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ヲタク四人の異世界漫遊記  作者: ニニヤマ ユポカ
第一章
37/103

「心うれしい時間でした」とメーネさんから特別報酬のスマイルを貰い受けてから数日が経った。


 本日は雨天のため依頼処ギネガラへ行くのは辞めた。そして我々はリビングのテーブルにてトランプを使い大富豪に興じているところだ。そこで僕は部屋の隅の埃のように積もりに積もった気持ちを吐露する。


「やっぱりドラゴンを見たい」


「魔物が見たいってこと?」おんちゃんが8切りをしてカードを流す。


「ううん。ドラゴンを見たい」


「あの八本足のでも良いの?」おんちゃんが3を二枚出す。


「良い。あのヨダレドラゴンでも良いからこの眼で拝見したい」


「ドロールドラゴンね」うにやんが5を二枚机に置く。「でもどこで見れるんだろうね。この辺に生息しているのかな?」


「おんちゃん知らないの?」9を二枚出す。


「なんで私!?」


「頻繁に散歩してるから。シャヌラ近辺に詳しいと思って」


「あぁ。確かに町の外も歩いてるけど、ドロールドラゴンは見かけたことはないかなー」


「他の魔物は見るの?」ぼっさんが10を二枚。


「うん。…………あー。名前が出てこないけど、あのー、顎が長いやつ。パス」


「?」


「プレニマルじゃないの? 牛のような体格で顎が大きい」うにやんが手札を睨みながら答える。


「ああ多分それ」おんちゃんがお茶を一口飲む。


「プレニマル? そんなの魔物図鑑に載ってた?」


「載ってたよ。ほら『口内の底に小さいな穴が開いてて、食べた物の水分が顎の下に溜まり、さらに顎を搾れば溜った水分が放出される』って説明文があったじゃん」うにやんがエースを二枚出す。


「……あったかも」


「著者のひとこと欄に『果物を食べさせれば果汁一〇〇パーセントのジュースができるよ』って記述があって」


「唾液が混ざるから一〇〇パーセントにはならないでしょって僕がコメントしたね。思い出した」失われた過去をサルベージすることに成功。そして2を二枚出し僕が親となる。「で、みんなも見たいでしょドラゴン」僕は6を一枚置く。


 ぼっさんが10を出す。


「うーん。見られるのであれば」おんちゃんがキングを重ねる。


「うん」うにやんが2を出す。


「それじゃ見に行こうよどうにかして。パス」


「見るだけで良いの?」ぼっさんがジョーカーを放出する。


「…………」


「見るだけで満足できるのかい?」ぼっさんが場のカードを流す。


「まぁ色々な獣や魔物に会ってきたから見るだけだと少し物足りなさはあるかもしれないね」うにやんのコメント。


「じゃあどうすれば……」


「そろそろ俺たちも狩る時ではないのかっ!」ぼっさんはクイーンを四枚出す。


 ハッ!!! ぼっさんの言葉と大富豪の革命のダブルパンチを受ける我々三人。


「「狩りたいっ!」」今までどこか消極的だったうにやんとおんちゃんが立ち上がる。


「武器屋に行かないとっ!」ドラゴンを見たいという気持ちはすでに大きかったが、ぼっさんのセリフにより興奮が増した僕。


「「武器屋ッ!!」」うにやんとおんちゃんが甘美な響きを耳にしこちらへ顔を向ける。


「狩ると言ったら、まずは武器でしょ」


「弓矢が欲しい」おんちゃんが挙手する。


「ぬっ!! ボクも弓矢が良い。おんちゃんは職業決めの時戦士って言ってたじゃん」うにやんが対抗する。


「ソルドさんの弓捌きを見て憧れたっ」おんちゃんの本音。


「二人とも弓矢にすれば良いではないか。じゃあ僕は剣を貰っていくねー」高みの見物をキメる僕。「ぼっさんは?」


「うーん。俺はフライパンかな」いつの間にかフライパンを装備しているぼっさん。


「…………」


「出たな。俺はみんなとは違うだぜアピール」おんちゃんがボソリと言い放つ。


「良いでしょ。フライパンがあれば野外で料理でもできるし。俺に合ってるよ」


「じゃあボクは筆で」こちらもいつの間にか手に持っているうにやん。


「おおー。なんかカッコイイ。ペンは剣より強しではなく筆は剣より強しだね」


「うにやんの場合、筆じゃなくてペンタブのペンの替芯でしょ」おんちゃんが過去のネタを引っ張ってくる。


「替芯もあるよ」うにやんのもう片方の手の平が開かれ替芯が出てくる。


「…………」


「二刀流じゃん」

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