秋の恋 ep29
私は、結局その日はなにも手伝えなかった。
汐音「…!」
私は声を出して泣きたくなってしまったが、もし誰かに聞かれていてもいやなので、一人教室で声を殺して涙をこぼしていた。
邪魔だって思われているんだって。
先輩に迷惑しかかけていないって。
こんなことを考えない方がいいのは分かっているけれど、どうしてもそんなことしか頭の中にはなかった。
せめて誰かに相談しようとスマートフォンを開いて、玲那との個人チャットを開き、文章を打とうとしても、玲那に迷惑をかけてしまう気がして、連絡もせずにスマートフォンを閉じ、また声を殺して泣いていた。
暗くなったスマホの画面には水滴がたくさんこぼれていて、自分でもどれぐらい涙が出ているかをすぐに理解した。
それからどれぐらいの時間がたったかはわからない。ただひたすらに泣き続けると、涙は次第に減っていった。
さらにそこから数分経つと、次第に落ち着いていった。
汐音「帰らないと…」
そうして教室を出ようとしたとき、ちょうど人とばったり会ってしまった。
小野寺T「汐音⁉もう6時50分だぞ⁉早く帰り…あぁ…とにかく…家に帰ったらしっかり体を落ち着けるんだぞ。」
汐音「…はい。」
先生は私の目を見た途端、泣いていたことに気づいたのか、察したかのような目で私を見てきた。
そんなに分かるかと思い、スマートフォンを使い、顔を見ると、確かに目の周りが赤くなっていて、いまだに少しずつだが涙も出ていた。
そして小野寺先生と別れ、親に怒られるのを覚悟で家に帰るのだった。
帰る途中は、自分では落ち着いていたと思うけれども、ずっと涙は止まらなくって、どうすればいいのかわからなくなってしまった。
そして家に帰ると同時に、すぐに自分の部屋のベッドへ向かうのだった。
そのころ長谷家にて。
秋「誰か気軽に相談できる人でもいたら楽なのにな…」
そう思っていると、携帯に通知が鳴り響いた。誰からのメールだろうと思い、開けてみると、澪からだった。
個人チャット「小鳥遊澪」
小鳥遊「やっほ~君~今すごく悩んでることな~い?」19:15既読
秋「突然連絡してきてそれはどういうこと?」19:16既読
小鳥遊「あれ~おかしいな~帰るときにはとても暗い顔をしていたけれどね?」19:16既読
秋「澪は何でそんなことを知りたいの?」19:16既読
小鳥遊「そうだね…君が誰にも相談できてなさそうだから。かな?」19:16既読
秋「別に相談ぐらいできるよ!」19:17既読
小鳥遊「まあまあそう言わずに…僕に話してみたらどうだい?仮に話していても1人でも多いほうがいいだろう?じゃあ電話を掛けるね。」19:17既読
秋「えっ…ちょっと!」
そう言った瞬間、本当に自分の携帯に電話がかかってきた。
秋「澪⁉本当に掛けてきたね⁉」
小鳥遊「だってかけるって言ったじゃないか。」
秋「それにしても急じゃない…?一応言っておきますけれど多分まだ10回もちゃんとあったことないんですよ?」
小鳥遊「君は何を言っているんだい…それは別に関係ないじゃないか…」
秋「切っていい?」
小鳥遊「なんでだよ~僕に相談してくれたっていいじゃないか。」
秋「誰かに相談するようなことはあまり得意じゃないんです…全部一人でやってきたから…」
小鳥遊「そうなのか…昔の僕とまったく一緒じゃないか。」
秋「澪にもそんな時期があったの⁉」
小鳥遊「中学の時はね…ほとんど誰ともかかわってなかった。とっても影が薄かったんだよね。というかこのままだと相談が聞けないね。もうそろそろ話してくれてもいいじゃないか。」
秋「澪…よくめんどくさい奴って言われない?」
小鳥遊「よく言われるね。」
秋「きっとこういうところなんだろうね。」
小鳥遊「まあそれは置いといて…話してくれるかい?」
秋「澪は話さないと先に進ませてくれないタイプのNPCか!…まあ分かったよ…話すよ…」
私はこのまま拒否し続けても変わらないと思い、相談に乗ってもらうことにした…




