名も無き世界
あの後、宿屋に戻ったら、サーノに部屋へ案内された。
部屋といってもそれほど大きくない。
ベッドが一つに、人一人が雑魚寝できるだけのスペースがあるだけだ。
特にする事も無いため、用意された桶の水で身体を拭いて寝ることにした。
サーノに風呂は無いかと確認したが、共用の大衆向けがあるだけで、宿では水の無駄だから無いと言われた。
明日は風呂に入ろうと思い、金が無い事に気付いて諦めた。
翌日、俺はギルドの一室にいた。
ギルドに勤めている人からこの世界の事や魔法の説明を受ける事になっている。
待っていると、サーノが入ってきた。
「よう、悪いな。宿の片付けに時間がかかっちまったぜ。」
「いや、そんなに待っていないが、サーノが説明をしてくれるのか?」
「あぁ。何でも、勇者召喚とやらが近い内にあるらしくてな。冒険者の若い連中は王都に向かったんだ。冒険者が少なくなるから、宿の対応も負荷が減るって事で、俺が選ばれた。職員の中で、水と風の魔法を使えるのは俺だけだしな。」
「そうだったのか。まぁ、俺としては顔見知りが対応してくれるだけでありがたい。」
「はは、そうだな。じゃあまず、この世界の事について話そうか。」
そう言うと、近くにあったコップ二つにに水を入れて、俺の前に置く。
もう一つは自分の前に置く。
「まずこの世界の名前だ。名前は『ユートピア』という。」
「それは『神の使い』から聞いた。」
「あぁそうか、すでに『神の使い』にあっていたんだね。じゃあ続けるよ。その前に、優はどの世界から来たのかな?」
「は? どの世界?」
「あぁ。『ポンデト』、『シシャ』、『名も無き世界』、『エンゲージ』など、色々な世界から『トリッパー』は来ている。」
「俺が来たのは、地球という場所だ。」
「地球か。なら『名も無き世界』だな。」
「いや、だから地球だって。」
「そうそう。でもそれは、宇宙に存在する惑星の名前だろ? その世界の名前を誰も知らないから、ここでは『名も無き世界』と呼んでいるのさ。」
その言葉に衝撃を覚えた。
世界の名前。そんな事、考えた事もなかった。
世界といえば、アメリカやロシア、中国にヨーロッパなど、外国を含めた呼び方であった。
確かに、地球は宇宙における惑星としての名前であり、世界としての名前ではない。
「まぁ、深く考えなくていいよ。優がいた『名も無き世界』では、確か魔法はなかったよな?」
「あぁ。小説やゲームなんかじゃよくあるが、現実で魔法は無かったな。」
「了解。じゃあ、あまり馴染みがないけど、この国から説明するよ。この国はユダス。」
変な所で切れていますが、次回を説明回とする為、ここで切ります。




