0.震エル
――『ごめんね。キミを生き永えらせたのは……ボクのエゴだ』
頭。小さな肩。
頬。くすぐったい、髪。
良い匂いがする。そして暖かい。
ガタゴトと揺れる、列車の中。
下校中……?
窓から射し込む光は……赤か、オレンジ。
声。女の人、または女の子のもの。
肩から伝わる体温よりも
暖かな陽の光よりもずっと……
ずっと冷たくて、凍えた声。
「あの時、あの場所で終わる筈だったキミをここへ連れてきたこと」
柔らかな手がゆっくりと僕を寝かせた。
膝の上だろうか?とても、穏やかな気分だ。
囁くように、続きの言葉が紡がれる。
「その責任を取るだなんて。軽率には言いたく無いけれど」
頭を撫でられている。
撫でられている……のだろう。
分からないけれど。
何故だろう、感覚が薄れている。
けれど今はただ。この人の声を聞いていたい。
「間違いなく、責任はあるから……だからお願い」
――死んで
耳から聞こえた声と、脳で処理された言葉に齟齬がある。
けど、その真意を確かめる術は僕には無い。
「……そろそろ降り無きゃ。キミはもう少しだけここで眠っていてね。大丈夫、また会えるよ」
シュー、シュー、という煙の吹き出す音が彼女(?)を急かしているかよのようだった。
行かないで。口からその言葉は出なかった。
「キミが無事、死に変わる事が出来たなら。その時はキミの声で、キミだけの名前を……聞かせて欲しいな」
――きっと、約束だよ?




