テンプレ的展開
「ここはどこだ。」
辺り一面に広がる平原に眼を奪われ、呆然と立ち尽くしていた。
後ろを振り向いても、平原で、自分と愛車だけがぽつりと存在した。
つい先程、警察に連絡して、結衣花がそちらに眼を向けている間に愛車に乗って、アパートに帰る途中だった。
アパートに帰る為、トンネルを抜けようとすると、いきなり光が現れ、急ブレーキをかけて止まった。
眼を開けると、一面平原が広がっていた。
「まさか、ネットで有名な異世界トリップとかじゃねぇだろうな。」
「是。残念ながら、そのまさかだ。」
誰もいなかったはずの平原に、光の珠が現れる。
「まずは初めましてと伝えておこう。私は神の使いだ。」
いきなり現れた自称神の使いは、何故俺がこのような場所にいるのか説明をしてくれた。
曰く、あのトンネルを抜ける直前に、トンネルの天井を支えていたボルトが折れる事で崩れ、俺は死ぬはずだったらしい。
しかし、俺達が住んでいた名も無き世界に無く、この世界、『ユートピア』に存在するモノを持っていたため、ユートピアに飛ばされたということだ。
そのモノとは、やはり魔力だった。
正確には魔力を持つ者はいるが、魔法という形で使うことは出来ないらしく、俺は魔力が桁違いに多いらしい。
トンネルが崩れるとか、どこぞの高速かよと思いながら話を聞いていた。
「で、こんなテンプレ的展開になるということは、俺に魔王退治でもさせようってか?」
「否。確かに近い内に魔王と呼ばれるモノが現れるが、それを討伐するのは勇者と呼ばれる者の仕事だ。貴方はこの世界で自由に生きて貰って構わない。」
「なるほど。では、確認したい事項がある。まずこの世界の常識や歴史、通貨についてだ。いきなり右も左も分からない場所に放り出されて行きて行けると過信する性格じゃあないんで、そこらへんを教えてくれないか?」
「それについては、貴方の生活をサポートする為の存在を付けよう。私たちはそこにいるだけで周りに影響を与えてしまう。」
その言葉に、周りの草が淡く光っていることに気付く。
「これが影響か。」
「是。神の使いである私の場合、必要以上に能力を持つモノとなってしまう。故に私は消えさせてもらう。」
「サポートしてくれる奴は?」
「この世界の者をこちらに呼び寄せてある。会話は出来るようになっているはずだ。その者を頼ってくれ。」
そう言うと、神の使いは消えてしまった。




