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最強への道 〜異世界で神になるまで~  作者: 土沢天樹
第4章 青年期 剣舞祭編
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第64話 剣舞祭本戦(9)

今回は短めです。

「……き、決まったアアアア!! 剣神ついに破れたアアアア!!! これで優勝は光神ウィンバルド・スフィンドールさんです!!」


 あぶなかったああ。

 いやぁ、危ない危ない。


 実は俺は、一回分身と入れ替わったのである。

 パンチでリングを砕き、粉塵が舞い上がった隙に、転移魔法を使い、入れ替わったのだ。

 理由は一つ。魔力が足りなかったからだ。


 スタンピードで魔法を連発しすぎたのと、分身を作りすぎたのが原因だ。

 おかげで入れ替わりのための転移魔法と、そのあとの上級魔法で最後の魔力をもっていかれた。

 おかげでMPはスッカラカンだ。


 それにしてもやはり俺の推測は正しかったようだ。

 剣神のネバースキル、“自運者”。


 俺が“戦闘王”で得ることができなかったスキルの一つだ。

 その効果は、自身に意志を持って(・・・・・・・・・)向けられた事象の運命を都合よくねじ曲げることである。

 要は自身を傷つけようとする攻撃やそれに準ずる行為とかを都合よく攻撃させなかったり、相手を気絶させたりできるということだ。


 だから俺の“戦闘王”スキルを得ることができなかったのだ。

 俺がそれでスキルを得ようものなら、スキルが拮抗して相殺し、結果的に俺が勝つことになってしまうからだ。

 同様に“運命者”の対のスキルを得ることも叶わなかった。


 だがそれは意志(・・)があればの話だ。

 なければ“運命者”は発動できない。

 つまり、偶然そうなってしまった攻撃には対応できないということだ。

 しかし、普通はいくらそうやろうとしても攻撃の意志が入ってしまうものだ。


 そこで普通じゃない俺の出番。

 “知覚者”を使えば攻撃の意志を消し去ることは可能。

 それで上級風魔法を使って観客を巻き込んだ無差別攻撃を繰り出したのだ。


 でも観客をどうしたっていう話になるじゃん。

 俺は上級魔法を放った時点で魔力がなく、結界を張れないのだが、そこは忖度魔人のテスタとガンツに任せるに決まっとるがな。


 二人の魔法のおかげで結界に守られて観客は無事。剣神だけ魔法をくらってチェックメイトというわけだ。


 ほんと“知覚者”が剣神に通じなくて困ったよ。

 運良く過去の文献が残っていたからよかったものの、推測の域をでなかったからな。


 すべての文献がさも自分の記憶のようにわかるっていうのはほんとチートだなって思う瞬間だよ。四十過ぎのおっさんがこれでいいのかってな。


 それにしても優勝か。なんか響きがいいな。

 オリンピックっぽい感じがいい。


「それでは表彰に移ります!! 国王陛下、リングの上までお願いいたします!! 一同起立!!」


 国王が直々に表彰するため、エドが貴賓席からリングに降りてくる。

 いつもの俺ならここで傲慢な態度をとるところだが、今回はあまりに観客が多すぎる。


 前の謁見の時は騎士と貴族連中しかいなかったが、今は一般人が多い。

 偉そうな態度をとろうものならエドの評判が落ちるかもしれない。

 それはちょっとエドがかわいそうだからな。臣下の礼をとることにしよう。


 ちなみに俺は小さい頃に父さんからそこら辺の礼儀作法は学んでいる。

 だから礼儀作法は完璧だ。


 エドの前にひざまずき、頭を垂れる。


「このたびの優勝、よくやった。これからも精進するように」


「はは、お褒めに与り光栄であります」


 エドから金色のメダルを受け取る。


 気付かないレベルで少しだけ顔を上げる。

 すると、エドと隣に立つ王太子であるイルゾが一生懸命笑いをこらえてるところが目に入った。

 騎士団長はなんだか複雑な表情をしていた。


 こんにゃろう。覚えてろよ。

 そんなに俺がかしこまってるのが可笑しいか?


 いやおかしいな。


 俺は我ながらそう思った。


「それでは只今をもちまして第103回剣舞祭を閉幕いたします!! お疲れさまでしたアアアア!!!」


 こうして波乱の剣舞祭は幕を閉じた。





































 ちなみに後日談だが、スタンピードの対応の功労者が俺だということがばれ、エドに少し怒られた。


 ギルドマスターに口止めするのを忘れていた俺も悪いが。


 あとあの表彰式での俺の態度が面白かったらしく、皆に笑われる羽目になった。

 とりあえずテスタに八つ当たりをしておいた。

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