第43話 剣舞祭
絶対完結させます。
あれから1晩寝たあと、俺たちは朝一で王都へ帰った。
本当は魔族の出現によって、俺が事情聴取されるの予定だったが、それは全てビゲルが都合良く説明してくれた。
俺は魔族を撃退した功績により、学校で表彰を受けた。
世間では国王公認の新米Sランク冒険者による初めての大きな功績として広まって行った。
そして季節はすぎ、秋になった。
俺は秋が大好きだ。
何をするにも秋に限るぜ。
そして秋といえば――、
「みんなも知ってると思うが、来週は剣舞祭だ」
最近ストレスでやつれてきたように見えるビゲルが言う。
『ザワザワザワザワ』
「静粛に」
その一言で教室は静まり返る。
「これは国総出で行うものだ。もちろん学生が参加するのは推奨されている。だが、全ての人間が出場しては大変だ。そのために我が校では毎回予選を独自に行っている。出場できるのは上位4名のみ。今日より3日間かけて行われる。準備はいいか?」
『はい!』
「よし、では闘技場へ移動する」
教室を出て、ビゲルについて行く。
「剣舞祭の予選ですか〜。血が滾りますね! お姉様!」
相変わらずジュリは好戦的だ。
「いやぁー、私はそうでも無いかな。あはは」
レジュは苦笑いしながら答える。
「まぁ、優勝はウィンじゃない。ウィンに勝てる人ないていないよ」
エザルが俺を持ち上げる。
「ウィン様とは当たりたくないですね」
テスタと当たることを俺は願っておこう。
「ウィン、人を殺しちゃダメだよ!」
「おい、レジュ。俺をなんだと思ってやがる」
「化け物? ……あぁぁぁぁ、痛い痛い!」
ふざけたことを言うレジュにデコピンをかます。
「最近ウィン様のお姉様への扱いが酷くなってる気が」
「ん? なんだジュリ?」
「い、いえなんにも」
聞こえてるけどな。
そうしてるうちに闘技場に到着する。
もう既にたくさんの学生がひしめき合って座っている。
俺らも所定の場所に座る。
「さぁ、今年もやって参りました! 第82回国立カリア学院高等学校主催剣舞祭予選を開式致します! それでは校長先生の挨拶です」
やたらテンションの高い司会で始まる。
「ゴホン。皆さんこんにちは。このよき日に――、以上で挨拶を終わります」
うん、ベタだな。
いかにも校長らしき人が出てきたと思ったら、いかにも校長の挨拶らしいくそ長い挨拶をした。
あまりにも長くて生徒の2割も聞いてないだろうな。
そういうテンプレいらないから。
「それでは選手宣誓です。武術科3年生、ルノアール・ポライズンさん!」
「はい」
凛とした声を持つ女性が出てきた。
レジュの足元にも及ばないが、とても綺麗な女性だ。
「宣誓。私たちは日頃の鍛錬の成果を発揮し、正々堂々戦うことを創造神チュリバスの名のもとに誓います。選手代表ルノアール・ポライズン」
ずいぶんべたな宣誓だったな。
だが彼女の人気は高いのか、大きな拍手が彼女に送られていた。
ちなみにだが、創造神チュリバスに誓った誓いを破る行為は神への冒涜であると考えられているので、最上級の誓いとしてよく使われる表現だ。
「ありがとうございました! それでは次にルール説明に移ります! 試合形式は事前に決まっているトーナメントによる1対1のタイマン形式! 相手を殺してしまうと即失格! 相手を戦闘不能にするか、参ったと言わせれば勝ち! 殺す以外なら基本的に何をしてもOK! ただ、あまりにも戦闘不能になった選手を執拗に痛めつけるなどの目に余る行為も失格となります! それではトーナメントの発表です!」
闘技場のど真ん中で紙が広げられる。
参加は任意なので、人数は少ないが、それでも100人は超えるので、ここからだと全く見えない。
ただ、一人一人にプリントが配られている。
なるほど。俺は22試合目か。
それまで暇だな。
「それでは早速1試合目を始めたいと思いまーす! 武術科3年…………と、………………の試合を始めます! それでは〜、始め!」
こうして剣舞祭予選が幕を開けた。




