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ヲタク四人の異世界漫遊記  作者: ニニヤマ ユポカ
第一章
32/103

メーネ-3

『今は私一人です』と言うフレーズが頭ん中をループしてしまう。


 その些細なお言葉に果たしてどのような意味があるのか。はたまた無いのか。


 私の名前はメーネですが、現在は《ひとり》という名前です。と時間経過により名前変更される人物であると強調したいのだろうか。それとも『メーネさんあなたにはピィノくんがいるから今は二人ですよ』っというツッコミ待ち状態なのだろうか。ん、いやまてよ、今現在僕もいるから……。『メーネさんとピィノくん、そして僕を合わせて三人です。結婚しましょう』というプロポーズ待ちなのかもしれない。きっとそうに違いないっ!


「…………」


 思考が偏ってきたのでコーヒーブレイクをする。カップを手に持ち中のものを体内に流し込み邪な考えを浄化させる。


 まぁあれだ、話の流れでポツリと『今は私一人です』と呟いてしまっただけだ。誰にでもあることなのだ。少し落ち込んでいる時やさびいし時なんかに声を掛けてもらいたくて、ふと何気ないことを口ずさんでしまうことがあるじゃないか……。そうか、つまり現在メーネさんは悲壮感に包まれており誰かに慰めて欲しいのか。そして、僕がここで茶碗蒸しのような温かい言葉の一つや二つ三つ与えることにより二人の仲は進展し、メーネさんは黒のローブではなく白のヴェールを被り再び僕の目の前に現れるという遠回しなプロポーズなのかもしれない。うん。きっとそうに違いないっ!


「…………」


 んー。どうしても自分本位な方向へと考えが進んでしまう気がする。


「すみません、もう一杯いただけますか」僕はコーヒーブレイク用のコーヒーが無くなったのでメーネさんにコーヒーをお願いした。


 ツッコミ待ちや感情論方向での憶測結果は持ち札として一旦保存しておき別の切り口から考えていこう。


 一人……一人で困ることといえばなんだろう。親御さんが数日居ないらしいから家事や食事の準備に困っているとか? しかし、この部屋の中を見る限り綺麗にされているし、キッチンでの行動もそつなくこなしているので一人でやっていけそうに見える。とどのつまり家事以外の一人行動で困ることだな。少しずつ答えに近づいてきたのではないだろうか。


 ここで対面のソファでくつろいでいたピィノくんが僕の方へ近づいてきたので触らせてもらうことにする。ちなみにメーネさんは現在キッチンで新たなコーヒーを淹れている。


 ピィノくんを抱き上げると抵抗することなく僕を受け入れてくれた。想像通りの柔らかさで饅頭というよりマシュマロを触っている感覚だ。これは癒される。先程までの心臓の収縮運動が安定していくのが分かる。


 落ち着いてきたところで改めて思考を展開してみようと思う。家事以外の一人行動で困ることとは何だろうか? んー。自分の行動を客観的に見るとゲーム、アニメ鑑賞、ネット……。参考にならない。この世界でも暇な時は図書館に行くか散歩だからなぁ……。そうか、外出か、外での娯楽というと、映画館、声優のライブ、ゲーム大会への参加? この世界で出来ないことばかりだ。あとは、あとは外で何がしたい? …………。はっ。外食か。一人で外食は抵抗ある人はあるから。うん。きっとそうだ。じゃあ何が食べたいんだ? ラーメン? 寿司? …………焼肉? 僕は一人ラーメン、一人回転寿司は行けるが、一人焼肉には抵抗がある。故にメーネさんも一人で焼肉屋には入れない可能性がある。ということは焼肉が食べたいのか。しかし、この世界に焼肉屋は存在するのか? …………。だが無いのであれば作ればいい…………っ!


 僕がメーネさんの求めていることを導き終えたところで丁度よくメーネさんはコーヒーのおかわりを持ってきてくれた。


「つまりメーネさん、あなたはみんなで焼肉、そうバーベキューがしたいのですねッ!」

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