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をぐらのさうし 巻之弐十六  作者: 小椋夏己
2026年  1月

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ちょっとお隣まで

 先日、


「共通テストにベルばらが出た」


 と話題にしましたが、今度はまた違うネタで少しばかりSNSが湧いておりました。

 

 そのための説明をちょこっと。


 オスカルは女性ながら家の跡継ぎの男性として育てられた軍人ですが、王妃マリー・アントワネットと恋仲のフェルゼンを心密かに恋しています。そのフェルゼンがアメリカの独立戦争に行き、もう戦争が終わったのに帰ってこない。他の人は帰ってきているのになぜ。


 心配のあまりどうしたかと言いますと、オスカル様、


「庶民が行く酒場で大酒かっくらった挙げ句に酔っ払いたちと大乱闘!」


 こういう見出しで新聞ネタになりそうなことをやっちまいます。


 最後には従者のアンドレと共に酒場の外に(多分)放り出され、


「女だとバレずによかった」

 

 と安堵するアンドレは馬車に乗せて家に連れ帰ろうとしたら財布も持ってかれています。仕方なくオスカル様を抱っこして歩いて帰ることにしたアンドレ。こっちはこっちでオスカル様を心密かに愛してるので、


「このまま朝までおまえを抱いて歩くぞ」


 と、歩き出します。


 そのおうちなんですが、酔っ払ってけんかしたパリからベルサイユにあるオスカルんちまでは、


「約20キロ」

 

 で、徒歩にすると、


「4時間」


 だとSNSに出した方があり、私も大爆笑しました。


 そういや私も、


「当時初老の娘に結婚して子ども産めという親父、どないやねん」

 

 とエッセイに書いたことがありますが、落ち着いて考えるとというのってありますよね。


 そう言ったところ、自転車でどこでも走っていくH氏が、


「外国人このぐらい普通に歩くぞ、20キロぐらいだと遠いとも思わん距離だ」


 との発言を!

 

 え、そういうもんなの? 確かにH氏は私だと車か電車でないと行けない自分ちからうちまで、自転車でとっととやってきますが、それでも20キロをオスカル様(結構大柄)を抱っこして歩くって、愛があってもかなりしんどいと思います。


 ただ、そう言いながらも、


「そういや北海道出身のB嬢の距離感も自分とは違うな」


 という話になりました。彼女にかかると東京札幌間なんか私が大阪に行くぐらいの感覚かと思えてしまう。


 そしてさらに思い出しました。


 私の父親は愛媛の出身です。私が大学生ぐらいの頃かなあ、いなかの本家はふもとに家を建てて降りてきましたが、それまではずっと山の上の方の一軒家に住んでました。


 そりゃもう昔話みたいな家でした。家のすぐそばに離れやら蔵やら牛小屋やらなんとか小屋なんかがあり、お風呂は少し坂をくだったところにある小屋の五右衛門風呂。小学校の頃に一度だけ行ったことがありますが、なんだかすごく新鮮でした。


 山の上なので街灯なんてもちろんない。うちの父親はその山の上からずっとずっと遠くの小学校、中学校、高校まで下駄で歩いて行ってたと聞いたことがあります。


 そんな山の上から遠くに灯りがちらちら見えていて、それが何かと聞いたら、


「あれはお隣の家」


 と言われたんですが、そのお隣、


「谷を挟んだ向かい側の山の上」


 でした。


 うーむ、そう言われてみたら20キロなんてそりゃ屁でもないって感じがしてきたなあ。感覚バグるわあ。


 そしてさらにさらに思い出したんですが、プログラマのT氏は家から一番近いバス停まで徒歩30分ほどという環境で大きくなり、大人になると一人車一台の場所に住んでいたんですが、すぐ近くにバス停もあり、日常移動はほぼ車、ほとんど歩かなくてもいい生活となった今では、徒歩10分の距離を、


「遠い」


 と言うようになっています。いや、歩けよ。


 やっぱり環境によって距離感ってかなり違うのだなあと痛感した出来事でした。

ベルばらが出たと喜んだ「共通テストにベルばら」は以下から、


https://ncode.syosetu.com/n7477lo/29


親父がオスカルに結婚を勧めるのが遅すぎだろうとの「勧めるのが遅すぎると思います<ベルばらより>」は以下からになります。


https://ncode.syosetu.com/n7443jx/114

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