謎のユーザーX(2)
「…雨だし」
そう関本が言ったとたんだ。
サー… ピカッ! ガラガラガラ … ザーッッ!
さっきまで小降りだった雨が突然強まった。
「ひぇー、すげぇ雨だな。今日帰れっかな?」
「大丈夫だよ。いまここは寒冷前線の近くだからね。じきに止むよ」
「か、寒冷前線… なんだったっけ?」
もう受験生だというのに、ほとんど勉強をしない関本はなんの事かさっぱりなのである。
それをみた村上が「ばかが…」と言って笑う。
「おい、ちょっと待てよ。村上!お前だって頭わりぃくせに、何笑ってんだよ!」
関本がすかさずツッコミをいれる。
すると村上は勉強机の棚を探り始めた。そしてそこに立っていた青色のファイルから一枚の紙をとりだす。
「ふん、そんな事はこれを見てから言うんだな」
「……す、すぅぎゃく…すうがく…。きゅ、きゅうじゅう、はってん⁉」
「いつまでもお前と一緒にされるのなんでごめんだからな」
そう言って笑う。
村上には勉強に真面目な意外な一面もある。
「ま、お前は勉強なんていらないだろうけどな」
そう村上が続ける。
「お前もだろー。てか、マジで勉強する意味ないだろ?」
そう2人はもう受験勉強とは無縁なのだ。
なぜなら2人は既に戸塚西高校へ入学することが確定しているからだ。
戸塚西高校はサッカーで全国に名を連ねる地元の名門校だ。2人は良介のようにクラブチームでサッカーをしていなかったが、部活動のチームの攻撃の要で主力メンバーとして活躍してきた。それがスカウトマンの目に留まり、戸塚西高校にスカウトされたのだった。
「そんな事より、今は」
上田は2人の話を遮ったのと同時にパソコンの画面と2人を交互に視線を送る。
「あ、そうだったな。忘れてたわ」
「しっかりしろよ98点!」
関本が村上にちょっかいをかける。
「もういい、その話は」
村上が関本をにらむ。
「へいへい、すんませんでしたー。で、こいつは?やっぱ吹部のやつか?」
「僕はさっきメールで三山が言ってた通り、吹部の人間ではないとおもうね」
それを聞いて村上も軽くうなずく。
「俺もそう思うな、吹部の奴らであいつら以外のやつがこんな先生に見つかったらめんどくさいような事に深く関わってくるとは思えない」
「ふーん。なら全く関わりの無い人間ってことか?」
「うん、そうだろうね」
上田は会話をしながらずっとパソコンに向かっている。画面にはたくさんのアルファベットと数字が並んでいて村上がみても何をしているか全く分からなかった。
「後、多分だけどXはこのサイトにハッキングして侵入してきているね」
「ハッキング⁉そんな事出来るやついるのか?」
村上はその時やっと上田が何をしていたのか分かった。サイトにアクセスしたアドレスを調べていたのだ。
「さあね。このサイトはなかなか固いセキュリティがかかっているんだ。これに侵入してくるということはなかなかパソコン慣れしてるってことだね」
「そんなやつ、この学校にいるか?」
関本には全く心当たりの人物はいないようだ。
「分からない。表では普通の生徒に見えても裏の趣味はこういう事をするやつだっているかもしれないからね」
「それにしても、よく侵入してきたなんて分かったな」
村上が上田に感心の目をむける。
「それが疑問なんだ」
「え?」
村上と関本は驚いた様子をみせる。
「これほどのセキュリティを抜けてこれる人がわざわざ自分が侵入した形跡を残すとは思えないんだ」
「じゃあ、そいつはわざと?」
確かにおかしいな、と村上も思う。
「ああ、多分ね。逆に僕達がこれを見つけるを待ってたんだろうね」
「挑発されてんじゃねーの?村上」
「ああ、俺も思った。おもしろいじゃないか。俺がこの手で見つけて、俺たちを馬鹿にしたそいつに痛い目見せてやる」
雨はもうあがり、少し晴れ間が見えていた。
関本と上田は村上宅から帰る準備を始めた。
「村上そういえば、最近松下がつるんでこねえな」
「そういえば、そうだな。じゃああいつにもX探し手伝ってもらおうぜ」
「そうだな。じゃあまた明日」
そう言って三人は別れた。
最近伏線をつくり過ぎで解決していかなければいけないのが山積みのようになっています。なるべく早く解決していけるように頑張りますm(_ _)m




