枝里 side1
200X年3月――
「枝里……大学行っても頑張れよ。少しくらい離れてたって俺らは大丈夫だろ?」
雄司がほほ笑む。
「うん。ちょっと遠くなるけど……浮気しないよね?」
涙目で笑いながら私は答える。
「あぁ!?信じてねぇの?」
「信じられるわけないでしょ、この浮気男!!」
「浮気したことねぇし!」
二人で笑った。いっぱい笑った。
迫ってくる遠距離恋愛から逃れたかった。
私は4月から大学生となり、その寮に入ることになっている。雄司は私の恋人であり、公務員として社会人になる。
二人の進路は違ったけれど、お互いの愛を信じきっていた。
私たちはまだ、幼かった――。
4月――
大学の下見を終えて、荷物を整理するため寮に向かった。
たどり着くと、その外観は綺麗とは言えなかったが、中に入るとホッとした暖かな雰囲気に包まれた。受付で部屋の鍵を受け取り、階段を上った。
2階の209号室が私の部屋だ。といっても一人部屋ではなかった。
・・・なんと2人部屋が2部屋くっついている4人部屋だった。机とクローゼットが4つに2段ベッドが2つ。それを半分で仕切れるフスマがあるだけだった。
………ここでの暮らし、やっていけるのかな?
4人暮らし、テレビが無い、とりあえず殺風景すぎる!!!!!!!
いきなりの不安を覚えたけど、これまで何とかやってきたんだし、何とかやるしかない!!
意気込んでいると先客がいたのに気付いた。
目があったので、とりあえず「こんにちはー♪♪」と挨拶。
それが208号室の二人の住人、青島文音と柏木愛海との出会いだった。
文音は身長が少し高くて長い黒髪にパーマがかかって美人だった。
愛海は小柄で茶髪でクールだけど可愛らしいような印象を受けた。二人とも挨拶は返してくれたものの、目が笑ってなかった・・・怖いって!!!!(笑)
二人が先に会い、喋っていたこともあって、もう心が打ち解けているように見えた。
そして、二人で買い物に行ってしまった。
なんだか一人で寂しいな・・・私の相方はまだ来ないの?
一人でぼーっと座っていると、やっぱり雄司や家族や友達と離れたことを考えてしまう。
寂しくて寂しくて仕方がない。
ううううううううううう
そしてまた時間が経って、文音と愛海が帰ってきた。
その少し後、209の扉が開いた。
「小川…瑞樹ちゃん?」
・・・で合ってるよね!?
「あ。はい;;」
少々焦りながらも答えてくれた。これが瑞樹との出会いだった。
瑞樹は派手な金髪のような茶髪で、背も高かったので、いじめられそう……というのが第一印象だった。文音と愛海もそうであったに違いない。
だが、話してみると気さくで都会っ子ではないことが分かった。
これならやっていけそう!
希望が持てた。
しかし、それから夕食までの時間はとてもとても長く、初めての4人部屋では、微妙な空気が流れていた。窓際に机が4つ並び、それぞれが空を向いて座っているというおかしな状況だ。
すっごい眠い……みんな喋んないし、ケータイばっかりだし。。。でも喋りかけにくいしなぁ……どうしよう。
私の隣の瑞樹も、そのまた隣の文音も、そのまた隣の愛海も、それぞれの世界。無言。
チーン・・・沈
4人はそれぞれの思い⇒(・・・・・・・・・・・これから1年間、大丈夫なのかな;)
を胸に、不安を抱えながら夕食までの時間を過ごした。
しかし、夕食を食べ、一緒にお風呂に入った仲となると、一気に心的距離は近づいていった。
「とりあえず、みんな出身どこなの?」と話を切り出してみる・・・
・・・知らないことが多すぎるから不安なだけで、話してみるとみんな良い子じゃん♪
それぞれの方言が飛び交い、話は盛り上がった。
初めての匂いに包み込まれたような、奇妙な、新しい期待の入り混じった楽しい夜だった。
翌日。とは入学式当日である。
慣れない環境での準備や寝坊も手伝って時間がどんどん過ぎて、焦って歯磨きも出来ないほどだった。
瑞樹が「これ使って!!」
と言って出してくれたのはガム。みんな必死で掴み取り、着慣れないスーツと格闘し、悪戦苦闘;;瑞樹に至っては、焦るあまりストッキングが伝線し、交換するという惨事に襲われた。
寮を出て、革靴が足に食い込むのを感じながら必死にバス停まで走り、何とか大学に到着。
ふう。深呼吸をしてみる。
「またあとで」
笑顔で4人は踏み出した。
青い空の下――私たちは大学生になった。
枝里sideを担当させていただいております、kokoroです!
読んで下さった皆様、ありがとうございます!
初めての書き物で上手くは書けませんが精一杯頑張ります♪
これからもよろしくお願いします☆




