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炎垂れて、命燃ゆ ─炎宿す少女、灯火を掲げる─  作者: 東歌
生存適性統理育成選抜試験編
5/25

異変

朝は思ったよりも静かにやってきた。


でもいつもとどこか違う。


床が硬い。

座ったまま寝ている。

隣でダリアさんが寝息を立てている。


──そうだ、今は試験中だ。


私はバッと立ち上がり、設備管理エリアの出入口に向かう。


そこには見張りをしてくれていたルーカスさんとノアさんが並んで座っていた。


「あの、ごめんなさい、もう交代ですよね?」


「いや、もう朝だし見張りは終わりにしよう」


ノアさんが私の方を向いて話しかけた。


腕時計が振動する。私が腕時計を確認すると、


【残りグループ数:11】


数字は、最後に腕時計を見た時からさらに減っていた。


「だいぶ減ったよな。最初は21チームあったってこと考えれば」


ルーカスさんが呟く。


「あ、やっぱみんな起きてたか」


後ろから声がした。振り返るとそこにはダリアさんの姿。


「今日はどうするの?」


「昨日はこれで乗り切れたし、このままの作戦でいいんじゃないかな」


「賛成。わざわざ戦う意味あんまねーし」


「私も同じこと思ってた。勝手にグループ減ってくれたらありがたい限りだしね」


三人の言葉を聞き、私はミニマップを開く。


自分たちの位置のみ表示される簡素な画面。


敵の位置はわからない。

だからこそ、音と痕跡が重要な情報になる。


「東棟は危険域の可能性が高いです」


「あー、昨日のガラス音か」


「昨日あっちですごい音してたしね」


「だから今日は、西側に回って動いてるグループを観察したらいいかなと思うんですけどどうですか?」


「いいんじゃないかな。僕も同じようなことを考えてたよ」


ダリアさんとルーカスさんも賛成だ、と言わんばかりに頷いた。


こうして、2日目が始まった。













窓から差し込む太陽光が、私たちと廊下を優しく照らす。

私たちは、その廊下を足音を殺して歩いていた。


誰もいないのに、どこかで誰かに見られているような気がしてずっと落ち着かない。


あまり動くと他グループに気づかれてしまう、そう分かっていても周囲を見渡さずには居られなかった。


「いた。次の観測グループはこのグループにしよう」


ノアさんの視線の先には確かにグループがいた。


四人ではなく三人で行動している。一人だけ別行動をしているのか、脱落してしまったのか。


私は三人の行動ルートに注視しながら静かに歩き、追いかける。


背中に、妙な違和感が走る。


何かがおかしい。


私は足を止めた。


「……どうした?」


「いえ、なんかちょっと……」


言いかけた瞬間、影が落ちた。


上だ。


気づいたときにはもう遅かった。


天井付近の窓枠から人影が落ちる。


次の瞬間、鋭い衝撃が私にかかる。


息が詰まる。


視界がぐらりと大きく揺れる。


「トモリ!!」


誰かの叫び声が遠くで聞こえる。


私の身体は床に叩きつけられた。


ぼんやりとした意識、そして視界の中で襲撃者の顔が見えた。


不思議そうな表情の少女。

白髪が私の視界を掠める。


「へえ、意外と避けないんだ」


一年A組、アリシア・シャロンさん。


私と同じクラスの少女だった。


そこで、私の意識は途切れた。

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