他力本願はいけないよね
「オルド」
サロン入り口から、兄を呼ぶ義父の声で我に返る。
危ない、もう少しで兄に加担し、殿下を亡き者にするところだった。。
義父はいつも素晴らし過ぎるタイミングで声を掛けてくれる。頼り甲斐のある救世主だ。
「義父上、なにか?」
「やる時は私にも声を掛けなさい。」
違ったああああああぁ!!!
闇討ち参加希望者だった、、、、
兄よ、ありがとうございますってお綺麗な顔で微笑んでないで、冗談だよってちゃんと言ってあげて。
ね?義父、本気にしちゃうよ?
一人あたふたする私を横目に、まるで幼子を宥めるような仕草で私の頭をポンポンしながら兄が言う。
「ほら、そんな心配そうな顔をしないで。さすがに殿下の尊いお命を奪うような真似はしないよ。そうだね、隣国にでも行ってもらおうかな。ね?だから、エルザ。いつもの可愛い顔を見せて?」
違う違う違う違う!!!
隣国に行かせるって、つまりは、国外追放、、それを王族に対して行うことを人はクーデターと呼ぶ。。
アストルム家から国家反逆罪の罪人を放出するわけにはいかない。そんなことしたら、一家丸ごと極刑に処されてしまう。
自分自身を、この家を、この国を守るために、背に腹は変えられない。
やけになった私は腹を括って息を吸う。
せーのっ!!
「パパ!お兄ちゃん!私のためにそんなことしないで!もしも一緒に暮らせなくなったら、、そんなの、、ぜったいに嫌です。。」
うるうる瞳の上目遣いで、義父と兄を交互に見つめる。必殺、かわい子ぶりっこ攻撃!!
「「エルザ!!!!」」
ものすごい勢いで2人に抱きしめられる。
よ、良かった、、、
2人が単純で。