性が変わっていないことを確認し、ほっとする。

さて次は戦闘になりそうだし、気をつけないとな。

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