閑話
「なあカカシ」
先ほどから何度も呼んでいるが返事が無い。カカシは顔が変わらないので寝ているのかさえも分からない。寝ているのであれば起こしてみたいが下手に触れて腕や脚を折ってしまっては一大事だ。しかしよく考えてみれば、このカカシは話こそするが私のような人間とは違う。腕や脚と言っても所詮は木の棒。ならば折れようと問題は無いのかもしれない。
「何やら恐ろしいことを考えていないかい? 何故だか寒気が止まらないんだけれども」
実行に移そうとしたところでようやくカカシが返事をした。
「さっきから声をかけても返事が無かったのでな。寝ていたのか」
「さあね。自分で考えてみたらどうだい?」
別にその程度答えてもさしたる問題は無いだろうに。相変わらず捻くれたカカシだ。いや、もはやこれをカカシに分類していいのか分かりかねるのだが。
「しかし君は何を考えていたんだい?心なしか君の目が少し輝いていたような気がしたんだけれども」
今度はカカシが聞いてきた。
「お前が質問に答えないのならば私も答えない。これでおあいこだろう」
この返事はカカシも読んでいたようで、大して気にする様子もなく話を続けてきた。
「まあ別に構わないけれども。ただ一応言っておくと、僕も腕を折れば物を持てなくなるし、脚を折れば歩けなくなるから止めておくれ」
「物を持つ必要も歩く必要もカカシにはないだろう」
この返答も読んでいたはずなのだがカカシはケタケタと笑い出した。
「それはどうだろう? さっき言ったように僕はカカシじゃないかもしれないんだよ?」
顧みてみればなかなか酔狂な事を考えていたようで少し恥ずかしい。暇つぶしには暇つぶしにしかならないのだろう。
「終わった話を蒸し返すな。誰が何と言おうとお前はカカシで私は人間だ。お前だって分かっているだろう」
当たり前の事だ。この考えを変えるつもりは毛頭もない。
「まあそんなことは良い。とにかく僕の体を傷つけるような真似はよしてくれ。そんなことをしたって君が得るものはないだろう。それに、ここから僕がいなくなれば困るのは君だろう?」
何だかそれを認めるのは癪だが、別にどうでも良いことだ。
「だったら私の質問に答えろ。お前は寝ていたのだろう」
「さあね」
カカシはそう言ってケタケタと笑った。
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